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モブ女子、まさかの再会!?

いつも読んで頂き、本当に感謝です!


新しいと言いつつ、再会になってますね。


新しいキャラも出る予定ではいます。

そんなこんなで、クローディアはレオナルドと一緒にアルカンダル王国より朝から馬に乗って出発し、風の谷に繋がる深い森の中は馬で進めないとのことで森の入り口の見張り番をしていた兵士に預け、そこからは徒歩で移動中である。




ジークフリート様のフラグ折りの為によくレオとはこうして遠出をしては、彼が任務で行く先々に先回りしていたのがついこの間の事のようだ。




森の中では同じように旅の人がすれ違ったり、怪しげな商人がいたり、冒険の書はないけど神に祈りを捧げてくれる牧師さんがいたりと思ったよりは以外と人の通りが多い。




1日でも一刻でも早くジークフリート様の元へ帰る為!!



その1人1人がもしかしたらトルナード様ではないのかっ!?と疑いながら緊張して関わるものだから、さすがにぐったりと疲れてしまった。



どれだけ推理しようとしても何のヒントもないんじゃ、いやそもそもどれだけ課金しようとも名探偵を召喚できない世界では何を持ってして黒やグレーにしていいのかさっぱり分かりません!



終いには頑強なマッチョのオネエが現れ、若くて爽やかな青年ーーーーーレオに対してそれはもう今にも飛びかかりそうな興奮気味で現れた時は、さすがに一ミリも疑うことなく逃げましたけどね。



私よりも、私の手を掴んだレオがそれはもうものすごい勢いで。




いや〜〜騎士院でも中々お目にかかれない、それは見事なミスターいやミス?ボディービルダー!!



素晴らしい弾力を誇りそうな、鍛えられしバストは果たして何センチあるのか!!



その見事な上腕筋は、騎士院で毎日鍛えているはずのレオと比べても軽く2〜3倍はある。


さらに波打つような豊かな長い金髪には、乙女らしいピンクのリボンがつけられていて、彼?彼女?の手に持つ普通の斧の10倍はあるだろう巨大なシルバーの斧にも同じ色のリボンがつけられていた。



うん、私よりも乙女だ。



青髭の中にある唇は私よりもはるかに潤っていて、そのつぶらな瞳を縁取るまつ毛もバザバサだ。



もちろんメイクもバッチリ!!



うん、確か体毛濃いとまつ毛も濃く長くなりますよね。



私には見えない瞬間に、彼?彼女?とその燃えるような熱視線がバッチリ合い、見事にロックオンされた瞬間の顔がえらく怖かったらしい。




「マァ〜イ・プリティボゥ〜〜〜イ♡♡♡お待ちになってぇぇぇーーーーーーー♡♡♡」



「い、い、い、い、嫌だぁぁぁーーーーーー!!!!」



「お・ね・が・い・だからぁ〜〜♡♡待ってって・・・・・・言ってんだろうがうらぁぁぁーーーーーーーーッ!!!!!」



「ぎゃぁぁぁーーーーーーーー!!!!!」





どうやらレオが好みのどストライクだったようで、獲物に飛びかかる肉食獣のごとくその体格に反してものすごい俊敏な勢いのまま、かなりの時間を追い回されてしまった。


狙われてるのは自分じゃないのに、命の危険をモンスターに襲われている時よりも強く感じたのは気のせいじゃないはずだ。




でも、一番怖かったのはレオだ。




途中レオがうっかり捕まって危うく組み敷かれそうになり、断末魔の悲鳴をあげる彼の姿に『翼竜のブーツ』の解除呪文をまさかのここで初めて使用することとなった。



本当に風にでもなったかのようなこれまでに感じたことのない速さで移動ができ、オネエ戦士?が追いついてこれないだろうと思われる場所まで森を全速力で走り抜けた。



マッチョじゃなくて、もう少しレオと同じような細マッチョのイケメン同士ならしばらく見守っていたかった気もするんだけど、逃げきった後もしばらくクローディアにすごい力でしがみつきながら、本気で全身を震わせて怯えているレオを見たらさすがにその妄想は途中で頭から追い出す。




