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波火
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焚き火の中心じみて、辺りは灼熱の赤に包まれた。
途中、隙があればお前も参戦してこいと言われたものの、隙どころか逃げ回るので精一杯だ。
「炭すら残さねぇ!」
火山の噴火めいて、次々と火柱が大地を穿っていく。
レイスと呼ばれる騎士は、僕と同じくとにかく焦土を縦横無尽に駆け回り、辛うじて擦り傷程度で済ませているようだ。
しかし、そんな熾烈な状況の中でさえも、僕に対しての警戒を怠っていない。
どうやら、僅かだが余裕があるようだ。
「無理だ……」
とても太刀打ちできる状況じゃない。
近づくだけで皮膚が焦げてしまいそうだ。
そもそも、あんな尋常ではない敵に素人が短剣一本で挑もうというのがそもそもの間違いである。
ヴァルドレッドさんはさらに火力を上げていく。




