次郎の日常
一朗と一哲が瀧川家の私室で杯を傾けている頃。次郎は汗を流して働いていた。
「おらぁ次郎ぉ! もうちょい上じゃあ! そう! そのまま動くなぁ!」
「おっしゃあ! そこでええ! そのまま打ち殺しとけや!」
「そんだら次郎はこっからあっこまでやれ。おうリンゾー、面倒みちゃれよ?」
「はいよー。つーかもう次郎できろうがね? のお次郎ぉ?」
曖昧に返事を返す次郎。リンゾーから見ればもう一人前なのだろうか。
あそこからここまでをやれと言われた次郎。言われた通りの場所で作業を始める。
ロープにぶら下がり、斜面に向かってひたすらハンマーを叩きつける次郎。昔はすぐに手首が痛くなったものだが、今では一時間だってハンマーを振るっていられる。
言われた場所の作業が終われば次の場所へ。次郎以外の者なら見ればどこをやればいいのか分かるのだが、次郎にはまだ分からない。
だからきちんと聞くようになった。次郎にしてはかなりの成長だろう。昔は何をしていいか分からない時は、ただおろおろするだけだったのだから。
同時刻、瀧川家では……




