モブ女子、そんな子に育てた覚えはありません!
今回も読んで頂き、ありがとうございます!
シリアスが続けられないのは私のせいですね。
なんだか、レオが楽しそうです♪
レオを無事に助けたあと、私達は先ほどの部屋からボルケーノ達がいる外へと繋がる長い廊下を2人で歩いていた。
白い魔女が嘘をつくのでは??
とレオは最後まで疑っていたが、そんなことをすれば分かっているよね??と笑ってない目で言えば、必死に首を縦にふりながら道を教えた。
白い魔女の四肢は炎で作った赤黒い鎖で縛られたまま、それでも逃げないようにと見張り役として先ほど私の肩に乗せていた炎の鳥を置いていく。
魔法の発動の後に現れた炎の鳥と私は、意識のようなものが繋がっているようで、離れていても白い魔女が何か変な動きをすればすぐに分かる、なんとも便利で優秀な子だ。
そうだ、今度名前でもつけてあげよう!
「クロエ!クロエッ!ク〜〜ロエ♪」
「・・・・・・そろそろ落ちついたら??さっきからずっと呼んでるじゃない」
「えへへ!だって!クロエ〜〜〜♪」
凍った体が私の自動回復機能で温度が戻り、無事に動けるようなると、私のそばから離れなくなってしまってた。
それほど怖い思いをしたのかと、彼のしたいようにしばらくはさせていたのだが。
「クロエ!好き好き〜〜!大好き〜〜!!」
ギュゥウーーーーッ!!
「ええぃ!!歩きづらい!!」
前からくっついたりとよく甘えてくる癖があったが、今回のことがあってからその甘えがレベルアップしたようにも感じる。
動けるようになってすぐの時など、ひどかった。
「クロエ!クロエ!大好き!クロエ!!」
「ちょ、ちょっと!レオ!ストップ!くすぐったいったら!!レオッ!!」
いつものように私にギュッ!!とくっついて来たと思ったら、私の両頬を手で包み込むと、レオは犬のように私の顔のあちこちにキスをし出した。
チュッチュッチュッチュッ!!
音を立てながら
おでこに
こめかみに
鼻の上に
目尻に
まぶたに
両頬に
犬がじゃれてきてるのと同じことをされてるだけなのに、何か心の中がいたたまれない。
レオ、あんたもう前世は絶対犬でしょ!!
さっきから、心臓がドキドキと早鐘を打ち始めている。
「れ、レオッ!!」
「うん、好きだよ、クロエ。チュッ!」
「そ、そうじゃなくてッ!!」
「・・・・・・・クロエ」
「!!??」
ふいに顔中に降らせていたキスの嵐を止めると、レオは私の頬を両手で包んだまま、じっと真剣な眼差しで見つめてくる。
「・・・・・・・」
「れ、レオ?」
なんだか、いつもは子どものように明るく無邪気な笑顔のレオが、見たこともないような『男』の表情で私を見ていた。
「・・・・・愛してる」
「!!??」
そして、その顔がゆっくりと私に近づいてきて、先ほどまで顔中に触れていたレオの唇が、私の唇にーーーーーーーー。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・ッ!!」
触れさせてたまるかァァァーーーーーッ!!
バキィィィィーーーーーーーッ!!!
「そこは、ダメに決まってんでしょーーーーがぁッ!!調子にのるんじゃないッ!!!」
「いってぇぇーーーーッ!!こんな本気で殴らなくたって、いいじゃんか!!」
レオの左頬に私の右ストレートが見事に炸裂し、そこが真っ赤になって腫れ上がっている。
「ハァ、ハァ・・・・こ、ここはジークフリート様しか許しませんッ!!」
「ーーーーーーーちぇっ!!」
な、なんて危険極まりないワンコなのッ!!
もう少しで、あの人との何億分の1の奇跡の為に、勝手に強固な守りで守りに守ってきた唇の純潔があっさりと奪われるところだった!!
