プロローグ鏑木拓斗
気がつくと、俺、鏑木拓斗は真っ白な空間にいた。
「へぁ?」
思わず、マヌケな声を出してしまった。
落ち着け俺。こういうときは素数を数えるんだ。
2、3、5、7、11…ふう。
よし。さて、俺が今置かれているこの状況。これはアレか?期待しちゃっていいのか?
いや、きっとそうだ。そうに違いない!
「異世界転生キタコレ!」
そうと決まればあれだよな?あるよなあれ?
「チートはどこだ!」
『目の前の媒体を使い、ポイントを消費することにより設定する異世界転生の特典が該当します。なお、あなたのポイントは800です。』
「!?」
ビックリした。いきなり声が聞こえたぞ。これはもしや…
「あなたは女神様ですか?」
『いいえ。私には性別の概念はありません。そして、私はただ、ここに来た方々の質問に答えるだけの存在であり、神のような力を持ちません。』
おお。けっこうこの天の声?さんは詳しく説明してくれるんだな。
まあ、いいや。それより媒体って…
普通に目の前にあったは。
興奮しすぎて見えてなかったっぽい。
持ってみると、画面には
《異世界転生特典一覧》
と書いてある。にしても本当に異世界に行くんだな。てことは俺、死んだんだよな?そういえばなんとなく女の子を助けてトラックを避けられなかった気がする。あの子元気かな?そして俺の体どうなったんだろう?やっぱりひき肉…やめよう。そういや、葬式とかどうしたんだろう?俺の家族は全員死んでるし、親戚もいないし、親しい友達も…やめよう。
うん。今は転生に集中!
さて、画面を下にスクロールしていくと
〈各種初期身体能力〉
〈各種才能〉
〈各種初期技能〉
〈各種特殊能力〉
〈各種出生条件〉
〈その他〉
残り800ポイント
とある。それぞれタップすると、様々な項目や、能力などの一覧が出てくる。
特に〈各種特殊能力〉には明らかに凄そうなのが盛りだくさんだ。【不老不死】とかあるんだせ。しかも100ポイント。確かに他の10ポイントや20ポイントと比べれば高いが、俺の持ちポイントは800。そこまで痛くない。
ん?何で【能力強奪】が二つあるんだろう?確かに片方は30ポイントもう片方は100ポイントと違うけど、何が違うんだ?それに【能力簒奪】や【能力略奪】とか似たようなのもけっこうある。
よし。こういうときは天の声さんに聞こう。
「同じ名前の特殊能力や似たような名前の特殊能力があるんですが、何が違うんですか?」
『詳しくはそれぞれタップしていただければ詳細がわかります。軽く解説いたしますと、基本的に必要ポイントが多くなればなるほど性能が高くなります。100ポイントともなれば完全に制限が無くなります。例えば【絶対記憶】などは10ポイントでは覚えようと思ったことしか覚えられず、覚えられる記憶量にも限界があります。しかし100ポイントの【完全記憶】では全てのことを記憶し、永久に忘れません。ただし、100ポイントの物は性能が良すぎるため、100年と少ししか生きられない人間などに転生するならそこまでの性能は不要と言えます。例え1000年生きるとしても40ポイントの物でほとんど事足ります。【○○の才能】などは30ポイントなら1年もすればその道で超一流。努力次第で最高峰の腕を持つようになります。100ポイントはまず、不死者用と考えてもらって構いません。』
お、おう。天の声さんめっちゃしゃべるな。
でも、よくわかったし、いっか。
う~ん。にしても、たくさんありすぎて迷うな。
ん?これは…
【深淵魔法の才能】200ポイント
【深淵適性】200ポイント
それぞれ〈各種才能〉と〈各種特殊能力〉の最後の方にあった。それぞれ詳細はこんな感じ。
【深淵魔法の才能】
あらゆる魔法の中でも最も修得難易度が高く、最も万能かつ強力な深淵魔法の才能。
【深淵適性】
深淵に対する適性。
はっきり言おう。よく分からない。
天の声さんに説明を求めても、
『その説明欄にある以上の情報を所持していません。』
としかかえってこないし…
…よし、これにしよう。
確かに地雷の可能性もあるが、それでも俺はこれにしようと思う。何より深淵という響きがかっこいい。
よしそうと決まればこれを主軸に他のも決めて行こう。
そして俺は
まず、あらゆる身体能力を全体的に倍にした。これで20ポイント。
さらに魔力など魔法に関係するものを10倍にする。つまり合計20倍だ。これでさらに30ポイント。
そして【気配感知】【魔力感知】【魔力操作】【体術】【刀剣術】【隠密】の才能をそれぞれ30ポイント。そして、【アイテムボックス】【鑑定】をそれぞれ40ポイントのものを。さらに40ポイントの【学習】、30ポイントの【頑強】を選択。
さて、余った20ポイントは…
【素敵な女の子と出会える運上昇】
これにした。
いや、だってさ、来世ぐらい彼女欲しいじゃん?
よし。これで決定、と。




