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護衛任務?


「リヒトさん、お仕事なの」


「……うん」


「な、なんで落ち込んでるなの?」


「ど、どうしたのじゃ? 何か悩みでもあるのか?」


 新しく任された仕事に、リヒトは残念そうな顔を浮かべていた。

 リヒトの体に疲れが残りまくっていることを知らないアリアとフェイリスは、いつもと違う反応に心配の声を寄せている。


 もう少し粘れば、今回は見逃してもらえるかもというほどだ。


「いや大丈夫。それより、気になることって何なんだ?」


 しかし、必要以上に二人を心配させるわけにはいかない。


 それに。

 この程度で疲れたと言っていると、ロゼに笑われてしまうだろう。

 あと一息と自分に言い聞かせて、リヒトは話を進めた。


「あ、あぁ。実はラトタ国にベルンの命を狙っている者がいるらしいのじゃ。単刀直入に言うと、ベルンが護衛を欲しいと言っておる」


「……? それって、俺じゃなくてもベルンの配下に任せたら良いんじゃないのか?」


「そうなのじゃが、ベルンは配下のことを全く信用しておらんらしい。敵が腕利きの暗殺者となると尚更じゃな」


 やれやれ――と、アリアは呆れたように首を振る。

 本来なら、そのようなことに時間を使いたくないようだが、ベルンの安全を保障すると約束してしまった以上、断ることはできなかったらしい。


 リヒトからしてみれば、もしベルンが死んだとしても蘇生させることができるため、かなり難易度の低いミッションだ


「まぁ、ただでさえ人間界は混乱しておるタイミングで、暗殺者に狙われるベルンは可哀想じゃと思うがな。警備も手薄になっておるじゃろうし」


「……でも魔王様。そのベルンって人が死んだタイミングで、リヒトさんが向かったのじゃダメなの?」


「それは絶対にダメじゃ、フェイリス。ただでさえ人間界は混乱しておるのに、女王が殺されたとなっては国が崩壊してしまう。更にそれで生き返ったとなったら、人間たちにベルンの正体もバレてしまうじゃろう」


 フェイリスの疑問に、アリアはもっともな答えを返す。

 今回の任務は、ただベルンを守るだけではない。

 ベルンの立場も守らなくてはならなかった。


 つまり、ベルンが殺されるところを見られてはならないのだ。

 殺されたはずの女王が生き返ったとしたら、その場は凌げたとしても間違いなく疑いの目が向けられるだろう。


 そうなると、ベルンが人間でないことが明るみに出るのは時間の問題である。


「というわけで、この任務はリヒトにしか頼めないのじゃ。引き受けてくれるか?」


「頑張るよ」


「流石リヒトじゃ! そう言うと思っておったぞ!」


 リヒトの返事に、アリアは素直に喜んだ。

 依頼を受ける側からしたら、変にスカされるよりかも、このように喜んでくれた方がやる気も出る。


「――言うのを忘れておったが、ベルンの友人として城に招かれる設定じゃ。服は用意しておるが、変なことをしでかすでないぞ」


「気を付けるよ」


「ちなみにこれが儂の衣装じゃ! なかなか似合いそうじゃろ!」


「いや、アリアも付いてくるのか!?」


 こうしてリヒトは。

 アリアと共に、ラトタ国へと招かれることになった。



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