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67 新スキルです。

弾鋼を採りに行って炎の小人と戦っている内にレベル25になった。


ステータス

ヒビキ=ルマトール

無限術士Lv 25

闘気 0

魔力 500/500

スキル 分身召喚×25 分身召喚数倍化×2 (最大召喚数 100) 代行権


分身の最大召喚数は順調に増えついに100を超えた。凄い順調だ、

そしてもう一つ、新しいスキルを取得した。


『代行権』


うん。分身が増える系のスキル以外で初めて取得したスキルだから嬉しいし、かなり有用そうなスキルなんだが、でも正直攻撃系の派手なスキルが良かったなと思っちゃうぜ。

そもそも、他のジョブを見習ってもっとガンガンスキルを取得してもいいんたぜ。

なんて事を考えながらも俺は『代行権』を使ってみた。

魔力を5ポイント使って生み出されたものはメガネだった。


「メガネ」

「メガネ」

「メガネ」


俺とフルルと一号は同じ言葉を繰り返した。

とりあえず自分でかけてみた。

生み出されたメガネは素通しで度が入っていなかったので視界はいつも通りだ。

因みに前世の俺はメガネマンだったので違和感もそう感じない。なつかしいなと思うぐらいだ。

でも、特別何かが変わった訳ではない。まあ、そうだろう『代行権』というスキルは自身に作用するスキルではないのだから。


「一号、このメガネをかけてくれ」

「あいあいさー」

「どうだ?」

「うーん、たぶんですけど分身達の支配権が俺にも分け与えられているかんじですかね」

「やっぱりか」


俺は納得した。『代行権』は希少というよりマイナーなスキルで。例えば精霊使いが契約精霊を一時的に他者の支配下に譲り渡したりするスキルだ。無限術師の場合は分身達の支配権の譲渡だろうとは思った。

とはいえ一号が分身を作り出せる訳じゃあないと思う。


「ちょっと試してみてくれ」

「あいあいさー・・・駄目ですね」


あっさりと一号は否定した。まあ、分身がスキルを使えない事は把握していたし、そこまで万能ではないと予想はしていた。

というより無限術師がこのスキルを使用するなら使い方は一つしかないと思う。

とりあえず分身を20人程召喚して、


「じゃあ、俺これから、ちょっと昼寝するわ」


そう言って、俺は眠りについた。

・・・。

・・・。

・・・。

数時間後、俺はあくびと共に眼を覚ました。

そんな俺に一号が声をかけてきた。


「おはようございます!」

「寝起きにうるさい・・・で? どうだった?」

「ばっちりっすよ! 隊長が眠っても分身達は俺が支配して消えなかったです!」

「そうか、消えなかったか・・・」


寝ぼけた頭でも実験が成功した事に満足した。

俺が寝ていても『代行権』を持っている奴が代わりに指揮を執る。

例えば、何らかの理由で睡眠状態や気絶状態に陥っても分身が解除される事はなくなるのだ。地味だが有用なスキルだ。

そして、再度ステータスを見ると魔力が500まで回復していた。

分身達が召喚されて居ようが居まいが寝れば魔力は回復するらしい。これもまた良い情報だ。


「遠慮なく、分身達を働かせられるなぁ」


そう思った。このスキルがあれば靴屋の小人よろしく俺が寝ていても分身達は仕事をするのだ。

例えば、氷青鋼の防具なんかはもう俺の方で作ろうかと思っている。

氷青鋼を精製して型に流し込んで、あと細かいところを整える。闘気を通す必要もないから工程としては簡素なもんだ。

ぜひ、俺が寝ている時も作って貰おう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『代行権』を得てから数日、俺は起きてから分身達がどうなっているかを確認するのが当たり前になっていた。

そして、今日は分身達の様子がおかしい。狂喜乱舞している。

どうしたのか尋ねてもやりましたとしか返ってこない。

一体何事だと思いながら部屋を出て隣のフルルの部屋をノックした。

フルルは既に起きていたので亜空間ボックスを開いてもらい。いつもの部屋に入った。

そして、一号を呼び寄せると開口一番。


「やりました‼︎」

「だから何をだよ?」

「紫煙花の解毒薬の開発に成功しました!」

「・・・まじで⁉︎」


俺は一気に眠気が覚めた。

そう、俺は防具の作成以外にも紫煙花の研究も分身に命じていたのだ。

フルルにお願いして薬剤室を隣に持ってきてもらい、壁を透明にしてもらった。

そこでは、分身達が拳を合わせたり、ハイタッチしながら解毒薬の完成を喜んでいた。どいつもこいつもやり遂げた顔である。


「紫煙花の花を軸に10種類の薬剤を混ぜ合わせました。煙を吸った時はもちろん、秘薬にすら効果があります。いやっほう!」


もちろん、まだ試作段階で研究を続けなきゃいけないんですけどね。


一号はそう言ってまた薬剤室に戻っていった。そして、みんなと喜びを分かち合っている。

そこに俺は入れない。解毒薬が完成したとはいえまだ試作の段階で紫煙花の近くに近寄りたくはない。

でも何か悔しい。隣のフルルに愚痴った。


「あ〜、何か手柄を取られてしまった」

「取られたも何にも、紫煙花の育成や研究は全部、分身さん達に任せきりだし」


呆れた表情でフルルに言われた。

そうなのだが・・・確かにそうなのだが、でもなんとなくやるせなく感じた。

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