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モブ女子、手がかり?

今回も読んでいただき、ありがとうございます!




クローディアの悲鳴?を聞きつけ、レオナルドもすぐさまクローディア達の元へと駆けつけた。



「え?この少年、元々モンスターなのっ?!」


「クローディア殿のお仲間でござるな。拙者はこの方に国を救って頂いた恩により、この場に参上仕った戦士・紅丸でござる!これより先、貴殿達との同行を是非とも許して頂きたい!」



クロワッサリーの勇敢な戦士こと紅丸は、レオにも礼儀正しく頭を下げて挨拶をする。



そしてーーーーーーーーー。




「あっ・・・・・!く、クローディア殿!羽を触るのは御遠慮下され!うあっ!は、羽はび、敏感な部分でござるからっ!」



「!?」



擬人化したキャラクターとまさかリアルな世界で会えるとは思わず、つい彼の背中から生えている羽の部分をあちこち触ってしまっていたのだが。



「や、やばい・・・・・萌える」



顔を真っ赤にしながら、羽から感じる刺激に対して必死に耐えつつ声を漏らす紅丸にクローディアは思わず息を飲んだ。


擬人化したキャラクターがよく主人公に耳や尻尾をいじられて悶え、それを見た主人公が『楽しい!』『可愛い!』と触るのが止められない光景をよくゲームや漫画でよく見かけたが、なるほどこれは確かに堪らない。



クローディアにSの気はたぶんなかったはずだが、この可愛らしさはついついいじめ倒したくなる衝動を掻き立てる。


しかもこの紅丸の羽が大変柔らかく、触り心地がとてもいいのだ。



いくら撫でていても、一向に飽きない。




「ごめん、もう少しだけ」


「うわっ!あっ・・・・・・・た、頼むでござる!こ、これ以上はもうっ!」


「!?」



つい夢中になって触っていたら、クローディアの背後から覆いかぶさってきた腕によって彼女の腕ごと羽交締めにされ、紅丸の羽に触れていた手がそこから強制的に離される。



「もう、クロエッ!!!紅丸ばっかり構ってずるいっ!!!俺の事も撫でて!!」


「へ?」


「た、助かったでござる!」



大きなため息を吐いてホッとしている紅丸の側では、正気に戻ったクローディアに頭を撫でられてご機嫌な様子でニコニコしているレオナルドがいた。



おいおい、なんなんだこれは?



いや、悪いのは私か。


だって紅丸の反応があまりに良いもんだから、ついつい楽しくて。




あ!これ、決して浮気じゃないですからね!!


クローディアの心も体も、ジークフリート様一筋ですからね!!





でも、機会があったらまたぜひ触らせて頂きたいです。





「そもそも、紅丸くん?はなんでモンスターから人型の姿に変わることができたの?」



二次元の世界でなら『よくある事』とはいえ、普通に生活している中ではそうそう自然の中で起こることでは決してない。


そこには必ず大きな力を持つ何かが関わっているはずだ。




「クローディア殿、どうか拙者のことは紅丸と呼び捨てで」



「わかった。じゃ、紅丸で」



「かたじけないでござる!拙者は貴殿達と別れた後、国に帰り王国の警護に日々勤しんでいた所、ある人間の男が拙者の前に現れたんでござる!」



「人間の・・・・・男?」



「正確には、人間の姿をしたトルナードという名の神でござった」



「!?」




今、なんて?




「と、トルナード様っ!?その神様にあなた会ったの?!」




なんてことだ!?



クローディアは、あまりに突然降ってきた本丸へのヒントに興奮した様子で紅丸へと詰め寄る。



「トルナード様は、拙者にクローディア殿の力になるようにと人の姿を与えると、すぐに拙者の前から消え申した」


「そ、それでそのトルナード様はどんな姿だったっ?!」



ようやくヒントが貰える!!と期待に胸を躍らせたクローディアに対し、紅丸は頭を静かに横に振った。



「申し訳ない。トルナード様は深いフードを被ったローブを着込んでいて、その顔は拙者の目には何も。男と言ったのは、その声が人の男のもののように低かったからでござる」



「・・・・・・・そっか。教えてくれて、ありがとう」



やっぱり、ウンディーネ様が話してくれたようにトルナード様は私が自分のことを探していることはすでに知っており、紅丸をわざわざ人型にしてまで力を貸してくれはするものの、それでもその姿を容易に私へと見せることはしないらしい。



そこは、あくまでも自力で見つけ出せってことか。


でも、それならばまず目指すべくはウンディーネ様が話してくれた『リーフヴェント』だ。



そこでやることは回復の手立てと、情報収集。



何はともあれ、今はとにかく自分の足でヒントを探し出すしかない。



「それじゃ、陽が落ちる前にリーフヴェントまで行こうか!」


「お供するでござる!!」


「うん!早いとこその村でゆっくり休もうよ!俺もう体がクタクタで・・・・・・」




ガサガサガサガサッ!!




