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モブ女子、どこへ行く気ですか?

今回も読んで頂き、ありがとうございます!


RPGとかの『ふくろ』って、凄く便利ですが実際はどんな感じなんですかね?


翠の森への出発の朝ーーーーーー。



昨夜も遅くまで仕事をしていたはずのお母さんが、朝食とともにお昼のお弁当までまさかの寝ずにで用意をしてくれていた。


護衛の件は、怒られると覚悟をしていたが、王様からの頼みなら頑張って行ってきなさい!と、お母さんもお父さんも笑顔で賛成してくれた。


すごく嬉しかったけど、10代の結婚前の一人娘に対してそれはそれでいいのか??




「お、お母さん!!こんなにたくさん、大変だったでしょう??」


「あら〜〜♪だって、アルフレド王子にジークフリート団長様が一緒なら、これくらいは必要かと思って、はりきっちゃったわ〜〜!」


「・・・・あ、ありがとうっ!!」




クローディアの目の前のテーブルには、軽く見積もっても恐らく10人前以上はあろうかという、どれもすごくおいしそうだが大量過ぎるランチセットが並べられている。


おかずだけでどれだけの種類があるのか!!



お母さん、旅路はたったの3人ですよ??


とても嬉しい!!が、これを持って歩くだけでも道中かなり一苦労になりそうだ。


スモー○ライトみたいな、便利な魔法が本気であればいいのに。







「ーーーーーー遅い!!!貴様は庶民のくせに、王子であるこの俺を待たせるとは、どういうつもりだっ!!!」



待ち合わせ場所についた私を仁王立ちのアルフレド王子が、お怒りMaxで待ち構えていた。


眉間のシワが深い!!


そしてその後ろには、我が愛しのジークフリート様が!今日も相変わらずカッコいいです〜〜!!




「・・・・す、すみません」



でも、この大荷物を持ってダッシュ!はさすがの私でも無理です。


いやそれよりも、アルフレド王子様こそどういうおつもりですか?



「王子・・・・その、きらびやかなお洋服は、いったい??」



真っ白な光沢のある厚手の生地にゴールドのゴージャスな装飾が、キラキラキラキラ。


あなた様はこれから舞踏会にでも行かれるおつもりですか??




「フン!!この俺様の魅力を引き出す、最高の衣装だ!!」


「はぁ。確かに、よくお似合いですが」




そういえば、RPGのゲームとかのキャラクターで、本気でそんな格好で冒険に行くんですかっ!?


っていうキャラクターは山ほどいるし、ゲーム中はさほど違和感を感じず、守備力高ければもう何でもいいぐらいの気持ちで見てたんだけど。



実際、目の前に来られるとーーーーーー。




「い、今すぐこれにお着替え下さいっ!!」




私は『もう一人のお母さん』から、念のためにと預かっていたものを急いで王子に袋ごとつきつける。


さすがです!グレンさん!!




「な、なんだ、これは?」


「これは布の服、守備力は恐らく4か5です!」


「ぬ、ぬの?しゅ、しゅびりょく?」


「あ、間違えました!王子のそのうるさいぐらいに光ってるキラッキラのオーラをとことん消しさる、ざ・庶民の布の服です!」


「う、うるさい?この俺がしょ、庶民の服だとっ!?!?」




アルフレド王子の全身が怒りにワナワナ震えている。




「そうです!!いいですか??昔から遠○の金さんしかり、暴れん○将軍も水戸○門も、ついでにバ○殿様も、城下へお忍びに来る際は庶民の服に着替えてお忍びしてるんです!!そんな見た目で誰もが王子かコスプレイヤーの痛い人かってすぐに分かるようなかっこうをしてたら、カモがネギ背負ってやってくるただのバカと同じです!!」



思わず、早口で一気に話してしまいましたが!


お父さんの晩酌時に、必ずテレビで流れていた時代劇あれこれ!!



いやぁ〜〜〜懐かしい!!





