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モブ女子、お茶とお菓子と君の笑顔と

祝・50回目を迎えました!!


ありがとうございます!


今回は、珍しいあの人目線です!



俺は、彼女が俺の淹れたお茶を飲む姿が好きだった。


とても幸せそうに顔中をニンマリと緩ませて

、彼女はお茶とお菓子を本当においしそうに幸せそうに飲んで食べて、笑う。


美人だとか、色気だとかそんなものを彼女に感じたことはない。


ただ一緒にそばにいると、胸が温かくなるようなーーーーーーーそんな感覚だった。








「おはようございまーーーーーす!!!」



今日も騎士院に、大量のランチを届けに背負って彼女が来る。


日替りで変わる弁当の中身は、騎士院皆の舌をうならせ、厳しい訓練の中での大きな楽しみにの1つになっていた。


そして、お弁当とともにやってくる彼女と会えるのもまた、皆にとっては楽しみの1つ。


1人1人に挨拶をして、会話をしながら次から次へとお弁当を皆に手渡していく彼女はみんなの人気者だ。


それは憧れの人とかそういう対象ではないようで、会うと楽しい・元気になる・見ているだけでも面白い!と、どちらかといえばムードメーカー的な感じだろうか?


彼女がそこにいるだけで、騎士院から笑い声が増えて明るくなる。


そんな彼女の来訪は、毎日の当たり前の光景なはずなのに、自分の前にはあたふたと急に落ち着かなくなった人物が1人。




執務室で山のような書類に囲まれたその男は、俺の上司にあたるジークフリート団長。


仕事に没頭し始めると周りが見えなくなるほどの仕事バカでなのに、今は仕事に身が入らないといった様子でさっきから簡単なミスを連発している。


ミスなど滅多にしない、誰よりも仕事のできる男がなんとも珍しい光景だ。




これは、何かあったな。




「おはようございまーーす!お弁当持ってきました!!」



そして、この部屋にもクローディアがお弁当を届けに、いつものようにやってくる。




いつものように、だ。




「く、クローディア!いつもすまないな!!」


「!?!?」




ジークフリート団長は、クローディアと目があうと顔をあからさまに背ける。


しかも、そのあとは書類を盾にクローディアを極力見ないように勤めていた。




「・・・・・・い、いえ」




ほら、無理して笑ってるが、今のはかなりこたえてる。




これはやはり、何かあったな。




試してみるか?



ちょうど、クロエが苦手としてるアイツが部屋の中にいるし、どんな反応を彼女がするかはよく分かってる。




「ーーーーーーークロエ」


「はい?なんですか、グレイさん?」


「ーーーーーーお前の後ろに、例のGが」


「ぎ、ギャァァァーーーーーーッ!!!!」


「!!??」





ガタンッ!!!


バサバサバサッ!!!




名前を呼ばせることも許せないと、以前目の前に現れた時にクローディアから強く止められていたそいつは、特に人間に害はないからと俺は気にしていないんだが、彼女には魔物よりも恐怖の対象らしい。


前と全く同じように、叫んだあとに一番近くにいた俺に飛びついて、全身をガタガタ震えさせながら胸の中で縮こまっている。




「ぐ、グレイさん!!は、早く!!早くなんとかしてください!!」


「ーーーーーーあぁ、もう仕留めてある」




彼女に声をかけてすぐに、小さめのナイフを投げて息の根はすでに止めていた。


それよりも大事なのは、彼女の悲鳴とともに聞こえてきた大きな物音の方。


ちらっとそこへ目を向けて見れば、山のような書類を辺り一面にばらまき、自身も椅子から慌てて立ち上がろうとしてテーブルにぶつけて膝を抱えた、なんとも情けない上司の姿が。




なるほど、少し以前では考えられない反応だ。




「ーーーーーーあと、クロエ」


「ま、まだ何かいるんですかッ!?」


「ーーーーーーいや、ほおが汚れている」


「え??」




調理の際についたのだろう、彼女のほおについた何かのソースを指でそっと拭い、それをペロッと舌で舐めとる。




「ありがとうございます!」


「ぐ、グレイッ!!!」




バンッ!!!




今度は、彼が強くテーブルを両手で叩きつける音が響き渡る。




これは、自覚をしたということだろうか?




