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モブ女子、冷たい体にびっくりです!

今回も読んでいただき、ありがとうございます!


本当はもう少ししテンションの高い流れになるはずが、凍りすぎたのか、そんな余裕がなくなったようです。



ーーーーーーーレオッ!




どこからか、俺を呼ぶ声が聞こえた。




・・・・・・




もう、どれぐらいここにいるんだろう。



ここは寒い。



全身が凍えて、震えが止まらない。



それに、体も痛い。



痛みと寒さで何も考えられなくなりそうだ。



お願い。



誰か、ここから助けて。






「ンフフ〜〜♪やっぱり、私の目に狂いわなかったわね!レオナルドはいい男だわ〜〜この、大人になりきる前の青年の一瞬の美しさがすばらしい〜!」




俺の前で話しているのは、さっきまでローズの形をしてたもの。



ローズも故郷も、懐かしい全部が偽物だった。



俺をこの寒い世界に閉じ込めたのもアイツだ。



ここはとても寒い。



全身が痛い。



苦しい。



こんなところで俺は死にたくない。



誰かに、会わなきゃいけないんだ。



でも、思い出そうすると、頭が痛くなって考えることが出来ない。





「しかも、この苦痛に歪んだ表情がまたいいのよね♪こうして見てるだけで、グッときちゃうわ〜〜!」




あの女が嬉しそうに俺を見る。



心の底から気持ちが悪い。



あんな女に見られながら過ごさなきゃいけないないて。



ここにいるだけで、こんなにも苦しいのに。



それなら・・・・もう、生きることなんて。






パッリィィィィーーーーーンッ!!!






その時、その閉じた氷の世界に変化が訪れた。


遠くで何かが壊れた音がする。



誰かが来た??




「な、何事ッ!!??」




女が驚愕の表情を浮かべている。


この女にとっても、それは予想外のことだったらしい。



その様子に少し胸の奥ががスッとした。




ガッシャァァーーーーンッ!!




そして、もう一度同じように何かが壊れる音が響く。


さっきよりも音の距離が近い。



誰かが、こっちに来ているの??





パッリィィィィーーーンッ!!!



ガッシャァァーーーーンッ!!!




音は、どんどん近づいてくる。



お願い。



誰でもいいから、この体を包む氷を壊して。



こんな痛みと苦しみしかないところにいるのは、もう嫌だ。




「だ、誰なのッ!?こんなことするのは!?出てらっしゃいッ!!」




女が辺りを怯えたように慌てた様子で、見回している。


あの女があんなに怖がる存在するとは、どんな人なんだろうか??



・・・・・・・ッ



その時、女には見えてないようだったが、暗闇の中から静かに紅と闇が入り混じったような炎が部屋の空間に生まれた。



その中から、1人の人間がゆらりと音も立てずにその場に現れる。



それはまさに、炎の化身のようだった。




燃え盛る炎というよりも、静かに燃え続ける青い炎のようなーーーーーー美しい炎。




・・・・・・・キレイ




氷に包まれた体では、おそらく声になってはなかったが、俺はその言葉を何度も繰り返した。




なんて、なんてキレイなんだ



氷越しに見ると、視界が冷たい世界に見えるのに。


彼女のいるところだけが、色のある世界として目に映る。



それに、なぜだろう?



彼女を見ていると泣きたくなる。



体が動くなら、今すぐ彼女の元に飛んでいきたい。


抱きついて、その温もりを全身で感じたい。




あれ?なんだろう??


この胸の奥から湧き上がる、熱い思いは。




「わ、私の美しい手が!!私の白く美しい手がァァァーーーーーッ!!」



「まだ、手の一本じゃない。これからもう一本も足も、全部燃やし尽くしてあげる」




彼女は冷たい視線で女に炎を向けた。



冷たい目線と表情から生み出された、凍りつくような声が辺りに響く。




なのに、俺の耳には全く別の声が響いていた。





『レオ!ボルケーノ!!どこにいるのッ!?』



・・・・・



『今すぐ助けに行くから!もうすぐだから!』



・・・・・ッ!!