とにかく今は、副作用で体全身が重く怠い。




「・・・・・・・あーーーーあ、トルナード様は本当に風の谷にいるのかな?」




怠さから少しでも解放されたくて、大きく手を空を向けて引っ張り体をぐっと伸ばす。


レオはまだ先ほどまでのスペシャル?イベントから立ち直れていないらしく、木の幹の根元に座り込んだままぐったりしている。



今度は私が何か果物をもっていってあげようと、その辺にいることを告げてから森を散策し始めた。




「・・・・・・・・気持ちいい〜〜!」




辺りはとても静かで、時折聞こえてくる鳥のさえずりに心が癒されていく。


そういえば、こんな風に日差しの強い夏の時期だと前世では元気よく鳴くセミの声を聞いたものだが、こっちの世界では見かけたことがない。


蝶はよくみかけるものの、そんな些細な違いも自分がやっぱり前とは違う場所にいるのだと改めて感じるような気がして少しだけ寂しさを感じた。



「どんな人、いや神様なんだろう?」



トルナード様に出会ってこの腕輪を外すこととボルケーノやイヴァーナ様を解放する手立て、もしくはそのヒントを教えてもらう事。



ゲームでも誰かに会いに行く事が目的のイベントはよく起こる。



その場合、親切なゲームなら分かりやすい『目印』があったりそこまでの道筋が出会う人々から少しずつ得られて近づいていく。



後はその人かその人がいる空間に入れば、画面が変わって勝手にイベントモードがスタートするから、流れに逆らわずに身を任せればいい。



もしそれが、パーティーの中にいる人物に関係があればサブイベントとして起こったりすることもある。



まぁ、今のところ大きなイベント?なのは『レオの貞操?いや処女を守れ!!』ぐらいなのだが。



それ以外の人は特に個性を大きくは感じず、ゲームで言えばモブの域を出ない感じ。



ゲーム内でその見た目に個性があるかは大きな違いだ。



それだけでその他大勢から、メインではなくともサブキャラ、もしくはそこに繋がる重要参考人になる可能性がとても高い。



まぁ、私を含めたほとんどがその他大勢に当たるのだけれど。



あと、これは乙女ゲームに多い鉄板とも言える事なのだが、イベントに関係があったり新しく仲間になる相手はまず例外なく皆タイプは違えどイケメンである。



もはやイケメンを見たら、新しい仲間かラスボス・もしくは敵の幹部クラス関係と思えっ!!!



っていうぐらい、鉄板!



まぁ、好みによってはモブの中にも光るダイヤの原石が!!っていうのもいるし、私も何度かあったのだけれど。


あ、乙女ゲームにおける最近のそういうメインまで行かないけどモブよりイケメンなサブキャラは、メインをクリアすると扉が開かれる可能性が無きにしも非ずな為、最後まで諦めてはいけない。



メインイケメンを主人公に紹介し、ゲーム中何かと案内してくれる進行役の方に惚れて、

『この中から選ぶなら誰がいい?』という、個人ルートに繋がる選択肢の中にそのキャラがいないか真剣に探し、誰がいいってお前が良い!!っていう選択肢がなぜ出ないっ!?と、割と本気で画面に向かって叫んだのも一度や2度ではない。



こういうの、たぶん私だけではないと勝手に思ってるけれど世の中のお嬢様達はどうなんだろう?







バサバサバサバサバサッ!!!






「!?」



その時、私の耳に大きな羽ばたきの音が響く。


それは先ほどから聞こえるさえずりの持ち主達のような小鳥達のものではなく、もっと大型の立派な翼を動かした時のような音。




「・・・・・・あれはっ!?」




空の上を旋回しているのは、焦げ茶色の羽の鷲によく似たその鳥モンスターの名は、以前空中大戦争の敵方として現れた『トルティーガ』。




「しまったっ!?」




そのトルティーガが森の中で自分を見上げるクローディアの存在に気付き、大きな叫び声を空中へと大きく響かせる。


大きな突風が森の木々を揺らし、その風とともにすぐさま何羽ものトルティーガの仲間がクローディアの頭上に現れた。




「・・・・・ま、まずい」




彼らにとって自分は敵方の1人。



しかも、彼らの様子からあの大戦争に参加していた鳥達に間違えはなさそうで、近くの木々に止まって情報交換?なのかそれぞれに鳴き声をあげながら、最終的には全羽の鋭い瞳がが一斉にクローディアへと狙いを定めて襲いかかってきた。



「!?」



今だに『翼竜のブーツ』の副作用で重い体にムチ打ちながら、必死にその場から逃げる為に急いで駈け出す。



攻撃魔法が使えない今、四方八方から鋭い嘴で襲いかかってくるトルティーガの攻撃を防げるほど剣技に長けてなどいなきクローディアには、レオのいる所まで逃げることが第一優先だ。



だがそれを先読みされたトルティーガの一羽が、クローディアの行く手を阻むために目の前を高速で通り過ぎる。




「・・・・・・・・・ッ!!」




転ばぬようとっさにその場で足を踏ん張るものの、前後左右の木の枝に止まってこちらの様子を伺うトルティーガの姿から容易に逃げ出せない事だけはすぐに理解ができた。



『水龍の剣』を構えて、四方にいるトルティーガに目線を向けながら緊張で体をこわばらせる。



剣においては、1対1の戦いだってやっとのひよっこ戦士な自分になぜいきなり4対1!?



