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モブ女子、動けずに待っているのは苦手です

今回も、読んでいただき本当にありがとうございます。


当たり前の事ですが。


ゲームでも、主人公が眠っている時にもイベントは起きますが、プレイヤーでないと覚えてないですよね。改めてそうだよな〜と感じました




「クローディアァァァーーーーーッ!!!」





ジークフリートの絶叫が、辺りに響き渡る。


すぐさま、ジークフリートはクローディアの体を抱き起こし、首元の脈を確認するが反応が全くない。


ついさっきまで温かかった体も冷たかった。




「クロエッ!!」



『主ッ!!!』




レオナルドとボルケーノも、自らを縛っていた白い魔女の魔法をすぐさま打ち破り、クローディアの元へと駆けつける。



「クローディア、クローディアッ!!」



ジークフリートの必死な呼びかけにも、全く反応せず、その瞳は閉じられたまま。


頬に触れてどれだけ手のひらから温もりを与えても、そこに温もりは戻ってこない。




「なぜ、なぜ俺を庇った!!クローディア!!」


「く、クロエ、うわぁぁぁ〜〜〜!!!」




レオナルドは大泣きしながら、クローディアの手を必死に握りしめる。



『白い魔女め!!最後の最後でッ!』




【・・・・大丈夫。助かる方法はあります】




「「!!??」」



その中で、赤い魔女の凜とした声が響き渡る。




「赤い魔女様!!それは一体!?」



【ごめんなさい。こうなる可能性が高いと思ったからこそ、あなたをここに連れてきたの】



「・・・・・どういうことですか?」




赤い魔女は、白い魔女が彼女に対して何か仕掛けるとわかっていて、何もしなかったというのか?


ジークフリートの目線が厳しいものとなり、口調にもきつさが混じる。



【ごめんなさい。何かを仕掛けてくるとは思って色々準備はしていたけれど、私だけでは対処できないものがこの呪いの魔法なの】



「それでは、彼女は今どうなってるんですか?」




意識も脈もなければ、呼吸もしていない。


この状態でも、この魔女は大丈夫だと言うのだろうか?



【本来なら、彼女の魂は死神に命を取られて冥府へと一直線に行く呪いの魔法だった。

でも、それだけは防げるようにと彼女にはあらかじめ守護の魔法をかけていたから、魂は彼女の奥深くにまだ留まってるわ】


「そ、そしたら・・・クロエ、まだ生きてるの??」




レオナルドの顔は泣きすぎて、すでに鼻も目も真っ赤だ。


だが、希望があるのかもしれないと聞き、ようやく涙がおさまってきている。




【えぇ。ただ、この状態が長く続けば危ないわ。いくら魂が奥にあるといっても、今のままでは体が先に限界を超えてしまう】



「・・・・・ならば、その方法とは??」




助かる方法があるなら、それを実行しない手はない。


それも、一刻も早くだ。




【ジークフリート=ウルンリヒ、あなたはクローディアの為に命がかけられますか??】


「愚問だな。俺の命1つでクローディアが助かるなら、いくらでも掛けてやる。それよりもその方法を早く教えてくれ!!」




一瞬の迷いさえもなく、ジークフリートは怒りの感情を交えながら、まっすぐに赤い石のに向かって答える。


その答えを聞いた赤い魔女は少しの間無言になったあとで、分かりましたと柔らかい口調で答えた。




クローディア、もう少しだけ待っててくれ!


必ずお前を助けにいく!!




【まず、ボルケーノ様は浄化の炎の印を床にお願いします】



『承知した』




【レオ君は、クローディアをその印の中に運んであげて】



「わ、分かった!」



【そして、ジークフリートさん】



「あぁ、俺は何をすればいい??」



【あなたは、彼女の口から彼女の魔力を自らの体内に入れて共有してください。それと同時に、私があなたの意識を彼女の内側に魔法で飛ばします】



「えぇっ!?そ、それってまさかき、キスするってことッ!?!?」



【形的には、そうなるわね】



「そ、そんなっ!!」



「・・・・・・・わかった」



「団長ッ!!!!」



「レオナルド、これは人助けだ」



「そ、そうだけどッ!!!」




分かっている。


それが本人の意思のない時に、勝手にしていい行為ではないことは。


だが、それで彼女を助けられるというのなら決して迷いはしない。




『ぬんっ!!!!』





ゴオォォォーーーーーーッ!!!!





ボルケーノがいつものように、腕に力を込めると、床に古代文字で書かれた魔方陣のようなサークルが炎とともに一気に出来上がる。


その古代文字は紅い光を放っていた。




「・・・・クロエ、早く帰ってきてね。そしたらまた、一緒に色んなところに行こう!」




レオナルドは抱き上げたクローディアに明るく笑いかけてから、ゆっくりとその紅い光を放つサークルの中心に横たわらせる。




絶対無事に帰ってきて!



そう祈りを込めて、体を離す前にレオナルドはクローディアの額へとそっとキスを送った。


唇を離した後、レオナルドは辛そうな表情でそばを離れていく。




【私の方はいつでも大丈夫よ。あなたのタイミングでやってちょうだい。ただ、もし失敗したらあなた自身の命もないことだけは覚悟して下さい】


「分かりました。だが、赤い魔女様。俺の命がどうなろうと構いません。それよりも大事なのは、彼女が助かるかどうかです」


【そうね。そんなあなただから、クローディアは命をかけて庇ったんでしょうね】


「・・・・・・」





赤い魔女との会話のあと、ジークフリートは深呼吸を2度3度繰り返し、心が決まると

紅い光を放つサークルの中に入っていく。


そして、横たわっているクローディアの首の裏に手を差し入れ、ゆっくりと持ち上げた。



体温はやはり冷たいままだ。



クローディア、お前に断りもなく勝手に触れることを許してくれ。


心の中でそう謝ると、ジークフリートはクローディアの唇にそっと自分の唇を重ねた。




「・・・・・ッ!!」




いくらクローディアを助ける為とはいえ、やはり辛い光景には変わりないと、レオナルドは苦しそうに目を閉じて顔を横に伏せる。



そんなレオナルドの心情を思ってか、ボルケーノがレオナルドの肩をトントンと叩いた。




『レオナルド。我らは主が安心して帰って来れるよう、ここで祈っていよう』



「・・・・・・・・」




決して目は開けず、うつむいたままであったが、レオナルドは小さくうなづいた。





【アモル・ノードゥス・プローディギウム!赤の魔女が命じる!今ここに、2人を繋ぐ道を示せ!!】




ライラの声が辺りに響き渡り、ジークフリートの目の前が真っ白い光に包まれたかと思うと、眠りにつく時に似た、どこか深いところへ落ちるような感覚で意識をそのまま失う。



そして、ジークフリートが横たわったままのクローディアの横に倒れこむと、古代文字の光も消え、辺りは静寂に包まれたーーーーーーー。






書けば書くほど、後からもっとああすればもっとよかったと感じることですが、その時には中々気づけなかったりと、本当に日々勉強ですね!

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