オマケ外伝、学園モブ女子5
今回も読んで頂き、ありがとうございます!
楽しく書かせてもらいましたが、自由にやり過ぎてたらごめんなさい。
これ以上はない至福の時間をゲットする為、クローディアは全速力でもって次々と見張りとして倉庫内にいた男達をけり倒していく。
本編では基本的に一般人という設定の為に肉弾戦は苦手な魔法使いタイプだったが、外伝ならば何でもありですよ!
ボディーガードをやるならばそれなりに近距離戦も可能でないといけない為、ステータスに補正がかかっておりこれは大変動きやすい。
ついでに言えば、社長の趣味?でこの靴には特製の金属が入っておりキック力はかなり増強されていたりする。
それに、一応『女』1人ではない。
「・・・・・・紅丸!最短でよろしく!!」
「承知でござるっ!!」
伊賀だか、甲賀だかの忍者の末裔らしい服装にその身を包んだ彼とは、他の任務の時にまさにその伊賀VS甲賀のコスプレイベントではない本気の抗争に巻き込まれ、たまたま力を貸したのが紅丸がいた陣営だっただけなのに、大変に義理堅い彼はおかげで抗争に勝てた!と、それ以来こうして律儀に力を貸してくれている。
ボディーガードのボディーガードって、もはやそれは何と呼ばれるものなのか!
けれども、その戦闘における実力だけを見ればうちの会社のナンバー1を脅かすほどの手練れでもある為、力を借りられるのは本当に助かっている。
「おい!!このクソアマ!!なめた真似をしやががって!!」
「!?」
キレた様子の男達は次々と武器をその手に持ってこちらへ襲いかかってくるが、そんなことよりもクローディアにとって大事で最重要課題は一刻も早くこの場から学校へ戻ることである。
もし少しでも遅れて素晴らしい場面を見過ごしたりなどしたら、(クローディアの中での)この世の終わりだ。
「死ねぇぇぇーーーーーーーー!!!」
男達の手にある拳銃の引き金が一斉に引かれ、放たれた銃弾がクローディアめがけて発射される。
だがその銃弾が彼女の身体を貫くことはなく、その前に突然燃え上り地面に落ちた。
「・・・・・・な、なんだ?」
「も、燃えた?」
目の前で起こった珍事に、戸惑う男達の手の中で今度は拳銃自身が激しく燃え上がる。
「うわぁっ!!!」
「ぼ、暴発かっ!?」
次々と武器が燃え上がり、爆発の恐怖に拳銃を投げ捨てた男達は今度は腰に差していた短刀に手を伸ばす。
「く、くそっ!!銃がダメなら、こっちはどうだっ!!」
「串刺しにしてやるっ!!」
「・・・・・・・・そうはさせぬでござる!」
「!?!?」
短刀を勢いよく振り上げた男達の背中に、次々と紅丸の手から投げられた手裏剣が突き刺さった。
そして、その手裏剣に塗られていた薬の為に全身が麻痺した様子でその場へと仰向けに倒れこむ。
「・・・・・・ッ!!!」
「心配せずとも毒はないでござる。これは少しの間動きを止めるだけのもの。安心するでござるよ」
毒死かと驚愕の表情を浮かべていた男達は、その言葉に安堵の為息を吐いた。
「紅丸、ありがとう!!さっさと捕まった生徒を見つけてすぐに学校へ戻ろう!」
「承知!!」
捕まった生徒はさらに奥の部屋で全身を縄で縛られ、猿ぐつわをされながら眠らされていた。
蜂蜜のような金髪に、透き通るような真っ白なシミひとつ無い肌をしたスッとした鼻筋の端正な顔立ちの美青年。
「・・・・・・・あれ、アルフレド?」
アルフレド・ルカ・ド・オーギュスト。
アルカンダル学園に多大な寄付をしているというオーギュスト財閥の息子にして、アルカンダル学園でも大きな権力を持ち他生徒達を駒のように扱いながら君臨する俺様生徒。
ならばまだよかったのだが、彼はどちらというと我儘な部分が他の子よりも多く偉そうな態度なお山のガキ大将のような感じだった。
間違っても薔薇とかはまかないし、全校生徒による大コールも起こらない。
決して氷のエンペラーとかという感じゃない。
「おーーーい?」
ペチペチとその頬に触れてみるが、反応はない。
口を開けばギャンギャンと文句ばかりの彼だが、寝顔は割と可愛らしいと思えなくもないキレイな顔立ちをしている。
だが、今は眺めているような暇は1秒たりともない。
ペチペチ!