いや、ゲームならこれは当たり前の光景か。



いやいや、現実にそれを初心者にされたらやっぱり厳しいって!!




「ピイィィィーーーーーーーーーッ!!!」



「!?!?」



その中の一羽が猛禽類の鳴き声を大きく響かせ、それを合図に一斉にクローディアへと飛びかかる。


水龍の剣で必死に応戦し、体への傷も水龍の剣に込められた魔力を守りに使っている為に擦り傷程度で済んでいるが、このままでは決着がつく前にこちらの体力が無くなってしまうだろう。




「くっ!?」




そして、足元に飛んできたトルティーガを避けようとしたクローディアはバランスを崩して地面に倒れこんだ。




「・・・・・・・・ッ!?」




それを好機と見たトルティーガ全羽が攻撃へと転じる。


襲いかかる痛みを覚悟し、水龍の剣で顔面への攻撃だけは防ごうと構えたクローディアだったが、その痛みは一向に彼女へと降りかかることはなかった。


その代わり、トルティーガ達の悲鳴と地面や木の幹に叩きつけられる音などがクローディアの耳に響く。




「???」




まさか、レオが駆けつけてくれたっ!?


顔面から手と水龍の剣を下に下ろし、視界をクリアーにしたクローディアの瞳に映ったのは見知った青年の後ろ姿ーーーーーーーーではなかった。





「・・・・・・・・・・だ、だれ?」




クローディアを守るようにして大地に立つその後ろ姿は、肩ぐらいまでの白髪を高い位置で1つに結った髪に、全身を覆う忍者のような黒い装束を身につけたクローディアよりも一回り小さい細身の少年。



その手の甲にはRPGの武闘家の定番装備である鉄爪がつけられ、その鋭い爪によってトルティーガ達の嘴を弾きその体を吹き飛ばす。



彼?が動くたびに時折クローディアの視界に映る彼の金の瞳の端には、唇に塗る紅を羽塗ったかのような鮮やかな赤い痣があった。



前世での日本の京都にいる『舞子さん』でよく見られた、魔除けの意味を持つメイクをもっと濃くしたような感じと言えば分かりやすいだろうか?




「お側に参るのが遅くなり、大変申し訳ないでござる!」



「へ?」



トルティーガ達をあっという間に全て倒した少年はクローディアの方へ向き直ると、その膝を折り立ち膝のまま頭をさげる。


その顔はもちろん、キリッとした眼差しと真面目そうな顔つきの美少年。



「拙者、貴殿への多大なる恩を返す為に再びお側へと参上つかまつった次第でござる!」



「・・・・・せ、拙者?いや、あの、恐らくあなたとは初対面だと思うんですが?」




こんな美少年でこのキャラなら、一度でも直接会っていれば絶対に忘れないはず。


生憎、どれだけ記憶を掘り起こしてみてもこんな美少年忍者キャラクターなんぞ三次元では、コミケのコスプレブース以外でお会いしたことは前世から一切ない。



「これは失礼した!この姿で貴殿にお会いするのは初めてでござったな。拙者、我らが王国『ラクータ』にて貴殿に国の危機を救って頂いた折、共に戦ったラクータの戦士であり名を紅丸と申すでござるっ!」



「!?」




ら、ラクータ?!


空の上の王国である、あの『ラクータ』!?





ちょっと待って。




ラクータはルークと一緒の旅の中で『太陽の鍵』との交換条件に出された5つのアイテムの中の1つ、『月のしずく草』をゲットする為に訪れた天空の島。



あの時に勃発した戦と言えば、今地面でこの美少年に倒され意識を失っているトルティーガと、元々『ラクータ』が繁殖地である鳥モンスターのクロワッサリーの大戦争だ。



その時、確かにクロワッサリーに力を貸しボルケーノの力までも借りて、見事トルティーガに圧勝して『ラクータ』の平穏を無事に取り戻したのだがーーーーーーーーー。




「ま、まさか・・・・・?」




しかも、この美少年のように目の周りに赤い痣があったクロワッサリーを自分はよぉーーーーく知っている。


大戦争の際はクローディアの肩に乗りながら共闘し、その後国を助けた礼としてジークフリート様の護衛をお願いしたこともある勇敢な戦士のクロワッサリー。




「・・・・・・・・・ぎ、擬人化っ!!!」




バサリッ!!





「これから、よろしくでござる!」


「!?」



『紅丸』と名乗った美少年の背後には、先ほどまでなかったはずのクロワッサリーと同じ翼が現れる。




その後、離れた場所にいたレオナルドの耳に届くほどの大きなクローディアの萌えの悲鳴が鳴り響いた。

擬人化をある漫画でその存在を見た時の衝撃はすごかったです。


動物→ではなく、無機物→からのそんな萌えがあるのかと。無限の可能性を感じました。

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