168/173
足掻く頭
白浜組の頭こと白浜倶天は焦っていた。どう考えても次郎を引き上げることができそうにないのだから。
次郎を支えながら海に浮く。泳ぎが苦手なわけではないが得意でもない頭である。いくら次郎が軽いとはいえ、徐々に厳しくなりつつある。
心臓マッサージや人工呼吸の経験はなくとも、半端な知識だけなら薄っすらと頭の片隅に存在する。だが、どちらにしても……どうにもできず、苛立ちだけが頭を支配していく。
「クソがぁ!」
苛立ちまぎれに岸壁を殴る。いくつかのフジツボが命を散らす代償に、その拳から血が流れていく。
「あ……」
だが、自分の拳を見て何やら考えついたらしい。




