モブ女子、思い出してしまいました
続けて読んで頂き、感謝です!!
ちなみに、パーティーには他の貴族の男性達もいっぱい来ています
王妃様のドレスを貸して頂いただけでもありがたいのに、宝石だらけのティアラやその他の装飾品までせっかくだからのかりさせてもらい、もう全身でおいくら万円のものを身につけているのか、少し考えるだけでも失神しそうだった。
しかも、とどめはそんな私をジークフリート様がエスコートして下さると申し出ているとか!!
夢にで見た、姫になった自分とジークフリート様という、なんてもう乙女の妄想まっしぐらな鼻血ブーー!!満載のトキメキ目白押しなのか!!
これだけで先ほどの地獄の特訓の色々なものが、まだ足はあちこちかなり痛いけれど心の疲れは一瞬で吹き飛びました!!
「・・・・・歩きづらければ、俺に寄りかかってくれて構わないからな」
「は、はひぃ!!!!」
キャァァァーーーーーー!!!
今日のジークフリート様ってば鎧じゃなくて貴族風の出で立ちで、髪型も少し後ろに流しててワイルドさが増しさらにカッコいいッ!!!
携帯ないけど、今すぐに写メしたいッ!!!
心の写メじゃ、萌えに興奮しすぎて細部までが移りきれません!!
「・・・・じ、ジークフリート様!ステキです!!!」
思わず、フン!!と拳を力強く握って向き直ってしまったけど、鼻血は出していませんよ?
「ありがとう。クローディア、お前も・・・今日はすごくキレイだ」
「!!??」
キャァァァーーーーーー!!!
なんで、なんで私は今のこの萌えを全力で叫べないのですかッ?!
し、心臓の動悸が全くおさまりません!!
すでに事件は現場で起こっております!!
「あ、ありがとう・・・・ござい、ます」
なんとか、お礼を伝える為の声を絞り出す。
普段やらないメイクをしていることもあって、余計に心がざわざわと落ち着かない。
王妃様付きのメイドさんに、それはもうやりたい放題されたのだ。
おかげで目元はいつもより長く伸びたまつげがバサバサ、唇は動かす度にプルプルでペタペタしており、違和感が拭えない。
今すぐ手の甲で拭ってしまいたい衝動を抑えるのにも苦労した。
「・・・・さ、入るぞ?」
「 は、はい!!」
そして、私達はパーティーが開かれる大広間へと続く大きな扉を開く。
「キャァァァーーーーーー!!!」
「ジークフリート様よ!!」
「ステキィィィーーーーーーー!!!」
おぉ!!いいな〜〜!!
私も同じように、心の底から思いっきりそれを叫びたい。
そして扉の中へと2人で入ったとたん、あっという間に芸能人のごとく、ジークフリート様はファンクラブ数十名に囲まれてしまった。
「と、通して下さい!!」
黄色の感性鳴り止まない女性達の中をかき分けて進んでいく。
気分はジークフリート様のマネージャーか、SPだ。
「あっ・・・・・!」
「!?」
だが、ジークフリート様しか見えていない近くの女性数人に押されてうっかり体が前に倒れそうになった私を、すぐさまジークフリート様がその手をつかんでぐいっと自分の方へと引き寄せる。
「・・・・・大丈夫か?」
「は、はい!ありがとうございます!」
その光景に、女達の視線が一気に私へと集中した。
「な、なんですの、あの女っ?!」
「ジークフリート様にエスコートされてるなんて!!」
「ちょっと、聞きまして?あの女はただの庶民らしいですわよ!!」
「庶民のくせに!!」
「大して美人でもないくせに!!」
「ずうずうしいわ!!」
「今のもわざと転んだふりをしたんじゃなくって?」
「なんで、ジークフリート様は一緒にいるのかしら?」
以上、耳に入ってきたほんの一部をご覧頂きました。
いや〜〜凄いわ。
さっきもここまで来る間に実は何十人から足を踏まれてるんだけど、それ以上に殺気すら込められた視線の痛いこと、痛いこと!!
どさくさに紛れて、刺されるんじゃないかって一瞬キモが冷えたよ。
でも、私も同じ立場だったら、絶対に嫉妬と羨ましさから殺気を込めて睨みつけると思う。
死ねばいいのに、ってむしろ本気で憎んでしまうかもしれない。
これは、それだけ彼が好きだからっていう証みたいなものだ。
「クローディア、どうかしたか?」
「・・・・すみません、人の多さにちょっとビックリしただけです」
「そうか。はぐれないよう、しっかり握っておくんだぞ?」
「はい!」
そう、そして私も同じ立場にもうすぐなる。
彼女達は、近い未来の私の姿だ。
きっと、次回に彼の横でドレスを着て手を繋いでこの床を歩くのは、私ではなく『ローズ』。
そうなった時に、私も同じような顔でローズを見ているに違いない。
ズキン
ゲームで散々見た、ローズの淡いピンクのドレス姿が目に浮かぶ。
「・・・・・・」
いやもう少し、もう少しだけなら彼のそばにいてもまだ大丈夫だ。
「クローディア?」
「大丈夫です!早く真ん中の方に行きましょう!」
どうしよう。
こんなにも嬉しくてとても幸せなのに、周りの女の子達の強い視線が私の心を痛ませる。
私も彼女達と何ら変わらないのだと、特別でもなんでもないのだと、旅の途中は考えることもなかったそれを思い出させた。
そろそろ恋愛パートも頑張ろうと思うんですが、どこまで頑張れるか!
色んな人の感情の入り乱れた、パーティーのスタートです!