いや、先ほどの避け方を見れば、意識はしているがそれを認めるところまではいっていないというところかもしれない。





「ーーーーーーークロエ、あとで頼まれたお茶が届いたから、休憩室にきてくれ」


「は、はい!やった〜!!」



彼女の言葉で言うなら、お茶友?である俺たちは3日と開けずにお茶やお菓子を一緒に食べて飲む時間を過ごしている。


彼女の顔についたお菓子を取って舐めたり食べたりなどよくあることで、最初は動揺していた彼女もすっかり慣れてしまっていた。


その光景を何度かこの男も見ていたはずだが、その時は仲が良いなとなんとも感じてなかったはずだが。



今は「怒り」で顔を厳しくさせて、俺を睨んでいる。





「そ、それじゃ私はこれで失礼します!」


「く、クローディ・・・・ッ?!また、明日も頼む!」




クローディアが部屋を出て行こうと挨拶をすると、彼もすぐさまそちらへ視線を送るが、バチッ!と彼女と視線が混じると、また顔を分かりやすくそらしながら声をかけている。



「・・・・・はい、また明日」



クローディアはかなり傷ついてるだろうにそれを表に出すことはなく、最後に形だけの笑顔を作って部屋を出て行った。


他の誰でもない、彼に顔を背けられる事がどれだけ彼女には酷なことか。




「ーーーーーーなんですか、今のは?」




扉が閉まるのを見届けた後、テーブルの周りに散らばった書類を拾い集めながら、同じく書類を拾い集めていた彼に声をかける。




「なんのことだ?」


「クローディアに対してあんなに分かりやすく拒絶を示して、なんのことだ?とは冷たい人ですね」


「!!??」




ジークフリートの顔に緊張が走る。




「きょ、拒絶などしていない」


「ーーーーーーー彼女は、そう取っていましたよ。まさか無意識にしてたんですか?」


「いや、無意識ではないが・・・・ッ!」




彼のほおがうっすら赤い気がする。



これはまさか??




「まさか、彼女に襲いかかりでもしたんですか??」


「ゴホッ!!ゴホッ!!お前っ!な、何を!!」




なんとも、わかりやすい。


だが彼に襲われても、彼女なら両手を広げてむしろ自分から向かいそうだが。





「ーーーーーーなるほど、彼女が寝ているか意識のないところで襲いかかったわけですか」


「い、一応彼女は起きていた!!いや、厳密に言えば寝ていたのかもしれないが・・・」




彼の顔が真っ赤だ。



しかも、騎士団の長である「アルカンダルの黒い獅子」とも言われた、戦場では負け知らずの男が本気で動揺している。





「ーーーーーー襲いかかったことは否定しないんですね」


「ち、違う!!いや違くもないが、彼女の体が傷つくようなことは、断じてやっていない!!」




なるほど、これは襲いかかったとしてもキス止まり。



しかも、自分の無意識の衝動を抑えきれなくてーーーーーーといったところか?





「それで、自分が彼女の顔を見ると気まずさに顔を背けていたわけですか。ずいぶん勝手ですね」


「!!??」




それを何も知らない彼女が、あなたに避けられてどれだけ傷つくことか。




「あなたの心に気まずさがなくなるまで、彼女を避け続けるつもりですか?」


「・・・・・・・」




ジークフリートが下を向きながら、しばらく厳しい顔をしたまま黙り込む。


だが、何かを決すると彼はグレイにまっすぐ向き直った。




「そうだな・・・・お前の言う通り、勝手過ぎた。クローディアに謝罪してくる」


「それがいいかと。ついでに、街で彼女に普段のお礼も兼ねて何か買ってあげたらどうですか?趣味もあまりない団長なら、お金もありあまってるでしょうから」


「・・・・・わかった。ありがとう、グレイ!行ってくる!!」




先ほどまで動揺していたのが嘘のように、晴れやかに堂々とした顔つきに戻った団長はそのまま急いで部屋から出て行く。




「全く、どうせならついでに自覚もしてくれたらいいんだがな」




勢いよく開いた扉が閉まると、まだまだ辺り一面に落ちている種類を拾い集めながらグレイは大きなため息を吐いた。








俺は、彼女が俺の淹れたお茶を飲む姿が好きだった。


とても幸せそうに顔中をニンマリと緩ませて

、彼女はお茶とお菓子を本当においしそうに幸せそうに飲んで食べて、笑う。





『ーーーー君は、いつもおいしそうに食べるな』


『アハハハッ!それ、昔からよく言われます!

だからデパートの試食コーナーに行くと、いっつもサクラに使われちゃって!』


『でぱーと?ししょく??』


『えっと、これは何から説明したらいいんだろう??』




君と食べて飲むお菓子もお茶も、君が嬉しそうに笑っているのを見ているだけでいつもよりもおいしく感じるから不思議だ。


俺のようにお茶が大好きで知識が豊富な者は、マニアやオタクと呼ばれるらしい。


自分はゲームやマンガ??といった始めて聞くもののオタクだと、その時は目をキラキラさせながら話す君を見て、自分がお茶の話をする時はこんな感じなのかと、何やらおかしかった。




『好きなものを好きだと、それに対しての愛を語るのになんの遠慮がいるんですか!!』




と、俺のお茶好きをもっと前面に出していいんだ!と力説をしてくれた彼女。


だが、みんなにわかってもらえなくてもいいんだ。




俺は、大好きなお茶がこれからもたくさん飲めればいい。




『グレイさん、このお茶すごくおいしい〜〜!!!』




俺の淹れたお茶を、嬉しそうに飲んでくれる君が一緒にいてくれれば、それだけでいい。



願わくば、君を喜ばせられるのが全部自分ならいいのだけれど。



今の君を笑顔にできるのは、俺じゃない。





「ーーーーーー今日も、いい天気だな」




執務室の窓から見える空は、雲のいっさいない澄み切ったどこまでも明るい青い色をしていた。




ゲームでも主人公のサポートキャラとか男子でもいるものがあるんですが、そのキャラとのフラグは立たないののか!!ともやもやしたことごありました。


絶対君の方が主人公ちゃんのこと見てて分かってるよね??って

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