「いいじゃん!!チューーーしたって!!」
「おバカ!!口へのキスはすごく大切なものなんだから、簡単に誰にでもしちゃいけないの!!
そういうことは・・・・・ッ!!」
「ローズにしなさいっていうのは、もうなしね」
「!!??」
いつも通りの言葉を吐こうとしたら、その唇にレオの人差し指が当たって止められる。
「ローズは家族みたいな人で、俺が女として好きなのはクロエだから、覚えておいてね♪」
「!!??」
一瞬、さっき私の唇にキスをしようとした時と同じ、真剣な眼差しと表情をしたレオナルドに、私は思わず息を飲む。
きっと、さっきから見たことのない顔ばかりで、そこにビックリしてるだけだ。
ほら、久しぶりに会った近所の男の子やいとこが、急に大人びたことに驚くような、きっとそんな感じに違いない!
「って言ってもクロエのことだから、よく分かってないと思うけど」
「へ??」
「俺がこういうことをするのは、もうクロエにだけだから!それだけは覚えておいてね♪」
ニッコリ♪
「・・・・・・ッ!?」
最後は、いつも通りの爽やかで明るいレオの笑顔になると、ポカーーーーンとしている私のほおに素早く、チュッと唇を寄せた。
「・・・・ちょ、ちょっと!何、どさくさに紛れて、またキスしてんの!!」
「あはははっ!スキあり♪」
「も、もう!!こんなことしてないで、早くボルケーノを探しに行かなきゃなんだからね!!」
「ハーーーーーイ!!」
ーーーーーーーと、いう感じだった。
おかしい。
あんなにも死にそうな目に2人してあったというのに、なんでシリアスタイムが続かずにドタバタコメディーのノリになってんのッ?!
実は近くにずっといた白い魔女なんか、ものすごいガチで引いた目で見てたからねッ!!
あれは、絶対に血じゃなくて砂か何かを全力で吐きそうな顔だったよッ?!
こっっの、くそリア充めクタバレッ!!!!
って、街中でイチャイチャしてる若い恋人たちを、通りすがりにうっかり見てしまったアラサーの私と全く同じ顔してたからねッッ!!??
「クロエ〜〜♪」
「もう!!歩きづらいから、いい加減にはなれ・・・・・・・ッ!!」
後ろから、腕やら首やらにベタベタくっついてくるレオをひっぺがしながら歩き続けていると、長かった廊下に終わりが見えた。
明るい光が見えるその出口は、近づけば近づくとそれがただの光ではないことに気づく。
「ボルケーノッ!!」
彼の姿が見えたわけではないが、彼がそこにいると何かを感じた私は、レオと一緒にそこに向かって全力で走り出す。
主よ!!ここに来てはならぬッ!!
出口の間際で、ボルケーノの声が頭に鳴り響いたが、構わずにその出口を出た。
「・・・・・・ッ!!??」
出口の先は、先ほどまで3人がいた吹雪の吹き荒れる死の山。
その一面の銀世界の中で、真紅の姿を持つボルケーノが膝を雪につきながら息を切らしていた。
「ぼ、ボルケーノッ!!」
『主よ、ここにきてはならぬッ!!!』
「!!??」
ボルケーノの叫び声とともに、私とレオのいるところに向かって何百という巨大な氷柱が空から向かってくるのが見えた。
「あぐ・・・・・ッ!!!」
炎の呪文を唱えようとしたその口が何かの力によって動かない。
主よ!!それだけは使ってはならぬ!!
「ボルケーノ!どうしてッ?!」
「く、クロエッ!!」
その瞬間、無数の巨大つららが私たちの元へと一気に降り注いだ。
近所の男の子に久々にあうと、小学生でランドセル背負ってた子が中学・高校生になって、背もガタイも一気に変わると、誰か分からないくらいの衝撃をよく受けてました。
ボルケーノが久々に復活です!