べしべし!!
バシバシッ!!
だんだん激しさを増しながら、そのほおを遠慮なく打つ。
大の男を担ぎながら戻るなんて時間的に非効率なことはごめんだ。
さっさと起きて、自力で動いて貰わなくては!
「・・・・・・いったいじゃないかっ!!!この俺に何をするんだ!!」
真っ赤な顔で、ようやくアルフレドが起き上がる。
「よし、起きた!そしたらすぐに学園に帰るよ!!」
「な、何!?こ、こらっ!縄を引っ張るな!引きずるなっ!!」
見つけてしまえばもうこっちのものだ。
ここにいる理由は何もない。
ならばさっさとここから立ち去り、ご褒美?タイムを満喫しに行かなければ!!
アルフレドが起き上がるのも待ちきれずに縄を力ずくで引きずりながら、出口へと突き進む。
だがーーーーーーーー。
「マァ〜イ・プリティボゥ〜〜〜イ♡♡♡お待ちになってぇぇぇーーーーーーー♡♡♡」
「「「 !?!? 」」」
全員見張りは倒したと思って安心していたのだが、そんな時に現れるのがダンジョンの大ボスだ。
クローディア達の元には、金髪の長くくるくるに巻かれた柔らかそうな髪にバサバサのまつげの中には青いつぶらな瞳が。
さらにその青ヒゲに囲まれた分厚い唇には艶々のピンク色のグロスが塗られ、その見事なまでの分厚く硬そうな上腕二頭筋と大胸筋を純白のレースが何層にもついた花柄のワンピースに身を包んだレディ?がドスドス!と大きな衝撃音とともに現れそこに立っていた。
その声は野太く、熱い眼差しは縄でぐるぐる巻きになっているアルフレドへと一心に向けられている。
「いやん♡♡なぁ〜〜んて可愛らしくて、おいしそうなのぉ〜〜〜〜!!!」
「・・・・・・はっ?お、おいしそう?」
ゾクゾクッ!!と、その瞬間アルフレドの全身に寒気が走り血の気が引く。
彼に向けられたその目は血走り、口からはうっかりよだれが垂れていた。
そんなアルフレドの前には、彼の縄をすぐさま斬って開放しクローディアと彼を守るようにして紅丸が立ちはだかる。
「我が主人と、その友人に手出しはさせないでござる!」
「紅丸!?」
「拙者のことは構わず、先を急ぐでござる!」
「・・・・・・・い、い、いや〜〜〜〜〜〜ん♡♡♡♡♡あなたも負けないぐらいに可愛いじゃなぁ〜〜〜〜い♡♡♡♡これなら夢の3Pができるわぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
キリッとつり上がったそのまっすぐな瞳と、まだ幼さの残る美少女と見まごう美貌の少年紅丸を前に、巨漢の男?はその身を激しくくねらせながら身悶えた。
「3・・・・?戦うのは拙者とそなたの2人でござる!」
「いいわぁ〜〜〜♡♡♡その、何も知らない無垢なひ・と・み♡♡♡私が壊してあ・げ・る♡♡♡」
バッチーーーーン★☆
「ぐはぁっ!!」
「???」
バサバサのまつ毛が片方だけ伏せられたスペシャルウインクを向けられた本人紅丸は、その言葉も行動の意味もわかっておらずに可愛らしくきょとんとしている。
その後ろで、ターゲットからは外れてはいないらしいアルフレドが大ダメージをおっていた。
うん。
確かに今はお色気も戦闘では立派な武器であり、技にもあるもんね!
あの大きくて引き締まった、それは硬そうなヒップから繰り出されるヒップアタックとかその全身を包む筋肉の重みも相まってかなりの破壊力がなりそうだ。
いやいや、それともまさかのパフ◯フとか?
