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寝取られ追放から始まる、最強の成り上がりハーレム~追放後、自由気ままに第二の人生を楽しむことにした~  作者: 剣竜
第六章 立ちはだかる強敵たち

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第六十四話 敵を討つ覚悟

 リオンの意識は徐々に薄れていく。

 もう限界だ…

 そう思った時、突如として強烈な眠気が襲ってきた。

 リオンは抗おうとするが、無駄に終わる。

 そして、ついに意識を失った。

 イレーネはリオンの体を抱き寄せる。

 すると、突然、彼女の体が光り始めた。

 同時に、全身から力が抜けていくのを感じる。


「ああ…なんて温かいのかしら…」


 イレーネはリオンの温もりを感じていた。

 そして、満足そうな笑みを浮かべて言った。


「やっぱりあなたは最高よ…」


 イレーネはしばらくリオンの体温を感じ続けていた。

 やがて、彼女は名残惜しそうに彼を離す。

 そしてその場を後にした。


「さて、クラックビレッジに向かわないと…」


 一方、魔力を奪われ、荒野に残されたリオン。

 僅かに残った力で、なんとか立ち上がることができた。

 イレーネの姿は見えない。

 どうやらどこかへ行ったようだ。


「くッ…」


 だが、油断はできない。

 いつ戻ってくるかも分からないのだ。

 だが、足取りは非常に重い。

 一歩踏み出すごとに激痛に襲われる。

 リオンは歯を食いしばった。

 そして、必死に歩き続ける。


「うッ…」


 だが、途中で力尽きてしまった。

 その場に倒れ込む。

 リオンは目を閉じた。

 やがて、深い眠りに落ちていく。

 そんな中、リオンは不思議な感覚を覚えた。


「うぅ…?」


 誰かがリオンの身体を抱きかかえる。

 そして、そのままどこかへと連れ去っていくようだった。


 ---




 リオンは夢を見た。

 とても懐かしい光景だ。

 まだ、家族がいた頃の思い出。

 父と母、そして妹の四人で暮らしていた頃の記憶だ。

 それは幸せな時間だったと思う。

 いつまでも続くと思っていた。

 だが、ある日突然、全てが変わった。

 両親が死んだ。

 妹のルイサと共に生き、冒険者となった。

 同じく冒険者だったキョウナとも仲間になった。

 メルーアと出会ったのはこの辺りだったか。

 しかし後にガ―レットに全て奪われて…


 ---



 そこで目が覚めた。

 見慣れない天井が見える。

 ここはどこだろうか? リオンはベッドの上に寝ていた。


「(俺は確か…)」


 イレーネと戦って、それから…

 記憶が蘇ってくる。

 リオンは勢いよく飛び起きた。

 自分の手足を確認する。

 特に異常は無いようだ。

 続いて部屋全体を見渡す。家具は少なく、殺風景な印象を受ける。

 と、その時…


「リオンさん…リオンさん!?」


 そう言って部屋に入ってきたのはアリス。

 彼女はリオンを見るなり、泣きながら抱きついてきた。

 いきなりの出来事に戸惑ってしまう。

 そんなリオンに向かって、彼女は叫んだ。

 涙声で。

 必死に。


「アリス…?」


 何度も名前を呼ぶ。

 だが、リオンにはその意味がよく分からなかった。

 なぜ彼女が泣いているのかも。

 どうやらまだ記憶が混濁しているようだ。

 ただ、自分が何か大変なことをしてしまったことだけは理解できた。

 リオンは彼女を安心させるように頭を撫でる。

 しばらくして落ち着いたところで、事情を聞くことにした。


「一体何があったんだ?」


「はい…実は…」


 彼女は語った。

 リオンが荒野で倒れていたこと。

 それを偶然通りかかった『旅人』が見つけたこと。

 その『旅人』が、行商人に頼み込みこの村にリオンを運んでもらったということ…


「…というわけです」


「そうか…」


 リオンは全てを思い出した。

 イレーネと戦い、負けたことも。

 そして、その後、謎の人物に助けられたことも…

 リオンは尋ねた。


「その人は?」


「さあ、行商人の方もすぐにどこかに行ってしまったので…」


 リオンはその言葉を聞き、考える。

 おそらく、その人物は自分を助けた後すぐに移動したのだろう。

 だとすれば…


「(あの時見た人影は気のせいじゃ無かったんだ…)」


 そう確信した。

 ともかく、今は無事だったことを喜ぼう。

 そう思った。


「…もしかしたら、メルーアさんだったのかも?」


 助けてくれたのはメルーアではないか?

