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モブ女子、妄想中です!

ようやく始まってきました!

死の山編!


あまり、長くなりすぎないように頑張ります!






ヒラヒラヒラヒラ・・・・・




蝶が、とんでいる。




この猛吹雪の中で、何の抵抗も衝撃も受けることがなく、フワフワと空中を自由に舞いながら、その蝶はどこかへと向かっていく。


純白の世界の中で、銀色に光るその蝶よ姿は神秘的であり、異質でもあり、そしてどこまでも美しかったーーーーーーーーー。






あの後、ボルケーノのまたしても筋肉をモリモリ!!からの魔法で、炎の壁が左右に並ぶファイヤーロードを作ると、その先にあった洞窟に私達は移動していた。




ちなみに、あの筋肉モリモリ儀式は毎回必要なんだろうか?


そして、その度にレオが大興奮で騒いでいるのもセットだ。




洞窟の中で、私達は持ってきていた朝ごはんを食べている。


真ん中には焚き火。

ちっとも寒くはないし暗さもボルケーノが辺りを照らしてくれてるから、何も問題はないのだが、そこはなんとなく雰囲気で。


すいません!

私がやりたかっただけです。




まぁ、ご飯といってもおにぎりとサンドイッチくらいだが。


今日のおにぎりは、新鮮なハムとレタスとトマトとキュウリのオーソドックスなサンドイッチ。

おにぎりは、ソーセージを中に入れた、ケチャップライスに薄く焼いた卵で包んだオムライス風。


今度手軽に食べられるオムライスとして、店でお土産用に売り出す予定のものだ。


まぁ、コン○ニにあったおにぎりをのアイデアを、私がパクっただけなんですが。


だってこれ、冷えててもおいしいんだよね♪




「・・・ねぇ、ボルケーノ」


『なんだ?我が主よ』


「さっき話してたのって、誰のことなの?」




さっきからずっと気になっていたので、やっぱり直接聞いてみることにした。




『そのことか。おそらく、いやかなりの確率で今回の件には我と同じ神が関わっていると考えて、間違えない』



「えぇーーーー!!マジで?!どんな神さまッ?!」


「ちょっと、レオ!くっついてたら食べづらい!」




またまた目をキラキラさせながら、興奮気味にレオも会話に割り込んでくる。




『魔力の質から見て可能性が高いのは、白い魔女と同じく氷や雪を司る女性の姿をした神だ。だが、あやつは白い魔女を嫌っていたはずなんだが』



話を聞きながら頭の中に浮かぶのは、RPGでよく召喚される、氷の魔法を使う女性?のイメージだ。


白い魔女が雪の女王のイメージだから、雪の女王と氷の神様がタッグを組んだ感じか??


あれ?これって、最強じゃね??





『あやつは、神の中でも一番真面目な性格で人間にも割と好意的であったからな。気に入った人間を自分の気分次第で次々と氷漬けにしてコレクションにしている白い魔女を、いつも軽蔑していた。力を貸すことは、まず考えられない』


「・・・・そっか。そしたら何か弱みでも握られてる、とかかな?」


『だろうな。ククッ神の中でもその強さが上位に入るあやつを、あの白い魔女ごときが力で勝てるわけがないしな』




なんだか、ボルケーノが嬉しそうだ。

もしかしたら、神様の中でも仲がいい相手なのかもしれない。




「確か・・・・白い魔女は、相手にとって何より愛する人の幻影を見せるんだよね?」




『えぇっとね〜〜その山の中に入ると、白い魔女が現れるの♪そして、その人にとって何よりも愛する人を幻で見せて、心を奪うと氷漬けにしてしまうんですって〜〜♪』




以前、お母様のララから聞いた白い魔女の情報ではそんなことを話していた。




『そうだ。主よ、あいつの幻影を見せる力はとても強い。心を強く持たなければ、すぐに惑わされて氷漬けにされてしまうだろう』


「うっ・・・・わ、分かった!」




どうしよう。


昨日の今日でジークフリート様の幻影なんて見せられたら、私は正気を保ってなんてられるかしら??


