74 ドレステルでの戦いです。
翌日、飛行場でたわわちゃんとカテュハさんと合流して空の旅に出かけた。
何気に前世含めても初めてな空の旅に俺は超ご機嫌だった。
たわわちゃんも初めてだったらしく結構楽しそうだった。いいことだ。微笑むたわわちゃん超可愛い。
逆にフルルも初めてだったのだが空高く飛んでいることに戸惑い落ち着かない様子だった。
5時間後ドレステルに到着した。
地上に降りるとカテュハさんがついて来いと言って先頭で歩きだした。
向かう方向は北だった。都市部を抜けて鬱蒼と茂る森の手前で立ち止まり俺たちに言った。
「じゃあ、今回の都市外任務について説明する」
ん? 都市外任務? なんだそれ?
「ちょっと待った」
「なんだ?」
「都市外任務ってなんですか?」
「ああ、少年は初めてか? 都市外任務ってのは迷宮都市以外の都市や街から受ける仕事だ。魔物の捜索、排除が主な仕事だな」
「いやいや、ちがうちがう、そうじゃなくて、都市外任務の言葉の意味がわからない訳じゃなくて、今は俺たち仲良くマジカル都市ドレステルにやってきて、色んな所を見て回って、砂浜で波打ち際のたわわちゃんと戯れる時じゃないですか? なんで都市外任務なんて訳のわからない言葉が唐突に出てくるのかと聞きたい訳です俺は」
「少年、残念なお知らせなんだが・・・今回ドレステルにやってきた理由は遊ぶだめじゃなくて仕事のためだ」
「ええ⁉︎ 聞いてねーしそんなこと!」
「ああ、確かに言ってない。だが遊びに行くとも言ってなかったはずだ。知り合いのこの都市の市長から魔物払いの仕事を任されてな。その為にここまでやって来たんだ」
は、はめられた。俺はカテュハさんの狡猾な策略にからめとられたと今更気が付いた。しかも、今の今まで全く気がつかなかった。何という策士! さすが200歳近い女!
「これが、老練という奴か⁉︎」
俺が正直な感想を言ったその瞬間、カテュハさんの右足がぶれ、俺の顔のすぐ真横を何かが通り過ぎた。一拍遅れて死ぬかと思った。
「・・・・・」
俺は冷や汗を流しながらも、まるで動けずにいた。
そんな風に硬直する俺にカテュハさんはいっそ朗らかに言う。
「私は永遠の20代だ。そんな私の事をお婆さん呼ばわりする奴は今まで全員黙らせてきた。分かるな少年」
俺は頷くしかなかった。
そしてカテュハさんは仕切り直した。不満はあったが言い出せなかった。
「じゃあ、改めて説明するがこの森は瘴気の溜まりやすい場所でな、探知器を設置して常に見張っているんだ」
ちなみに瘴気とは魔物の発生源だ。世界中何処にでも現れる可能性がある。といってもそんなに頻繁に現れるものじゃない。それこそ、一生関わらない人が大半だ。だがら瘴気が頻繁に出現する場所などというのは極めて少なく、極めて珍しい。
「しかも、ここの瘴気から出てくるのは決まって下位悪魔と闇の幻獣でな、厄介極まりないんだ」
「うえー・・・」
俺は呻いた。下位悪魔は本当に下っ端だが闇の幻獣はヤバイ、俺には勝てない相手だ。というより大半の冒険者が勝てない相手だ。
「カテュハさんはアステリアの祝福を持っているんですか」
「いや、持っていない。持っているのはタワワだよ」
「マジか⁉︎ たわわちゃん超スゲー!」
「別に、たまたまスキルを手に入れただけ」
アステリアの祝福。破魔系のスキルの最上位。闇、悪魔系の天敵。特に闇の幻獣は実体がないが故に物理攻撃も魔法攻撃も効かずアステリアの祝福を保有していないと一切のダメージを与えられない。因みにこのアステリアの祝福、迷宮都市の冒険者を見渡しても5人と持っていないと思う。しかも、まだ中級冒険者で保有しているのはたわわちゃんぐらいだと思う。なんてことないように言っているが超凄いことだし、自慢しまくってもいいのにおくゆかしい。
「まあ、だから闇の幻獣はタワワに任せる。そして少年、君には瘴気と敵の探索を頼みたい。この森を普通の冒険者が隈なく探索しようとするなら3日はかかる。しかし君なら1日とかからないだろう」
まあ確かにそういう、しらみ潰しみたいな仕事は俺向きと言えるだろう。だから俺を誘ったのか。でも、正直やる気が出ないんだよなぁ・・・。
「因みに市長の方も慣れたもんでな、報酬も宿も3日分用意されているんだ。仕事が早く終わったなら余った時間遊んでいいぞ。今ならもれなく水着のタワワもつけてやる」
「頑張ります‼︎」
やる気出た。超やる気出た。




