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家庭教師と不遇

気付いている方もいるかもしれませんが、前話後半に弟の部分を加筆しました。

 俺は5才になった。

 このくらいの子どもなら、多少動けても成長が早いなぁ、ぐらいですむと思う。

 そこで俺は父上に家庭教師を付けて欲しいと頼んでみた。…剣の。


「何?剣の家庭教師を付けて欲しい?」


 少し困惑しているようだ。どうやら特に剣を習わせることには反対していないようだが、なぜ俺がこんなことをいきなり言い出したのかわからない様子だ。


「はい!父上。私は将来騎士になりたいのです。お姫様を守れるような、強い騎士になりたいのです!」


 俺がそう言うと、父上はまあ、これも経験かと剣の家庭教師を付けてくれた。

 既についている学業や礼儀作法などの家庭教師とも相談の上、まずは週に一度二時間程ということになった。


 しかし、その最初の剣の授業で、開始早々俺はまず試合したいと家庭教師に頼み、なんとか聞き入れて貰えた。

 そして、もちろん圧勝。

 さらにその教師にアドバイスをし、試合をする。

 時には切り合いのなかでも欠点を指摘、同時に良かったところは誉める。


 俺はアカシックレコードを解析し、あらゆる世界の情報を手に入れた。その時に人心掌握術の情報も手に入れ、その後の鍛練により、完全修得した。その俺にかかれば、二時間も有れば家庭教師の心をつかみ、師匠と呼ばせることも容易い。


 実はこんな風にして他の家庭教師の心も掌握済み。

 それに俺は三才から少し難しい本も読んでいるところも家族や使用人に見せている。


 それもあり、家庭教師達から俺の報告を受けた家族は俺を天才だと思っている。ただ長年積み重ねただけなのになぁ。


 さて、次は魔法の家庭教師を付けて貰おう。

 父上なら、天才の我が子ならと良い先生を付けてくれるだろう。


 そして、あの子が4才になれば…フフフ。

 今から鍛えるのが楽しみだ。





 ++++++++++++++++


 三才になった。

 俺の待遇は相変わらず。いや、むしろ悪化したかもしれない。

 一歳の時にもう授乳は必要無いと判断されたようで、断乳され、乳母の人が来なくなったのは、けっこう精神的にくる。

 あの人は唯一の癒しだったのに。

 そういえば、あの人の名前知らないな。教えてくれなかったし、一歳までは、上手く喋れなかったので、聞けなかったが、知りたかったな。

 ちなみに他の使用人の名前は知らないし、知りたくもない。

 今俺が住まわせられているこの家は、一階建てで、四畳半ぐらいの広さだ。そして、備品はほとんど無い。小さくてボロいタンスが一つと、これまた小さくてボロい本棚が一つだ。

 確かに今の俺の背よりはでかいが、手を上に伸ばせば余裕で手の平が上に届く時点でお察しだろう。

 庭は有るが、雑草が延び放題。

 風呂もトイレも無いが、近くに川が流れていたので、そこで済ましている。

 食事は固いパンと、野菜のスープが一杯だ。

 おそらく使用人用の残りか何かだろう。

 掃除は俺が一歳の時のを最後に、それからされていない。

 俺が赤ん坊の時は使用人もそれなりに来ていたのに、断乳からだんだん減っていき、最近は食事を運んでくるか、たまにボロい服を持ってくるぐらいしかしない。

 最低限、生きてはいける。しかし、これがいつまで続くか分からない。最悪、明日にでも放り出されれてもおかしくない。

 そもそも、俺の父親は伯爵だ。生まれてから数週間だけいた、あの屋敷で会話などから収集した情報が正しければそのはずだ。それなのにこの待遇。おかしいだろ。俺が何をしたと言うんだ?



 嘆いても仕方ない。いつ放り出されても良いように、俺は自分を鍛えている。

 そこ結果がこれだ。


 _______________

 名前:タクト=カブラギ


 性別:男


 年齢:3


 筋力:2

 耐久力:7

 体力:6

 生命力:8

 魔力:89

 敏捷:2


 スキル

【深淵適性】【アイテムボックス】【鑑定】【学習】【頑強】

【魔力感知LV.5】【魔力操作LV.6】


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 能力値、特に魔力が上がり、スキルも増えた。

 できれば魔法や武術の指南書が欲しいが、手に入れるには本邸に忍び込むしかないだろう。隠密の才能も取っていたが、独学ではとてもではないが無理があるだろう。

 体は筋トレや走り込み、庭の草抜き等をして鍛えているが、やはりまだ子供の体だ。頑丈さと魔力だけなら自信が有るが、それだけだ。だが、無いよりはましだ。とにかく今は独学でもなんでも、やれることはやっておこう。


 後で後悔しないように。





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