むしろ大興奮で、鼻血ブーーー!!の出血多量死とか、本気でシャレにならないかも。


だって、ジークフリート様にもしもあんなことや、こんなことされてしまったら・・・・ッ!!



「!!!???」



いや、これむしろ、絶対にあまりに萌えすぎての昇天死決定だわ。


あまりに萌えすぎて、声にもならない!!




『大丈夫か??我が主よ』


「・・・・ハァ、ハァ。ごめん、ちょっと放っておいて!」




妄想の中でのジークフリート様とのあれやこれやに、それだけで私の鼻血のダムと意識は崩壊寸前!!


考えるだけで胸のビートはMaxよ!!




「一番愛する人の幻・・・・か」




そうつぶやいたレオは、目の前の焚き火をぼぉ〜〜っと見つめる。


自分は一体、誰がその時に現れるのか。


やっぱり、幼き頃から一緒で昔から大好きなローズか、それともーーーーーーー。





ヒラヒラヒラヒラ・・・・・。




蝶が、とんでいる。



一匹の蝶は静かに洞窟の中に入り込むと、一心に考え込んでいるレオのそばへと舞い降りた。




「ん?・・・蝶??何これ、すんごいキレ〜〜」




『ーーーーーーこの魔力は、もしや!!』




「見てみて!!クロエ!!こんなところにキレイな蝶が!!」




『レオナルド!!今すぐに離れろ!!その蝶はッ!!!』



「・・・・・えっ??」





両手で銀色の蝶を優しく包み込んだレオナルドが、クロエのそばへと駆け寄ると、その蝶から銀色の光が溢れ出す!


そして、その光はレオナルドとクローディアをクローディアを包み込んで、2人とともに消えた。


残ったのは銀色に光る蝶一匹のみ。




『クッ!!油断した!白い魔女よ!!そこにいるのは分かっているぞ!!今すぐ我が主とレオナルドを返せッ!!!』




そう叫んだのと同時に、ボルケーノの両手から大きな炎の塊が蝶に向かって投げつけ、一瞬にしてその蝶の体は燃え尽きた。




『・・・・ずいぶんなあいさつじゃないですか??ボルケーノ様ったら!』




姿は見せずに、女性の声だけが洞窟の中に響き渡る。




『魔力をほとんど込めないで作った傑作をすぐに見破るなんて、やっぱりさすがですわね!』



『白い魔女よ!!お主、我が主達をどこへやったぁぁぁーーーーーッ!!!』





ドッカァーーーーーーーンッッ!!!!





ボルケーノの叫びとともに、赤い光が洞窟いっぱいに広がり、次の瞬間には洞窟は爆発の衝撃とともに一気に崩れ去った。


吹雪が荒れ狂う空中に浮かんだボルケーノの赤い身体中が、さらに深い紅へと、そしてその表情は憤怒の形相へと変わっていく。



『嫌だわ、ボルケーノ様ったら!そんなに怒鳴らなくても、聞こえているわよ!彼らにはとてもステキな贈り物をしてますから、安心なさって♪』


『クッ!!お得意の幻影魔法かッ!!』


『えぇ♪それよりも、あなた様のお相手は私にはあまりにも荷が重いため、彼女にお願いさせてもらったわ!!』


『!!??』




次の瞬間、ボルケーノの周囲のあちこちから吹雪に紛れて、鋭い切っ先を持った何十本という巨大なつららが襲いかかってくる。



『クッ!!この魔法は・・・・ッ!!!』



そのつららをボルケーノが巨大な炎を自身の周りに生み出して全てを燃やし尽くすと、目の前には先ほどまでいなかった氷の化身が一人、静かに空に浮いている。


頭の先からつま先までが氷でできており、その海よりも深い青い瞳には、今は光が伴わず、表情も人形のように冷たく感情がない。





『やはり、お前だったか』


『ーーーーーー許さない』


『・・・・・イヴァーナ』








※※※※※※※※※※※







その頃、騎士院ではーーーーーーー。




「おはようございまぁ〜〜〜〜す!!!」


「おはようございます!って、あれ?今日はクローディア殿ではないんですね??」





入り口で出迎えるのは、いつでも背筋をピシッと伸ばして立つ、門番のマルコ。


その前には、いつものように大きな荷物を背中に背負った、いつもと違うシルエットの女性が立っていた。



「悪いね〜〜今日はこんなおばちゃんで!

