対立
「それで、リヒトさん。今日はどういった御用なのでしょうか?」
「いえ、お任せしていた武器の確認をしたいなー――と思いまして」
「それならちょうど良かった! 今日できたばかりなんですよ!」
ラルカは、笑顔を浮かべてカインから武器を奪い取る。
そして、迷うことなくリヒトへと手渡した。
それほど出来栄えに自信があるのだろう。
「うわぁ――凄いですね。ここまで輝きを取り戻すとは……」
リヒトからは、生まれ変わったその武器を見て、感嘆の言葉しか出てこない。
アリアから預かった段階では、長い年月により武器本来の輝きは失われていた。
素材は良いとしても、それを手入れする者がいなければ全く意味はない。
そういう意味では、竜人という存在は替えがきかない存在である。
それに、ここまでの技術を持っている者であれば尚更だ。
「どうでしょうか!」
「素晴らしいです。ありがとうございました」
「はい!」
ラルカは最後まで不安そうな顔を見せずに、リヒトの言葉を受け止めた。
やはり、竜人でも人間でも褒められると嬉しいらしい。
職人気質な性格ではなく、年齢通りの性格であるようだ。
「あの、リヒトさん。これほどの武器は、どこで入手したのでしょうか……? ずっと作業をしながら考えていたのですが、とても人間界のものとは思えなくて……」
「これは、俺の上司から借りたものだから……人間界の素材じゃなくても、頷けるかもしれません」
「上司! 団長的な存在でしょうか。凄い御方なのですね」
上司という言葉を、人間の上司として解釈したラルカ。
主人が魔王であるということは、まだ竜人たちには告げていないため、仕方の無い誤解であった。
今から訂正するとなると、里の竜人が全員集まっての話になりそうなので、リヒトは黙って頷いておく。
「ロゼ。この武器って、どこで手に入れたか知らないか?」
「すみません、私は聞いたことがないです……」
ダメ元でロゼに聞いてみるが、返ってきたのは申し訳なさそうな返事だけである。
言葉以上に、ごめんなさいと目で訴えていた。
この視線を向けられては、リヒトが責めるようなことはできない。
「まぁいいか。そうだ、お代は――」
「――お代は結構です。そうだろ、ラルカ姉さん」
「もちろん。むしろ、まだ恩は返せ切れてないくらいだよ」
リヒトの言葉を封殺するように。
カインはスっと立ち上がった。
有無を言わせぬ立ち回り。
二人からは、絶対に譲らないという気持ちが溢れている。
「リヒトさん! お代は払うべきなのです! というか、私は人助けをしに来たのです!」
ここで、予想していない場所から第三勢力のラエルが現れた。
こちらも譲る気は無いといった面構えだ。
ガブラエル教の教えと、人助けしたい欲望がその体を動かしているのだろう。
竜人とラエルでの、数分間の言い合いの結果。
実は怪しい人間を近くで見た――と。
先に折れたのは竜人の方であった。
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