ちゃちゃちゃちゃーーーーーん!


ちゃーちゃーちゃー、ちゃーーーーーん!!




ほら、すぐにBGMが頭に流れて、白馬の暴れん坊が砂浜を駆けてます!!



あ、待って!!


まだマツ○ンサンバには変わらないでっ!!




「と、とおやま?あばれんぼう?カモが、ネギ?」



あらら、意味不明の羅列で王子様の思考ががポカンと止まってらっしゃる。



よし!ここは保育士時代のプランAで行こう!




「そうですよね〜〜!こんな庶民が着るような、王子のその素敵なお召し物からしたら、ボロボロの布きれのような服なんて、王子様は着れないですよね〜〜〜??」



「・・・・・クローディア?」




いつもよりも少し大きな声で、大げさ気味に言うのが大事。


そして自分が思いっきりバカになったような気分で、躊躇なく!!



「あ、当たり前だっ!!」




お、復活した。




「ですよね〜〜!いや、どんな洋服でも着るとカッコよくなるさすがのアルフレド王子でも、こんな庶民の服を着たら、庶民になってしまいますもんね〜〜!!」



「・・・・・なに?」




一気にアルフレド王子の眉間にシワが寄る。




「やっぱり!さすがのアルフレド王子でも、着こなせない服はありますよね〜〜??」


「・・・・・・おい!この俺様に着こなせない服はないぞ!!」




よし、かかった!!




「えぇっ!?私達のような庶民が着たら、ありえないほど普通になってしまう、このオシャレ上級者にしか着こなせない布の服を、王子はまさか!まさか着こなせるんですかっ!?」



「当たり前だっ!!こんな布きれごときで、俺様が庶民に埋もれるわけがないだろうが!!」



「すっっごーーーーいっ!!ぜひ、今すぐ着たところが見てみたいです!!」



「ふん!!待っていろ、すぐにお前たち庶民との違いを見せてやる!!」



アルフレド王子は私から『布の服』守備力4か5の装備品を勢いよく取り上げると、すぐさまその場できらびやかな衣装を脱ぎ捨てて着替え始める。




「・・・・・わぁ〜〜楽しみーーー」




最後はちょっと疲れてきたので、棒読みで失礼します。



え?王子様が目の前で脱ぎだしたのに、何の反応もしないのかって??


みなさん、私が普段どこへ毎日足を運んでるかお忘れですか??



いつでもどこかで、誰かが裸を晒してる!



『イケメンだらけじゃないパラダイス』のイケパラ騎士院!!ですよ?



まことに残念ながら、まだ一瞬も見たことがない我らがジークフリート様の肉体美ならいざ知らず!!


いや、妄想しただけでもうすでに鼻血が出そうです。


あ、ちなみに本人王子の後ろにいますから!!


これ今鼻血吹いたら、私が色んな意味で死ぬからね!!




「・・・・・・おい、そこの庶民の女」


「は、はい?」




よし!!なんとか耐えた!!