「!?」


「敵陣か!!」


「クロエッ!!俺の後ろへ!!」



近くの茂みが動き、そこからのモンスターの出現に対して皆がそれぞれ武器を構えながら息を潜める。


クローディア自身も水龍の剣を構え、緊張にその身を包んだ。




ガサガサガサガサッ!!





「見つけたわよ〜〜♡♡♡マァイスウゥィーーーート♡♡ハニィ〜〜〜???」



「「「 !?!? 」」」



茂みから現れたのは金髪の髪を持つ奇跡のボディービルダーにして、乙女の心を持つ情熱のオネェ戦士。


大きな斧を軽々とその手に持ち、その赤い唇を舌なめずりしながら獲物に向かって熱い眼差しを向けている。



「あら、いやだわぁ〜〜〜〜♡♡♡もう一人のハニーもなぁ〜〜〜んて、おいしそうなのぅ〜〜〜〜♡♡♡♡♡」



「!?!?」



「ん?な、なんでござるか?この異様な寒気は?」



どうやらオネェ戦士の視界にクローディアは一切映っていないようで、その瞳には新しいターゲットとして見事にロックオンされた紅丸が怪しい光とともに映っていた。


だが、そのことを紅丸自身はその身の危険も含めて気づいておらず、本能が感じ取っている悪寒に首を傾げている。



そして、その横では尋常ではないぐらいに全身を震えさせたレオナルドが歯をガタガタさせながら顔を真っ青にさせて怯えていた。



「れ、レオ?大丈夫?」


「・・・・・・・・・く、く、く、く、クロエ!た、た、た、た、た、助けてッ!」


「!?」



すぐ側に来たクローディアにハッとなったレオナルドはガシッとそのまま彼女にしがみつくと、強い力で離れまいと抱きしめる。



その体は指先まで震えていた。



怖いのは十分に分かるが、これではクローディア自身も身動きが取れない。



「クローディア殿、あれは人間でござるか?」


「・・・・・・・た、たぶん」




鉄爪を構えつつ攻撃をしていいのか躊躇していた紅丸が、その答えに構えを解く。



「承知した!」


「え?」


「どっちのハニ〜〜から、食べちゃおうかしらぁ〜〜〜〜〜♡♡♡ここはやっぱり、マァイハニーーからよねん?」


「ひいぃぃぃッ!!!!」


「逃がさないわよぉ〜〜〜♡♡♡うらぁぁぁぁーーーーーーーーッ!!!」


「!?」



狙いを定め、斧を構えてものすごい勢いで突進してくるオネェ戦士の姿に、ここは逃げるしかない!!と翼竜のブーツの解除呪文を唱えようとしたその時、彼女の体がふわりと中に浮かぶ。



「・・・・・・・あ、あらん?マァイハニーーーーー???」



突進した末、先ほどまでクローディア達がいた場所の先にあった大木にその巨体で抱きつき、その大木を見事に抱きつぶしてへし折り地面へと倒したオネェ戦士だったが、彼らの姿を見つけることは最後までできなかった。












「・・・・た、助かった」


「ありがとう、紅丸!」


「これぐらい、お安いご用でござるよ!長時間は無理でござるが、近くの村までならこのまま運べるでござる!」



オネェ戦士が突進したきた際、クローディアにしがみついたままのレオの背後に飛んだ紅丸は彼の体を掴むと、翼を広げてそのまま大空へと飛び上がったのだ。


もしあのまま彼?彼女?に捕まっていたならばいくら騎士院で鍛えている身とはいえ、ただでは済まないダメージを負ったことだろう。


それも肉体的なダメージだけではなく、精神的なダメージの方がかなり巨大なものになったに違いない。



「あ、あそこ!森の中に村がある!!」


「承知した!それではその麓に降りるでござるよ!」




紅丸の翼が大きな羽ばたきを立てながら、ゆっくりとその村に向かって下降していく。



ちょうど大空には暮れ始めた夕日が姿を現し、先ほどまで青々とした空は燃えるような茜色に染まっていた。


動物に触れているとなぜあんなにも癒されるのか。それがたとえゲームや携帯の画面であっても、その可愛い姿に心が癒されます。

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