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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
14/101

もはや

 ♠︎



 このままでは(らち)があかないと彼は踏んだのだろう。

 意を決して、陽炎の騎士レイスは強行突破を試みる事にした。


「へぇ、いい度胸してるじゃねぇか」


 ヴァルドレッドは、さらに火力を上げていく。

 もはや、周囲は生き物が住めるような環境ではない。

 漂う空気は吸うたびに喉を枯らし、粘つくような熱気は肌に触れると滝のような汗を噴き出させる。

 レイスは勿論の事、遠くから二人を眺めているロウでさえも、もはや脱水症状になる寸前にまで追い込まれていた。

 しかし、当人のヴァルドレッドは汗粒一つ流していない。


「熱を遮る何かが、彼女にはあるのか」


 遠い。

 避ける事に専念していたレイスは、改めて彼女との距離を再確認した。

 距離にして、約十二メートル。

 普段であれば、ほんの数歩跳べば届く距離だ。


「近づこうにも、逆巻く炎と火柱が邪魔だな」


 柄を握るレイスの手に、じっとりと汗が滲む。

 歴戦の騎士だけあって、誤って手が滑ってしまう事は無いが、不快だ。

 額や首筋からも、滝のように流れていく。

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