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モブ女子、雪がやんで晴れました!

いつもありがとうございます!!


雪山チームは久しぶりに書いたので、ちょっと時間がかかりました。


イヴァーナ様の体にクローディアが触れ、全身が氷漬けになった状態からずいぶんと時間が過ぎていた。




「あーーーーもう!!クロエ!大丈夫かな?!クロエ!クロエ!!」




レオナルドはずっとこんな感じだ。

ずっと同じところをグルグル回ってはオロオロしている。




「少しは落ち着け、レオナルド」


「だ、だって、団長!!」




だが、気持ちは分かる。




「・・・・・クローディアを、信じるんだ」


「はい」




そ、そりゃあ信じてるけど、と、小さな声が聞こえる。


それでもやはり心配の気持ちの方が上なのだ。




『大丈夫だ。我が主の魔力は消えてはいない』


「・・・・ボルケーノ様」




この方は炎を司る神、ボルケーノ様。


長年の封印から解いてくれた礼として、クローディアと主従の契約を勝手に結んだと笑いながら話してくれた。


しかし、神の封印を解いて主従の契約を結ぶなど、本当に凄い子だ。


その紅き瞳は今も一心に空に浮かぶ氷の神と、氷漬けになったままのクローディアに注がれたまま動かない。


彼もまた、2人のことが心配なのだ。


そして、俺もまた彼女から目が離せない。




「・・・・クローディア」




次から次へと、彼女はじっとはしておらず色んなことを引き寄せる。


自分の知る同じ年頃の娘は、神に知り合いがいるものなどほとんどいないだろうし、死の山になど来たいとも思わないだろう。



自分を守ってくれる王子様を夢見ている。



いつか、街で見かけた若い娘たちはよく話していた。


貴族の娘など、そう考える者がほとんどだ。


だからこそ相手はたくましく、体も心も地位も強く高い男性であって欲しいと。


今はそんなことは言ってられないと、自分の力で生き抜く、たくましい女性もだいぶ増えてきた。


芯のある女性は、どこまでも強い。




『・・・・・私は、守られているだけはもう嫌なんです』




そんな強さを持つ彼女を、放っておけない自分がいるのは確かだ。


女性は男性に守られるもの、そう考えているのは男性の勝手な思い込み。




『私はもう、あなたに守られているだけは嫌なの』




女性は強い。



俺はあの人と似ていることを言うお前が、あの人のように消えてしまうんじゃないかと気にしているだけだ。


分かっている。お前はあの人ではない。




「!!??」




空が、急に静かになった。




『ふ、吹雪が!!』



「と、止まったぁぁぁーーーーー!!!」




先ほどまで、荒れ狂うように吹雪いていた雪がぴたっとやみ、空を覆っていた厚い雲が風とともに流れていく。




『・・・・・イヴァーナ。ようやく、休めるのだな』



空に浮かんでいたイヴァーナ様はそれと同時に、体がどんどん透き通り空気に溶けて消えてしまった。


その様を、穏やかな顔をしたボルケーノが見つめている。



早く、色々お前と話したいものだな。



空にはぬけるような青空が広がり、とうとう眩しいくらいに辺りを照らす太陽が姿を現した。


地面の雪が太陽の光に反射して、キラキラと光輝いている。





「ハッ・・・・く、クロエはッ!?!?」





レオナルドが氷漬けにされたままのクローディアを慌てて見ると、ひときわ強い太陽の光が一気に降り注いだ。



そして。





ピシピシピシピシ・・・・・ッ!!!





「氷が!!」


「クロエッ!!」


『主よ!!』




氷にひびが入り、そのまま地上へと割れながらゆっくりと降りてくる。


すぐさまその着地地点になるだろう場所まで3人で向かった。


地面に着く頃には氷は完全に割れて、その中から眠ったような様子のクローディアが出てくる。




「クローディア!!」


「クロエッ!!」




すぐさま体を抱き起こして首元の脈を調べると、規則正しい音が聞こえてホッと息を吐く。



「・・・・大丈夫だ、生きてる」


「よ、良かったぁぁぁーーーーー!!!」


『赤い魔女よ、お前もそこにいるのか??』



クローディアのお腹に伏せて泣きながら喜んでいるレオナルドの後ろから、ボルケーノが声をかける。


すると、クローディアの首からかけられた、胸の上に在る赤い石が応えるように赤い光を放った。




【はい、ボルケーノ様。イヴァーナ様はこの石の中で眠りにつかれています♪】


「えぇっ!?この石の中にあの超つえぇーー神様が入ってんの?!」




ボルケーノとともにイヴァーナと戦った際に、結構怖い目にあったようでレオナルドはその石から無意識に飛び下がる。




『ハハッ!油断して、危うくレオナルドは串刺しになりそうだったからな!』


「あ!ボルケーノ様、それは言わない約束!!」




レオナルドが慌ててボルケーノに向かってしーー!!と口元に人差し指で合図するが、もう時は遅し。




「・・・・・・レオナルド、帰ったらお前は特別訓練だからな」



「ひ、ひいぃぃっ!!!!」




元々低い団長の声が、さらにドスのきいた低音ボイスで唸る。


団長の言う特別訓練は、大の大人が次の日にまったく立ち上がれなくなるぐらい、ヘビーな内容で、騎士院の団員の中では恐怖の訓練として恐れられている。



「まったく、強敵を相手に油断するなど、お前は日々の訓練が足らないんだ!!」


「じ、実践訓練ならいっぱいしてるんですけど〜〜」


「帰ったら、さっそく始めるからな!!」


「えぇっ!?せ、せめて、明日からにしてくださいよぉ〜〜ッ!!」




イヴァーナ様との戦いでかなり疲れたのにーーー!!と泣きながら訴えているが、そんなことは関係ない。


騎士院の団員は人々を守る為にいるのだから、いつどんな時でも守れるように体を鍛えることは当然のことだ。




「さ、そろそろ帰・・・・」


【まだ帰れないわよ】


「!?!?」



王都に帰ろうと、寝たままのクローディアを抱き上げたとたん、赤い石が強く光る。




「赤い魔女どの、まだとは??」


【まだ、白い魔女の封印が終わってないわ】


「!!??」


『確かに、あいつが残っていたな』







この『死の山事件』最後の敵が、残っているようだ。




いよいよ、次回が白い魔女との最後の決着です!

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