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罠3
再び取り調べ室に戻された次郎。先ほどまでと違うのは手錠をかけられていることだろうか。
「言え! 逃亡しようとした理由は!」
「お前がやらせたってのはもう分かってんだよ! 年端もいかない女の子に姉を刺させるなんてこの外道が!」
「しかも署内で暴行とはふざけやがって!」
もちろん次郎には何も分からない。ひたすらおろおろとすることしかできない。
「おい、弁護士の接見がきたぞ。いけるか?」
「いいやダメだ! 先ほどとは容疑が違うからな! 署内での現行犯だし、逮捕状から供述調書から巻きなおす必要がある!」
「いいんですか? あんま無茶なことは……」
一般的に弁護士はどのような場合でも、接見禁止が付いていようとも接見できるはずなのだが……
「てことで俺はちょっと抜ける。その間こいつをしっかり締めつけといてくれや」
「はい……」
そう言って黒さんと呼ばれる刑事は取調室から出ていった。