『レオッ!!レオッ!!どこにいるのッ!?お願いだから、無事でいて!!』




それは、とても温かく熱い声。


凍ってるはずなのに、胸の奥がじんわりと熱を持ったような気がした。




「私の可愛いワンコと、守り神はどこへやったのかな?」



『私の大事なレオをどこにやったのッ!!ボルケーノはどこ!!』




うん、知ってる。


俺は、この声とあの少女を知ってる。




・・・・・・ロエ




「そろそろ、私の大切なものを返してもらえるかな?」



『私の愛する者たちを今すぐ返せ!!

もう二度と、大切な人を奪わせたりなんかしないッ!!』




頭と心と、そして俺の魂にまで届くかのように、その声が一際強く全身に響きわたる。




あぁ、なんで忘れていられたんだろう?



空っぽだった俺の心を、一瞬で満たすこの人を。



俺の人生を変えてくれた、2人目の君。






・・・・・・・クロエッ!!!!





氷漬けにされた俺の声は出ない。


今すぐ走り出したいのに、この足も手を動かない。


大好きな君がいるのに。


こんなに熱い思いで、必死に探してくれてるのに。










ピシピシピシピシッ!!!





ようやく、その瞬間がきた。


目の前の冷たい氷の世界が崩れ去り、俺の体は冷たい床へとゆっくりなげだされる。


凍らされてたせいで、意識はあるのに体が全く動かなかった。




「・・・・・・・・レオッ!!!」




君が泣きながら俺の元に駆けてくる。



なんて幸せな光景だろう??



君に抱き起こされて、ようやく俺は身体が起き上がった。




「レオ!!レオッ!!無事で良かった!!本当に良かったッ!!」




俺の冷たい体を全身で抱きしめながら、君が泣く。



君は、なんて温かいんだろう。



触れられたところから、何か暖かいものがどんどん流れてくる。





「こんな、こんな冷たい体で・・・ッ!!」




君の体温を奪ってしまう俺を許して。


ただただ温かくて、君の腕の中が気持ちよくて、凍っていたはずの目から涙が止まらないんだ。




「レオ・・・・レオッ!!」





君の涙を拭って、抱きしめられないこの腕がもどかしい。


動くようになったら、思いっきり抱きしめさせてね。




「・・・・・ロエ、だい・・・・すき」




ようやくのことで声を出した俺の言葉に、涙でぐしゃぐしゃの顔の君が、さらに涙をながしながら顔をくしゃっとさせて笑った。




「バカ!それはローズに・・・って、いつも言ってるじゃない!グスッ!」






ローズ、君に会えて本当に嬉しかった。



でも、ごめんね。


俺は故郷には帰れない。



俺は、この人と生きていきたい。


この笑顔をずっとそばで見てたいんだ。



だから、さようなら。


俺のーーーーーーーーー初恋の君。







そして、クロエ。



どうか俺を離さないで。



君の持つその激しい炎で、俺をがんじがらめにしちゃって構わないから。



俺をもう、1人にしないで。



君のことを少しでも忘れてた俺を、俺自身が1番許せない。



ローズがくれた、みんなに注がれる陽だまりのようや暖かさなんて、もういらない。



みんなと同じ愛はいらないんだ。



俺は、君があの女に垣間見せた魂から燃やし尽くされるような、あの熱さに包まれたい。




「・・・・・だい、すき」




ようやく動き出した腕と身体で、愛しいその人をゆっくりと抱きしめる。




ようやく答えが出た。


俺が欲しいものは、この1つだけ。




クローディアの肩越しに見えるレオナルドの瞳が、まっすぐどこかに向かう。



その目はいつもの明るく元気な彼とは全然違い、何かを決めた強さと、燃える炎が抑えこまれたような普段の彼からは見たこともないほど、




熱く深く、そして暗い色が見えていた。







レオ視点で書くと、どうもギャグにしにくい感じがします。純粋でまっすぐな子なので、気持ちを書くと一直線!!で、ストレートな子です。


でも、まっすぐな分、気をつけないとヤバい方へ行きがちな彼と思っていたら、とうとう最後に少し病みました(笑)


キレイなところで終わらせようとしたのに、なんともしっくりこなくて。


でも、考えてみたら爽やかなキャラ黒くなったり暗い裏があるのは王道ですね!

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