「なぜ、この俺様が裸になってるのに、きさまは何も反応しないんだ?貴族の女達なら普通、悲鳴をあげてその場から逃げ出すぞ?」



「・・・・・あぁ!まぁ、慣れてますし」





若い男の肉体美なら、レオを始めとして嫌ってぐらい毎日勝手に見せられてますし。



もういちいちキャーキャー言うのも、さすがに疲れました。




「な、慣れてるだとっ?!なんて恥知らずな女なんだっ!!恥じらいというものが、きさまにはないのか!!!」


「・・・・・・・」




見た目だけなら一応10代の若い娘の前で、なんの遠慮もなく自分からいきなり服を脱ぎだしておいて、なんて勝手な王子様なのか。



『恥じらい』なんて、なんとも可愛らしいものは前世の時に投げ捨ててきましたよ。


騎士院での、下手をするとどこを見ても裸祭りなものすごい環境に、残りわずかな恥じらいの欠片が粉々に砕かれたのは間違いない。




「す、すみません、アルフレド王子。クロエは普段から騎士院に来ることも多いもので」


「ふ、ふん!!さすがは庶民の女だな!!」




何がさすが、かは分からないけれど。


ジークフリート様からのフォローで一応の納得をした王子が、裸の上半身に布の服を身につける。



「・・・・・ッ!!」



うーーーーーん、王子というくらいだから、もっと筋肉がそんなについてないひょろっとしているイメージでいたんだけど。



アルフレド王子の筋肉もなかなか。



騎士院の若手の中でもNo. 1を誇る、かなり引き締まった肉体美のレオとはるぐらいには、無駄のないしっかりした筋肉がついていた。



ちゃんと腹も6つに割れている!



イケメンな上に細マッチョなのは、さすが乙女恋愛ゲームの世界!!


筋肉フェチではない私も、思わず目をみはるぐらいにはアルフレドの肉体は鍛えられていた。




「着替えたぞ!どうだ、庶民の女ッ!!」



「・・・・・お、おぉーーー!!」




ちょっと、いやかなり顔面のイケメン具合が、服に反して浮いてますが。


とりあえず、最初のレッツゴー舞踏会!な王族・貴族丸出しな衣装よりはだいぶマシだろう。




「さ、さすがはアルフレド王子!!あの布の服を着ていても、王子の輝きは全く失われておりません!」


「ふん!!そうだろう!!」


「では、そのままでも問題は全くありませんね?」


「もちろんだっ!!・・・・・ん?」


「さっ、出発しましょ〜〜ジークフリート様!」


「あぁ。なんだか、凄いなクローディア」


「いや〜〜〜何のことですか?」




これは全部、保育士の時にクラスの中でも一番私とバトルになった3歳児。


流行りのキラキラネームで、見た目も中身も純日本人な、一人息子で大事に甘やかされて育った『アルト君』と同じことをしただけですよ!



お、そういえば名前も似てた!




「あ!あと、アルフレド様!」


「こ、今度はなんだっ?!」


「このいち庶民に過ぎない私が、アルフレド様の真名を呼び捨てにするのは大変無礼なので、これからはせめてアルフと愛称で呼ばせて頂くことを許してくださいませんか??」


「・・・・ッ!?」




すいません、かなり無理くりで!!



『アルフレド』と本名でそのまま呼んでたら、それも凄く問題だと思ったので。


まぁ『アルフ』もそのままだし、大して変わらないかもだけど。



さすがに、これは怒られるかな?





「あ、あの〜〜アルフレド様?」


「・・・・・・・」



あれ?なんだかまた、面食らったような変な顔してる??





『愛しているわ、私の可愛いアルフ』





「・・・・・あ、当たり前だ!!庶民であるお前が、俺様の真名を呼び捨てにするなど100年早い!!まだ愛称で呼ばせてやるだけ、ありがたいと思え!!」




ぼけ〜〜っとしてたと思ったら、突然眉間に深いシワを刻んで真っ赤な顔になったアルフレド王子はいきなり怒り出すと、クローディアとジークフリートの側をズカズカと早い足取りで抜かし、王都の入り口へと向かっていく。




「い、一応、オッケーってこと?」


「クローディア、その荷物は俺が持とう」


「あ、ありがとうございますッ!!」


「・・・・・・ぐっ!!こ、これでよく、ここまで一人でこれたな」


「あはは〜〜!まぁ、慣れてますからね!」



毎日、だてに何十人分の弁当を運んじゃいませんよ!!





こうしてようやく、アルフレド王子とジークフリート様との『翠の森』への旅がスタートした。



見た目と防御力がイコールじゃないのが、ゲーム仕様ですが、水着とか下着とかの装備だったら、その上からもう一度装備品が着れるのでは??


そしたら守備力倍増で凄くない!?


とか、よく意味もなく思ってました。

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