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赤と白の紡ぐ糸 10

ようやくアップしました。スローステップで申し訳ございません。そしてこの過去編はいつまで続くのか。丁寧に書きすぎて未だ現代に戻れません。そんでもって主人公が遥か彼方へ・・・。


なるべく早めに現代へ戻します!


怪物が闇に包まれて消えたあと、その場を支配したのは音1つ響かない静寂だった。





一体、目の前で何が起こったというのか。





今なお怪物に傷つけられた全身は痛み、血が絶えず流れている。


その痛みを忘れるくらい、全身で感じるのは自分の心臓の鼓動。


体を激しく動かしたわけでもないのに、やたら大きな『音』を響かせながらその心の臓はいつもよりも早鐘を打つ。




果たして、あの怪物はどこへいったというのか?






「あなた・・・・・今、なにを?」




己を捕まえ、蹂躙していた腕や舌が突然消えたことにその目を丸くしながら、ライラの思考が止まる。



黒いモノが怪物に遅いかかった際、感じたことのない恐怖とザワつきを覚え全身が固まった。



これまでに、一度として感じたことのないほど邪悪な気配と魔力。





「あれは、まさか・・・・・・ッ!?」





一瞬よぎった可能性に顔を曇らせるものの、視界の中に血まみれのラスターを捉えたライラは闇の地を蹴ってその場へと跳んだ。




「ラスター!お前、しっかりなさいっ!」




ライラの魔力を手の平からラスターの全身へとすぐさま流し込み、傷口を塞いでいく。




「ラスター!!いい加減、目を開けなさいったらっ!!」




傷口が塞がっても、ラスターの目は閉じたままだった。




「ラスターッ!!」




血の気の感じられないその頬を、ライラの美しい手が何度も平手をうつ。





「・・・・・・ま女、さ、ま?」


「!!??」





しだいにラスターのぼやけた視界に光が入り、その視界は黒から紅のものへと埋め尽くされた。





「きれい・・・・だ」


「ラスター?」







その髪は、燃える炎よりも鮮やかに。




その瞳は、深紅の血よりも深く。




その唇は、薔薇の花よりも麗しく。





その肌は、透き通るように真白でよりその赤を際立たせるーーーーーーーー。






「ラス・・・・・・ッ!?」






気がつけばラスターはその陶器のように滑らかな肌に手を添え、柔らかな曲線を描く見た目以上に華奢で細い腰を力強く抱きしめていた。



まるで引き寄せられるように合わせた唇から、熱が直に伝わる。







温かい。








全身から伝わるそのぬくもりに、彼女は間違いなく生きているのだと実感し心が震えた。








温かい。








「・・・・・・・・ッ!?」





一体どれぐらいそうしていたのか、腕の中にいる彼女も全く抵抗することなくその中に納まっていた為、違和感を感じないでいたが。


ふと気がついたラスターの目の前にある、自分を射抜くような強い眼差しの赤い瞳と視線が交わった瞬間、全身の血を沸騰させるような勢いでそこから一気に飛び退く。




「ご、ご、ごめんなさいッ!!!ぼ、ぼくはあなたに何てことをッ!!!!」




これでは、彼女の全身を卑しく触れて舐めていたあの怪物と変わらないではないかっ!!



ラスターはすぐさま黒い大地?に跪くと、額をこすりつけ何度も先ほどの無礼な行為を全力で詫びた。




「・・・・・・・・・・」




「ま、魔女さま?」





跪いたまま、恐る恐る顔を上げるラスターの眼前には先ほどの妖艶な美女はどこにもおらず、きょとんと目をまん丸くしたライラが無言のままラスターの方ではない空間を見つめている。




「!!??」




だが、次の瞬間その赤き瞳に光が戻ると、無言のままラスターのところまで駆け寄り、その襟元を両手で掴みあげ一気に自分の方へと引き上げる。



そして再び2人の唇は勢いよく重なり、今度は先ほどよりも深く合わさった。








ライラの唇に、そして全身に触れたあのおぞましい舌の感触が消えない。


自分の身体をこちらの意思など何のお構い無しに、みなぎる欲望のままに触れて汚したあの大きな手の感触が消えない。


舐めるように、自分を狂気を孕んだ強い目線で犯した眼差しが消えない。






気持ち、悪い。





気持ち悪い。





気持ち悪い。





気持ち悪い!






気持ち悪い!!








気持ち悪いッ!!!








だが、不思議と自分の魔力を感じるラスターに触れていると、魔力が混ざり中和されるのかその不快な感情が少しずつ薄れていく。


それに気づいた後は、意思に関係なくそれを無意識に求めて止まらない。


そしてライラがどれだけその身体を密着させようと、立ち上がったラスターはただ彼女の背に両手を回して優しく包み込んでいるだけだった。



あの怪物のように、その手を身体の線に沿って舐めるように触れるわけでもなく、痛みを感じるほどに強く掴み上げるわけでもなく、ただただそっとライラの体が倒れぬよう支えるようにして静かに触れている。






「・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・」







その後幾度も目線が交わらせたままお互いに何を言うわけでもなく、ライラの気持ちが鎮まるまで2人は時間を忘れてその唇と身体を隙間なく互いのモノへと沿わせ、そのぬくもりを全身で感じあったーーーーーーーーー。


本編の主人公の恋愛がほぼ進まないまま、他の人達の方がしっかり恋愛を書いてるような気がしないではないですが。


これからも暖かく広い気持ちで、亀の歩みですがよろしくおねがいします!

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