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84 都市を揺るがす大事件、その2です。

紫煙花の解毒剤を作ると決めるまでは悩んだが一度決断したら、その後の行動は早かった。

まず、亜空間ボックス内の紫煙花の採取からだ。

ちなみに、ついこの前の厄災事件でヒビキ自身が紫煙花の秘薬を飲んだことでパワーアップモードの分身を召喚したのだが、その後試したところパワーアップモードの分身を召喚することは出来なかった。あれは自身で秘薬を飲んだとき限定らしい。まあ、二度と同じことをするつもりはない。

なので今も変らず秘薬は必要で、亜空間ボックス内で紫煙花は咲き誇っている。

残りの材料に関しても市販の物ばかりなので分身に手分けして買ってこさせるのだが量が量なので結構な材料費がかかる。

そして、実のところ装備を新調している最中なのであんまり金がない。

一応、ブラッドスネークの魔石やら鱗やらあるのだがギルドで悠長に換金している余裕もない。

金がない。ならどうするか・・・。


「クーヤ、お金かしてくれ?」

「さよなら、短い付き合いだったわね」


そういって去っていこうとするクーヤ。思わず腕を掴んだ。


「離して! 離せ! いやー! 犯されるー! 誰か助けてー!」

「人聞き悪いこと大声で言うな! 大丈夫、担保になるものあるから! 絶対に損はさせない!」

「詳しい話をいってみなさい」


この身代わりの早さよ。

呆れつつも、この状況では好都合だ。

ヒビキはクーヤを連れて人混みを離れて適当な所で亜空間ボックスに入った。

そして、即交渉に入った。


「借金が嫌なのはお互いさまだ。でも俺は今すぐ金がいるんだ。とりあえず500万ゼニー。だからいま俺が持っている魔石や鱗を買い取って欲しいんだ」

「ギルドに行けばいいじゃない?」

「査定の時間も惜しいんだよ。所でクーヤは500万ゼニー持ってるの?」

「持ってるわよ。それっくらい」

「マジか・・・」


いや、たまに会って話すぐらいだが、なかなか商売が順調そうなのでこうして頼んでいる訳だけど、実際に500万ゼニーをあっさりと持っていると言われると、こいつはなんでシーフやっていて角うさぎの皮一枚で駄々をこねたんだかホントわからないけど、とりあえず助かった。


「とりあえずこの魔石全部とブラッドスネークの鱗全部で500万になるか?」


クーヤは魔石や鱗をささっと見ると答えた。


「・・・こっちは構わないけど、ホントにいいの? ギルドで買い取ったら1000万を軽く超えるわよ?」

「構わないから今すぐ買い取ってくれ」


トントン拍子で話はまとまり、クーヤから貰った金を持った分身が街に買い出しにいく。


「何をそんなに急いでいるの?」

「あー・・・」


ちょっと迷ったが正直に言うことにした。

どのみち、この状況じゃあ隠せない。

調合室で準備を整えている分身から、作り置きの完成品を受け取りクーヤに見せる。


「何それ?」

「紫煙花の解毒剤」

「えっ⁉︎ ・・・はぁ⁉︎」


クーヤは絶句した。


「ちょ・・なんであんたはそんな物持っているの⁉︎ 本物⁉︎ 紫煙花の解毒剤なんて見たことも聞いたこともないわよ⁉︎」

「・・・」


さてなんと答えるべきか?

いやぁ、俺の分身を強化する為に紫煙花を育てていて、その過程で解毒剤もできちゃったんだ。

・・・。

・・・。

うん。ないな。何か違う理由にしよう。


「俺が生まれた村の近くの森に深淵の賢者とか呼ばれている凄い物知りな婆さんがいてたまたま紫煙花の解毒剤の作り方を教えて貰ったんだ」


ヒビキは一から十まで嘘をついた。

クーヤはそれにへーっと感心している。

フルルは何か言いたげな目で俺を見ている。


「と、とにかくだな、大至急解毒剤を作る必要がある訳だ」

「確かに、それは急ぐわね。それって何万人分も作れるの?」

「わからない。そんなに作ったことなんてないしな・・・とりあえずやるだけやってみるわ」

「それもそうね・・・ところでそれ幾らで売るの? 商人としては高く売りつけるべきだと思うけど、この状況であんまり足元みると暴動の一つや二つ起きかねないわよ」

「クーヤもそう思う? 正直なところかかった元手くらいは回収したいんだけど、だからって真っ当な値段つけると貧民街の人とか買えないだろうし・・・」


薬、特にエリアで使用する様な代物は総じて高価なのだ。ポーション1本10万ゼニーである。まだ売られたこともない解毒剤だが、やはり2、30万ゼニーあたりが妥当な値段に思える。


「だから最悪ただでばらまくしかないかなって思っているんだけど・・・クーヤはなんかいいアイディアある?」


駄目元で聞いてみたこの質問に意外にも即答が返ってきた。


「あるわ。いい方法」


クーヤは自信満々に胸を反らして宣言した。


「この私が協力してあげるわ。大船に乗ったつもりで安心なさい」


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