竜人の様子
「ロゼ。そろそろ、竜人の様子を見てきてほしいのじゃが」
「竜人……確か武器を任せていた人たちですよね? 分かりました!」
「頼むぞ。そろそろ回収しておきたいのでな」
アリアに呼び出されたロゼに告げられたのは、竜人たちから武器を回収してくれという内容だった。
依頼をした時から、それなりに時間が経っているため、満足できるだけの質になっているはずである。
ロゼは当然そのお願いを断るわけもなく、二つ返事で快く引き受けた。
「えっと……竜人さんの元へは、私一人で行くのでしょうか……? 誰か一人は仲間が欲しいです。できればリヒ――」
「――それならロゼが選べば良い。断るやつはおらんじゃろうからな」
「あ、ありがとうございます!」
ロゼが言い切る前に。
アリアから簡単に許可が下りる。
ここで共に行動するために誘う存在は、ロゼの頭の中に一人しかいなかった。
「そういえば魔王様。新しい人が増えたという話を聞いたんですけど、本当なのですか?」
「あぁ。面白そうじゃから仲間にしてみたのじゃ。ポンコツの雰囲気があるから、少し不安なのじゃがな」
「なるほど……それなら挨拶に行かないとですね。新しい環境で戸惑っているかもしれませんし、早く慣れてもらわないと」
理想的な先輩の考え方を持つロゼは、新しく入ったばかりのラエルを気に留めているらしい。
自分の経験からか、それとも想像の範囲なのか。
慣れない環境の苦労というのを知っているようだ。
「お主はどこまでもお人好しじゃな。そうじゃ、一緒に連れて行ってやれば良いのではないか?」
「うぐっ……ラエルさんの助けになるなら……」
ロゼは、不意をつかれたようにピクリと跳ねる。
ラエルを連れて行くとなったら、リヒトと二人きりの状況は作りにくくなるのは明白だ。
フェイリスなら、間違いなく自分のことを優先するだろう。
しかし。
自分の欲とラエルのサポートを天秤にかけた場合、ロゼの性格では後者を選んでしまう。
ここで、二人の大きな差が出ることになった。
「あの、ラエルさんってどのような方なのですか? 怖くない人ならいいんですけど」
「騒がしいが、悪いやつではないと思うぞ。少し狂信者的なところもあるから、地雷を踏むと面倒くさそうじゃな」
「そ、そうですか……気を付けます」
アリアの説明で、不安な気持ちに苛まれてしまうロゼ。
この説明だけだと、比較的苦手な部類に入ることになる。
聖女という情報はロゼの耳にも届いているため、余計に仲良くなれるか心配だった。
「まぁ、リヒトが一緒じゃから大丈夫じゃろ?」
「は、はい!」
元気の良い返事。
どれだけリヒトを信頼しているかというのが、それだけで見て取れた。
今ロゼの頭の中にあるのは、竜人ではなくその二人のことだけだ。
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