クローディアちゃんは今日は用があるとかで、朝から出かけてるんだよ」


「おはようございます。確か、ステル・ララで働く、ハンナ殿であったか?」



そこに通りかかったのは、この騎士院の長であるジークフリート=ウルンリヒ。


そろそろクローディアが来る頃だと、部屋から出て迎えにきていたのだが。




「あら!嫌だよ〜〜団長さんったら!!

こんなおばちゃんの名前まで覚えてるなんて!相変わらずの色男ね〜♪」


「クローディア殿は何か、急な用事ですか?」



昨日は自分が仕事でバタバタしていたせいか、全くと言っていいほど彼女には会えなかった。


あの後、大丈夫だったかと気になっていたんだが。



「いえね、あたしには詳しくは言えないんだけど、どうしてもお願い!!って、代わりを頼まれてさ。大事な人の命が懸かってるの!!なんて、すごい必死に言うもんだからね〜〜」


「・・・・・そう、でしたか。わざわざここまで持ってきてくださり、ありがとうございました」


「いいのよ〜〜!たまには若い人のたくさんいるところで、栄養もらわないとね〜♪」




ハンナは上機嫌のまま、お弁当を配りに奥へとルンルンな様子で歩いて行く。




「・・・・なにか、あったのか??」



自室に戻ってきて、事務仕事に手をつけていても、気持ちが落ち着かずにイライラしてしまう。





「グレイ!!」


「ーーーーーはい。なんでしょうか?」


「今日、レオナルドは姿が見えないが、どうしたんだ??」





騎士院の中では、クローディアがいるところには必ずレオナルドがいる!というくらい、当たり前の光景になりつつあるらしいのに、昼の時間になってもレオナルドの姿が全く見えないとは。





「ーーーーーーレオナルドならば、今日・明日は珍しく休暇の申請をしていてお休みです」


「・・・・!?」





我が騎士院では、仕事で遠征等や戦が起こらない時期では、一年に何度か自らの希望で休みを取ることができる。


レオナルドは元々勤勉で休みを取ることは少なかったが、クローディアが騎士院に来ることになってからは、休みを取ること自体がなかった。





「・・・・・そうか、分かった」


「では、この出来上がっていると書類を提出して参りますね」


「あぁ、頼む」




山のように積み上がっていた書類の一山を抱えると、グレイは静かに部屋から出て行く。


何やら出て行く際にブツブツ小さな声で話していたが、あいにくと全く聞こえなかった。




「・・・・・・フゥ。なんなんだ?全く、このイライラは」



グレイが部屋を出てからしばらくたっても、まだ胸の奥のムカムカがおさまらない、




「疲れが溜まっているのかもしれないな」




一息ついてお茶でも入れようかと席を立つと、その瞬間、部屋の中に何かの気配を感じて、とっさに剣を身構える。




「・・・・な、なんだッ!?この異様な気配はッ!?」




全神経を集中させて辺りを見渡してみるが、誰もいない。




『ーーーーーーなさいね』



「だ、誰だッ!!??」




突然、聞き覚えのない女性の声が頭の中に響く。





『ごめんなさいね。私はーーーーの魔女。あなたをさらわせてちょうだい♪」


「ッ!!??」




声の響きが鳴り終わるとともに、団長のすぐ後ろの空間が円を書きながら丸く歪み始め、そのままあっという間に団長をたやすく飲み込んでしまう。




後に残されたのは、静寂と途中まで手のつけられた書類の山だけだったーーーーーーー。




今回も読んで頂き、ありがとうございます!


この話は別の流れで一度かなり書き込んでいたのに、またまたいつのまにやら泣きの全消しの刑を受けました。


でも、おかげで一からかけたので逆に今は感謝してます!

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