今やパフ◯フの正体が声をかけてきた美女からのものではなく、美人局な犯罪的とまで思えるほどの大きな破壊力を持ったイベントになっていることを私は知っている。
実際にパフ◯フされたところで女の身としてはその感動は味わえはしないのだが、あの巨漢からのパフ◯フが心身ともに強烈なまでにキツイということだけは説明されなくとも十分に分かった。
彼?彼女?には、女の自分は視界にすら一切入れてもらえないようで、その視線はもっぱら美少年&美青年の2人に向けられているせいかもしれないが、どこか他人事のように冷静な自分がそこにはいる。
「き、貴様!!何をぼけっとしている!?は、早くここから逃げるぞっ!!」
「・・・・・・ご、ごめん、ついいつもの癖が」
だが、ロックオンされた本人にとっては生命の危機すらも感じる一大事な為、つかまれた腕には痛いほどの力が込められていた。
さらにいえば、かわいそうになるほどその全身が震えている。
「うふふ♡♡逃がしはしないわよぉ〜〜〜??」
「「 !?!? 」」
けれども、一度ロックオンされた相手を逃すほど目の前のボスは甘くはなかった。
紅丸の投げる手裏剣は彼女?の強靭な鋼の肉体に突き刺さることなく地面に落ち、その巨体に見合わないスピードでもって逃げようとしたクローディアとアルフレドの前に勢いよく回り込む。
なるほど!
RPGで逃げようとして『まわりこまれてしまった!』というのを、リアルで体験したわけですね!
「く、くそっ!!おい、お前!!なんとかしろっ!!」
「・・・・・・分かってる」
睨まれたカエルのように震えて動けないアルフレドは、片手でクローディアの服の裾を必死に掴みながら叫ぶ。
本当は相手をせずに逃げる方が時間的に早いと思っていたのだが、このままではどれだけ逃げても追いつかれて追い詰められるのが目に見えているだろう。
「主が許す!!全てを燃やし尽くせ!!神の炎、アグニ!!!」
「!?」
クローディアの言葉と同時に、彼女?のまわりに燃え盛る大きな炎が円形状に現れる。
「な、何よコレ!?キャッ!あ、熱いわっ!?」
「さ、今の内に逃げるよ!」
「・・・・・・あ、あぁ!!」
「何してんの!紅丸も逃げるよ!!」
「え?!せ、拙者もでござるかっ!?」
片手では震えたままのアルフレドの腕をつかみ、未だ炎に包まれた彼女?から目を離さず短刀を構えたままの紅丸の腕を掴んでそのまま一緒に走り出した。
「狙われてんのは2人のケツなんだから、当たり前でしょうがっ!!」
「・・・・・け、ケツ?」
多分そうだと思うが、いやいやもしかしたら狙われてるのは童◯の方だろうか?
体の小さい方が右側というのは、今の何でもありな世界においては絶対の常識とはなりえない。
むしろ、年下や小柄な少年が大柄な相手を相手に時に果敢に時に可愛らしく攻めていくのが勢力として幅を利かせ始めているのだ。
「し、しかし敵を背にして逃亡するなど!」
「・・・・・・逃がさないわよぉぉぉ〜〜〜〜〜♡♡♡」
「!?」
「ぎゃぁぁぁーーーーーーーー!!!」
「は、早い!?」
全速力でその場から逃げていたクローディア達だったが、またもや敵に『まわりこまれてしまった!』
金色に輝いていた髪の毛や純白のワンピースをあちこち焦がして煙をたてながら、彼女?は笑顔で両手両足を大きく広げながら3人の前に立ち塞がる。
「よくも、私のお気に入りのお洋服と、自慢の髪を焼いてくれたわね??許さないわよぉ〜〜〜そこのどブスっ!!!」
「あ、あんたに言われたかないわよっ!!確かに可愛さで言えばよくて普通だろうけど、ドブスと言われるほどそこまでひどくもないからね!!」
血管が浮き出るほどに怒っている彼女?の目線の先には、それまで1秒足りとも目が合わなかったクローディアが真っ赤な顔で男2人の前に立ちはだかっていた。
「そこのハニー達は、この私が可愛がってあげることに決めたのよん♡♡♡あんたみたいなドブスは、さっさと消えちゃいなさぁ〜〜〜い♡♡」
「・・・・・・・ぐはぁっ!!!」
「???」
またもや全身をくねくねさせながら、彼女?は両手を顔の前で握ったままポーズを取り、上目遣いで愛しのハニー達にラブビームを送る。
まともに喰らったアルフレドはまたもや吐血し、攻撃?の意味が分かっていない紅丸は相変わらずきょとんとしていた。
むしろ自分の前に立つクローディアを守る為に前に出て、いつでも攻撃出来るよう冷静に戦闘態勢をとっている。
なるほど。
『無知』というまっさらな純粋さは、ある意味大きな守りにもなりうるんですね。
炎があまり効かないとなればあとはもう肉弾戦になるが、あの巨漢から繰り出される攻撃と炎攻撃もあまり効きにくいらしいメタル的な防御力を考えるとかなりの長期戦が予想される。
だか、それは大変にまずい。
そんな時間をここでかけてたら、数ヶ月前から楽しみにしていたあの人の素晴らしいイベントを見逃してしまうことになってしまう。
また来週があるじゃないって?