 アリスはそう推測した。

 少し前に別れたばかりだが、まだ近くにいたのかもしれない。


「もしかしたら、ですけど…」


「でもなんか、たしかに『懐かしい感じ』がした…」


 その時、リオンとアリスの会話を聞きつけたのか、エリシアとシルヴィが部屋に入ってきた。

 二人はリオンを見ると、ほっとした表情を見せた。


「よかった~!」


「ほんとだよ…」


「心配かけてごめん」


「いいの!こうして無事に帰ってきてくれたから」


 そう言うと、シルヴィは再び涙を流し始めた。

 それを見て、リオンは心を痛める。

 本当に申し訳ないことをしたと思った。


「…そういえば、ここはどこ?」


 ふと思い出し、尋ねる。

 まだ記憶が混濁しているようだ

 すると、エリシアが答えた。


「クーレス村、予定では次の目的地に決めてた場所だよ」


 改めて、アリスたちはこれまでの経緯をリオンに説明した。

 イレーネとの戦いの後、自分たちは廃村で隠れていたこと。

 ガ―レットの襲撃があったこと。

 そこから逃げたこと。

 その後、リオンが来ることを信じてこのクーレス村で待っていたこと。

 そして、ボロボロの状態のリオンが運ばれてきたので、急いでみんなでこの病院まで運んだこと…


「ヴォルクさんは?」


「外で寝ています。ずっと見張りをしてくれていたので…」


「そうだったのか…ありがとう、助けてくれて」


「いえ、私たちは何も…」


「ううん、君たちがいなかったら俺は死んでいたかもしれないから」


「でも、結局、リオンさんは一人で戦っちゃいましたね…」


「はは…」


 リオンは苦笑しながらも、彼女たちに感謝していた。


 アリスがリオンの怪我の治療をする中、エリシアは今後のことを話し始めた。

「それで、これからどうしようか?」

 三人は考え込んだ。

 アリスとしては、リオンが回復するまでここで待っていたいと思っていたのだが、ガ―レットの襲撃を考えると、一刻も早く安全なところに行きたいという気持ちもある。

 シルヴィも同じようなことを考えていた。

 すると、エリシアがこんなことを言い出した。


「やっぱり、予定通り次の目的地に向かうのが良いんじゃないかな…もちろん、リオンくんが治ったらだけど」


 シルヴィは驚いたような表情を浮かべた。

 しかし、すぐに納得したような表情に変わった。

 確かに、それが一番安全かもしれないと思ったのだ。


「(心配してくれているんだな…)」


 そう思うだけで嬉しかった。

 同時に、胸の中に熱いものを感じた。

 今まで感じたことの無い感情だ。

 だが、悪い気分ではない。むしろ心地良いくらいだ。

 それはまるで、お日様のような温かさだった。

 リオンは決心する。

 必ずみんなを守り抜く、と。

 もう二度とこんな想いをさせないために。

 そのためなら、どんな危険にも立ち向かってみせる。

 だが、彼は首を横に振って言った。


「俺は…ガ―レットたちとの決着をつけたい」


 決意に満ちた表情。

 シルヴィとエリシアは、彼の言葉に何も言い返せなかった。

 リオンの気持ちは痛いほど分かるからだ…


「奴らは今、クラックビレッジにいると言っていた」


 イレーネにやられた後、彼女が言っていた町の名前『クラックビレッジ』。

 それを聞いてアリスがハッとした顔になる。

 そういえばガ―レットもその町の名を上げていた。


「クラックビレッジ…」


 と、その時、病室の扉が開かれた。

 入ってきたのはヴォルクだった。

 彼は部屋の中を見渡すとほっとしたような表情を見せた。

 そしてそのまま近づいてくる。


「起きたのか、リオン。もう大丈夫なのか?」


 心配そうに尋ねるヴォルクに対し、リオンは笑顔で答えた。


「ええ」


「そうか、良かった…」


 そう言うと、彼は胸を撫で下ろした。

 リオンは改めて礼を言う。そして、これからの予定についても説明した。

 ガ―レットとの戦いのことを…

 話を聞き終えたヴォルクはしばらく黙り込んだ後、口を開いた。

 真剣な眼差しで問いかける。

 それは、リオンの覚悟を問うものだった。

 もし戦いに行くならば、それ相応の覚悟がいるからだ。

 リオンは答える。


「たとえ、この身体が動かなくなっても戦い続けます」


 その答えを聞き、ヴォルクは満足げに微笑んだ。

 そして、彼は言った。

 リオンの意思を尊重すると…

 その言葉に安心したのか、リオンは少しだけ表情を明るくした。

 だがすぐに真剣な表情に戻る。

 もう迷いは無いようだ。


「だが、どう戦う?」


 敵がガ―レットだけならば勝つことは出来るだろう。

 しかし向こうにはイレーネもいる。

 彼女は強い。

 今まで戦ってきた相手の中でも、間違いなく最強の存在だ。

 しかし策が無いわけでは無い。


「一つ考えがあります…!」



面白かったと思っていただけたら、感想、誤字指摘、ブクマなどよろしくお願いします! 作者のモチベーションが上がります! コメントなんかもいただけるととても嬉しいです! 皆様のお言葉、いつも力になっております! ありがとうございます!

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