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66 メガネの弓使い、その7です。

あれから数日、今日は休みなのでたわわちゃんに会いに行く事にした。

この数日は忙しかった。あの日途中で弾鋼な採取を切り上げた為に目標金額に届かず再度弾鋼を採りに行ってきた。

そして、魔鉱炉をクーヤから買い亜空間ボックスを二つつなげて工房を作った。

他にも色々と準備に大変だったが無事氷青鋼の精製に成功した。ヒビキ工房絶賛稼働中である。

でもスゲー疲れたから今の俺には癒やしが必要なのだ。

たわわちゃんのよく通う店を順繰りに見ていったら3件目に彼女を見つけた。

相変わらず可愛いなぁ、と見入っていたらおかしな物を発見した。

たわわちゃんを遠巻きに見つめているアストリアさんである。


「おーい」

「あ、ヒビキさん。こんにちは」

「ああ、こんにちは・・・で、一体なにをやっているの?」

「? 見てわかりませんか?」

「えーと、もしかして前の事を根に持ってたわわちゃんに復讐する機会を探っているの?」

「そんなわけないじゃないですか!」


怒鳴られた。じゃあ何してんだよ?

そんな俺の疑問に彼女は素直に答えてくれた。


「それはもちろんたわわ様のお美しいお姿を見る為です。ああ、彼女の神々しいお姿を見るだけで心が癒されます」

「・・・・・」


一体何があった? いやほんと何があった⁉︎


「えっ・・えーと、アストリアさんはたわわちゃんのことが嫌いじゃなかったっけ?」

「それはたわわ様の尊さを知らなかっただけです。ですがあの決闘で私は知ってしまったんです」


そう言って腕を組み神に祈るかのようなアストリアさん。


「私はですねぇ。実のところ、空を舞う私こそ特別で地を這う凡人どもよりも遥かに特別な存在だと思っていました。ですが、たわわ様は私よりも遥かに特別で彼女の前では私など羽をもがれた虫ケラにすぎなかったのです。そんな虫ケラが死に行く所を女神の様な優しさで救ってくれたんです」

「あー・・・」


なんとなく納得はした。アストリアさんは変な人だが変な人なりに決闘でたわわちゃんのことを認めたのだろう。

戦って負けた方が勝った方を怨む事はよくある事だ。だがそれと同じくらい戦った相手に好意を抱く事だってある。

野球やサッカーで試合が終わった後、ユニホーム交換する事もあるし、河原での決闘のあと親友になるアホもいる。

たわわちゃんに完敗して命まで救われたアストリアさんがたわわちゃんを崇拝することだってそれ程おかしなことではないと思う。まあ、間違いなくアストリアさんはおかしな人ではあるが・・・。


「ちなみにカイル様のことはいいの?」

「カイル様? 誰ですかそれ?」

「いや、たわわちゃんが投げ飛ばしたやつ。憧れていたんじゃないの? だからたわわちゃんと決闘したんじゃん?」

「知りませんねぇ。興味もありません。たわわ様にご迷惑をかける者など、どこぞでのたれ死ぬばいいと思います」

「まじかよ・・・」


あんなに熱く語っていたのに・・、切り替えが早いなこのメガネ・・・。

俺が呆れている間も彼女は一心不乱にたわわちゃんを見つめていた。


「・・・ちなみに今日いつからたわわちゃんを眺めているのさ?」

「もちろん、お屋敷を出てからずっとですよ」

「うわぁ・・・」


もうストーカーだろそれ・・・。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それで、たわわちゃんはアレいいの?」


たわわちゃんと同じテーブルについて料理を頼んだ俺はたわわちゃんに尋ねた。


「・・・別に、遠巻きに眺めているだけなら問題ない。それに・・・」


と、たわわちゃんは俺を見つめながら言った。


「私の周りにはもっとずうずうしい奴がいるから」

「ええっ?」


アレよりもっとずうずうしい奴⁉︎ 奴ってことは男⁉︎


「たわわちゃん大丈夫⁉︎ メガネよりずうずうしいとなると完全にストーカーだよ⁉︎」

「・・・・」

「あれか⁉︎ たわわちゃんなんだかんだで優しいからきっぱりと拒絶できないのかな? なんなら俺が力になるよ」

「ヒビキ・・・本気で言ってる?」

「もちろん! たわわちゃんの為なら、どんなに強かろうが、どんなに権力があろうが、どんな相手にだって負けないぜ!」

「そうじゃなくて・・・」


なんとなく疲れた表情のたわわちゃんは首を振った。そして、


「別にいい。・・そいつはずうずうしいし、馴れなれしいし、いらいらさせられる事も多いけど、休日に一緒に食事をするぐらいは・・・まあいい。もう拒絶する方が面倒くさい」

「ええっ⁉︎ 一緒に食事⁉︎ それってデートって事⁉︎」

「絶対に違う」

「でも・・・でもぉぉぉ!」


それから、そいつの事を聞きだそうとしたが、たわわちゃんは教えてくれなかった。




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