そんな考え方では、また来週も同じように見過ごすしてしまうに決まってるじゃないか!!
今週ドラマ見れなくても、来週があるよね?的に構えてたらあっという間にクライマックスになってて、全くシナリオが分からないままラストを迎えてしまうんですよ?
イベントが起こるべき時にゲットしないと、後からじゃ見れなくなってたりかなりの課金しないとダウンロードできなくなってしまうんですよっ!?
人生はいついかなる時もオートセーブなんだから、取り返しがつかないことになったら私は死んでも死にきれませんっ!!
あ、見忘れたからもーどろっと!
っていう、読者に大変優しかった逆既読スキップ再生機能なんぞ、ゲームだってもう一部しかないんですからね?
選択肢1つを変えるにも、今は代価を払わなきゃ選べない時代なんです!
それは全部どんどん課金させる為に製作側が仕組んだものですが、それでもやっぱり見たいからお金をつぎ込んでしまう自分が嫌だけどやってしまいます。
「お、おいっ!!何をぼけっとしてるんだこのバカっ!!」
「!?」
あれ?
しまった、また脱線してた。
でも、そうでもしないとさすがに恐怖すら覚える目の前のボスと直接見つめ合ってしまう。
「はぁ・・・・・仕方がないか。私があいつと直接戦うから、あんたは紅丸と一緒にそのまま逃げてくれる?」
「な、なにっ!?」
「主をおいては逃げられないでござるっ!!」
「・・・・・・・いや、そうは言ってもあいつの狙いは私になっちゃったしその隙に逃げてよ。私もなんとかして途中で逃げ切るからさ」
守るものが側からいなくなれば自分の身だけに集中してればいいし、1人きりで逃げるならばまだなんとかなるーーーーーーーような気がする。
「・・・・・・安心してよ。あんたは私が守るからさ」
「!?」
決して死なせたりはしない。
ターゲットである『彼』でなくとも、『彼』が愛し大事にしている『学校』とそこの『生徒』は自分も同じように守りきる。
ニッコリと笑って言えば、再び真っ赤な顔になったアルフレドが顔を彼女からそらした。
「紅丸、お願い」
「・・・・・・・承知したで、ござる」
まっすぐにその目を見ながら伝えると、静かに目を閉じた紅丸が膝をついて頭を下げる。
「ぐっちゃぐちゃに握りつぶして〜〜〜♡♡♡特製のハンバーグにしてあげるぅ〜〜〜〜♡♡♡♡」
「それはごめんこうむります!!ちなみに、それしていいのは絶世の美女だけだからねっ!!」
彼女?の振り上げた大きな拳が地面に落ち、大きな衝撃音と煙が巻き上がる。
「行ってっ!!」
「・・・・・・承知!!」
「あ!お、おいっ!?」
煙が上がったのをチャンス!と、2人をこれを機に逃す。
いや〜しかし、すごい攻撃力だわ。
一発でも当たれば絶対に会心の一撃だね。
うん、これはあれだ。
体はめちゃくちゃ大きくで武器も大きいから、当たれば会心の一撃が多いけど通常攻撃が当たりにくいモンスターがゲーム内にもいたっけ?
