もふもふたちと、梅雨。
ザーーーーーーーッ………
昨日から降り続く雨。今年は空梅雨なのかな?と思うくらい、毎日いい天気で雨なんてほとんど降らなかったけど…そうでもなかったみたい。
雨は嫌いじゃないけど、洗濯物を外で干せないのがマイナスな点かな。いや、それよりも何よりも─…
「…柴田さーん」
寝室に行くと、柴田さんがベッドの上で布団に丸まっていた。昨日からずっとこんな感じだ。
柴田さんは私のお家に来る前、別の人のぬいぐるみさんだったみたいなんだけど…雨の日に悲しいことがあって。だから、柴田さんは雨が大の苦手で。
でも、普段ならぬいぐるみたちが傍にいたら、雨の日でもリビングで遊んだりするのに、今回は寝室に籠りっきりだ。
「ぬいぐるみたちリビングで遊んでるけど…柴田さんも一緒に遊ばないの?」
私はベッドにとふんと座り、布団にくるまる柴田さんに話をかけた。
「…遊びたいですけど、あまり気分がよくなくて…」
「そっか…」
「…昨日、夢を見たのです」
「夢?」
「はい…その……あの時の…あの、雨の日の夢を…」
「そっ…か…」
布団から少し出てる柴田さんの頭を、優しく撫でる。私のぬいぐるみたちは歩いたりしゃべったりするけど、ぬいぐるみだから…涙は出ない。でも、すごく悲しそうなのが…柴田さんの声や表情から伝わる。
私が柴田さんの頭を撫でていると。
───コンコン。
「柴田しゃーん、ママー入りましゅよ」
と、くまくまたちが寝室に入ってきた。くまくまたちが来ると、柴田さんはゆっくりと布団から出てきた。
「柴田しゃん、やっぱりまだお元気ないでしゅか?」
と、くまくまが言う。
「…はい、あんまり気分が良くないですね。一緒に遊べなくてごめんなさい」
と、柴田さんが言うと、ぬいぐるみたちはふるふると頭を横に振り、そして。
「ぎうっでしゅ」
と、くまくまは言いながら、柴田さんを抱きしめた。
「うさろんも…ぎゅっ」
と、うさろんも柴田さんのことを抱きしめた。
「我輩もむぎゅ、にゃ」
と、いつもはにゃーにゃー騒がしいちゃとにゃんだけど、静かにゆっくりと柴田さんのことを抱きしめた。
「わたしも…ぎゅっ、です」
と、スネービーはぬいぐるみたちみんなを包むように巻きつき、抱きしめた。
そして。
「私も─…ぎゅうっ」
と、ぬいぐるみたちみんなを包み込むように抱きしめた。
「…ありがとうございます、みなさん」
ザーーーーーーーッ………
外では大雨が降る。
みんなで優しく抱きしめた後、柴田さんは少し元気になったのか、リビングでぬいぐるみたちと楽しそうに遊ぶ。
柴田さんの笑顔が見れて良かった。
早く梅雨が明けるといいね、柴田さん。




