合流
「お、兄貴。帰ってきたのか」
「ピート。何か問題はなかったか?」
地下室の入り口で鉢合わせる形。
ライズとピートは、偶然にもアリアの視界外で出会うことになった。
「というか、そろそろ新しい服にしたらどうだ? もうボロボロじゃないか」
「この服が気に入ってるんだからいいんだよ――それより、期待の新人があらわれたぜ」
ライズの指摘に構うことなく、ピートは先程までの出来事を全て伝える。
アリアという存在は、ライズからしても貴重な存在であるはずだ。
ピートの予想通り、ライズは興味津々に食いついた。
「新人だと? そんなの俺は許可していないぞ?」
「まあ落ち着けって。世にも珍しい子どもの暗殺者だ。こいつを使えば、大抵の仕事は楽勝だよ」
「待て待て。状況が分からない。子どもの暗殺者を捕まえたっていうのか?」
ライズはバカバカしいと言わんばかりの表情で、ピートの顔をゆっくりと見る。
この短時間で――しかも子どもの暗殺者を捕まえたという情報は、到底信じられる話ではない。
普段からヘラヘラしているピートであるだけに、ライズは半分も信用してはいなかった。
「そもそも、暗殺者だとしても仲間になんてなるわけがないだろう。逆に命を狙われるだけなんじゃないか?」
「首輪に爆薬でも仕込んどけばいいだろ。生意気なら奴隷商にでも任せとけばいい」
「……とにかく、変な追っ手は捕まえたってことだな」
ピートに嘘をついている様子が全く見えないライズは、仕方なくその話を進める。
ずっと平行線をたどっていても、時間が無駄に過ぎていくだけだ。
そんなことをするなら、実際にこの目で見た方が早い。
「あぁ。いきなり、怪しい男を見てないかって聞いてきたぜ。捕まえるのはかなり簡単だったが、雰囲気だけなら今までで一番だ」
「なんだそいつ……? ちゃんと拘束してるんだろうな?」
「当たり前だろ。武器も持っていなかったし、あの縄は抜けられないよ。そんなに気になるなら、自分の目で見ればいいだけの話だって」
「……チッ。俺は女王の相手で忙しいんだがな」
軽くライズが舌打ちをして、地下室へと繋がる階段に足をつけた瞬間。
何かが破壊されるような音が、地下室全体に響いた。
ここにいるライズとピートは全く動いていない。
つまり、三人目による仕業と考えるのが自然である。
二人は視線を見合わせると、嫌な汗を同時に流した。
ブクマ、評価、感想よろしくお願いします!