だが、そのモンスターと違うのは素早さがわりかし高いこと。
さらには防御力も高いことだろうか。
「そぉ〜〜んな弱い蹴りなんて、準備運動にもならないわよぉ〜〜〜♡♡♡」
「・・・・・・・・あっ!!」
彼女の攻撃を避けつつ鋭い蹴りをその首元や体を狙って何度も繰り出すが、全く効いてるそぶりがないどころか足を痛いほどに掴まれて身動きが取れなくなり、ただいま絶賛絶対絶命状態だ。
「私の髪とお洋服を燃やした罪で、粉々に砕いてやるわぁぁぁ〜〜〜♡♡♡」
「!?!?」
掴まれている手とは逆の手が空高く振り上げられ、クローディアの体を壊す為に勢いよく振り下ろされる。
訪れる痛みと衝撃を覚悟して目を閉じたクローディアだったが、その瞬間は待てども訪れなかった。
恐る恐る開いた目の先には、見知った後ろ姿がーーーーーーー。
「全く、何で我を呼ばんのだ?」
「ぼ、ボルケーノ先生ッ!!!」
「な、何なの?!・・・・・ぎゃあっ!!!」
彼女?の拳を同じくらいに大きな手の平が受け止め、彼の反対側の拳が彼女の頬へと鋭く突き刺さる。
「ここは我に任せて、お前はあいつらとすぐに合流しにいけ」
「あ、ありがとうございます!」
ファイティングポーズを取ったまま、ボルケーノは横目でクローディアに目線を送るとニヤリと余裕の笑みを浮かべた。
パワーに対抗するには、同じかそれ以上のパワーしかない。
クローディアは頭を下げると、すぐに2人を追いかける為に地を蹴って走り出す。
「に、逃がさないわよ〜〜〜〜〜♡♡♡」
「させぬよ」
「!?」
ボルケーノからのパンチで吹き飛んでいたその体を急ぎ起こすと、彼女?は殺気を全身から放ちつつクローディアへと向かって全力で駆け出したが、その前をボルケーノに塞がれその勢いのまま胸元と腕を掴まれて地面に投げられた。
キレイに決まった、一本背負い!!
「こ、この!!いったいじゃないのっ!!!
乙女を投げるなんて、何て最低な男なのかしらっ!!!」
「くくっ・・・・・悪いが、生徒を守るのが教師の役目なんでな」
「可愛くもなんともないあんたなんかに用はないわっ!!!ぶち殺してやるっ!!!」
彼女?の表情がこれ以上はないほど怒りから醜く歪み、元々低めだった声がさらにドスのきいた声へと変化する。
「そうそう♪喧嘩は本気でやらぬと楽しくないし、我もたまには全力で体を動かさないと体が鈍ってしまうからな」
「死ねぇぇぇーーーーーーーっ!!!!」
ものすごい速さで突進してくる彼女?を前にしてもボルケーノの笑みは変わらず、むしろより愉しそうに笑いながら構えを取りその巨体を受け止めると、力の限りその体を空と大地に向かって何度も投げとばした。
2時間後ーーーーーーー。
「・・・・・・・し、信じられない。この私が、ここまでこてんぱんにやられるなんて!!」
全身、洋服はボロボロでその肉体も傷だらけの彼女?は涙を流しながら仰向けに倒れて空を眺めていた。
彼女?に『敗北』の二文字を味あわせた本人はすでにこの場におらず、そろそろ仕事に戻らなくてはとタバコを一服してからあっさりとその場を離れていったのをぼんやりと覚えている。
これまで出会ってきた男で、自分をここまで完璧に打ちのめした相手は誰1人としていなかった。
そして、これまで愛したのは自分とは正反対の美しさを持つ、自分よりも小柄で細身の見目麗しく可愛らしい美少年達。
なのに、なぜかしら?
先ほどの男の顔が頭からこびりついて離れない。
彼の姿を思い浮かべるだけで、胸の奥と下半身のある部分が熱く燃えたぎる!
こんな感覚、生まれて初めてよ!!
そう、あの人にだったらこの身が抱かれても構わないっ!!
いいえ、むしろ抱いて欲しい!!
あの力強い腕で、壊れるほどに抱きしめて欲しい!!
「・・・・待っていて、マイダーリン♡♡♡すぐ会いに行くわぁぁぁーーーーーーーー!!!!」
痛む全身を無理やり起こすと、彼女?は頬を赤く染めながら体をくねらせつつ愛しのダーリンに向けて、そのたぎる気持ちを咆哮のごとく叫んだ。
この恋の続きはーーーーーーー多分、ないと思う。
ボスが最初は違う方だったんですが、しっくりこなくて名前すらない彼女?にしたら場面が驚くほどスムーズに進んでしまいました。
今更ですが、名前をつけてもいいかもしれません(笑)




