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一歩前
破城の聖剣の紅く煌めく刀身が、レイスの首へと走る。
飛燕の一振り。
間合い、呼吸、角度、どれもともに申し分ない。
だが、レイスは辛うじてこれを躱す。
反射的に、顔を後ろへ反らして、即死を免れたのだ。
だがそれも束の間。
続く第二撃の聖剣が、レイスを襲う。
「くっ……おお……!!」
今度は頭をめがけての一振り。
頭部を狙ったこの一撃も、やはり即死は免れない。
だが、レイスは咄嗟に横へ転がる。
振り下ろされた聖剣は、虚しく宙を切る。
「しぶとい野郎だなぁ!」
「ぐふっ!」
レイスの腹部に走る鈍い衝撃。
ヴァルドレッドの蹴りが、鋭く、重く、レイスの鳩尾を抉った。
坂を転げ落ちる樽のように、転がっていくレイス。
やがてうつ伏せで止まり、低い呻き声が口から漏れていく。
「終いだ!」
再び、聖剣の刃がレイスめがけて振り下ろされる。




