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モブ女子、戸惑いの正体

今回も呼んでいただき、ありがとうございます!


自分の見た目が美少女だったら、どんな人生になるのか?美少女に転生したらって悲しいかな想像してもまだ今一ピンとこないですね。

オリビアを抱えながら歩くグレイが違和感を強く感じ始めたのは、クローディア達がいる店を出て少ししてからのこと。



始めに感じたのが心臓の動悸。



激しい運動など何もしていないにも関わらず、心の臓が早鐘を打ち始める。





次に変化を感じたのは視界。


大した日差しでもないのに、視界が少しずつぼやけ始めた。


それと同時に足元が勝手に揺れているような違和感を覚える。




「ーーーーーーーー何だ?」



暑い日差しの中での訓練でも、体を日々鍛えている結果最近ではこんな風に悲鳴をあげることなど滅多にないというのに。


それでも人を抱えている身である為、気力でなんとか意識を集中する。




「ーーーーーーッ!!」




そして、ようやく彼女が泊まるはずの宿が見えてきた時、腕の力が突然軽くなりその意識は無理やり『眠り』という形で閉じられた。



彼の意識が眠ると同時にその場からグレイの姿が消え、地面に投げ出される形で放られたオリビアは急ぎその場から立ち上がって辺りを見回す。




「・・・・・心配しなくとも、彼は彼がいるべきところへ戻しておいたから安心しなよ」


「!?」



オリビアが振り向いた先にいたのは、深い紺色のローブを被った青年魔導師。



「る、ルーク様っ!?」


「あれ?僕の名前を知ってるんだ?」


「も、もちろんですわ!あなたは魔法院の長であらせられる、天才魔導師ですもの」



オリビアの表情が、涙で潤んだキラキラした尊敬を込めた眼差しへと変わる。



「フフ・・・・・それよりも、君ずいぶん面白いものを身につけてるね?誰にもらったのかな?」


「!?」



ルークはニコニコ、いつも通りの笑みを浮かべながらオリビアへと近づくと、その耳元に向かって側を通りすぎる際にそっと囁いた。


彼の目線はオリビアのドレスで隠された足元へと向いている。



「裏でよく見かけた誘惑のリングかな?でも通常のものとは違う魔力が込められてるみたいだけど。まぁ・・・・僕には特に関係ないし、どうでもいいことだけどね?」


「る、ルーク様!」



そのまま静かにその場から離れていこうとするルークのローブの袖を、オリビアの真白の手がつかんだ。



「あなた様にかけられた呪いは、きっとこのオリビアが解いて差し上げますわ!」


「・・・・・・・」



その瞳は悲しげに揺れ、長い睫毛が塞ぎがちになりながらも涙をこらえた熱い眼差しがルークをじっと見上げる。


その顔をしばらく黙って見つめ続けた後、ルークはその華奢な手に自分の手を添えローブから外すと、フッと鼻で一瞬笑った。



「る、ルーク様?」


「残念だけど・・・・・僕にかけられた呪いはとっくに解かれているから、君に心配される必要はどこにもないよ」


「え?」



ルークは変わらず笑っているのだが、その目は笑みの形をしているだけでその目の奥は冷たい輝きが光っている。



「そ、そんな、一体誰がっ」


「君は面白いことを言うね。そんなの・・・・決まっているじゃない?」


「!?」



彼の紫の瞳がゆっくりと現れ、内側から解き放たれる妖しい魅力に頬を染めたオリビアが、さらに距離を詰めようと一歩足を踏み入れたその時。




一陣の強い風がルークとオリビアの間に吹き込み、彼女は思わずその目を伏せた。


そして、次に目を開けた時にはすでに目の前にいたはずの彼の姿はどこにもない。



「ルーク、さ・・・・・・ッ!?」



そんな中で彼女の右足首についていた、蛇を彷彿とさせるデザインでその双眸が血のように紅い石のあるアンクレットが粉々になっているのをオリビアは見つけ、息を飲んだ。



「お、オリビア様!どうしてこんなところに一人でいるんです!!アルフレド王子はご一緒じゃなかったんですかっ!?」



黙って誰もいない空間をしばらく見つめていたオリビアだが、目の前の高級宿から連れである見知った青年が駆け寄ってくるのが見えると、すぐさま口元に手をやり彼の体の中へとふらつくようにして倒れこむ。



「お、オリビア様ッ!!??」


「わたくしがいけないのよ、ハンス。わたくしのような魅力のない女では、アルフレド様は見向きもしてくださらなかったわ」



彼女の従者である、メガネをかけそのレンズの奥ではキツネのような顔つきの青年ーーーーーーハンス=ブルーストの胸の中で鼻をすする音がわずかに聞こえてくると、華奢な彼女の体をハンスは力強く抱き締めた。



「何をいっているんですっ!!この国であなた以上に魅力的な女性がいるものか!!」


「嬉しい・・・・でも、オリビアよりもアルフレド様はあの町娘の方が素敵なんだって、わたくしを少しも褒めてはくださらないの」



オリビアがその長い睫毛を伏せてその瞳から静かに涙を流すと、ハンスの顔と体が怒りにうち震えながら歪む。



「町娘?例の、アルフレド王子が婚約者だと言い張るあの女のことですか?」


「えぇ。どなたに借りたのか、ドレスは超一流のものを身につけていらしたわ」


「ならば、ドレスだけでございましょう?ならばその中身をひん剥いてやれば、生まれの卑しさがすぐさま表に出てくる・・・・・その女のことは、このハンスにお任せ下さい」



彼のキツネのように細くつり上がった目が光り、そのニヤリと広がった口元からは鋭く尖った八重歯が覗いた。



「ハンス、いけないわ!わたくしの為にあなたがその手を汚すなんて!」


「いいえ、オリビア様。愛するあなたの為に動くことこそが俺の幸せです」


「ハンス・・・・・ありがとう。オリビアもあなたのことが大好きよ?」


「!?」



ニッコリと愛らしい笑顔になったオリビアは、ハンスの頬をその両手で包み込みその唇に己のそれを重ねた。


この、ただ一度の口づけだけでこの男は自分の為に命をかけ、その役割を果たすまでその力を存分に奮い続けることを彼女は知っている。



彼の名はハンス=ブルースト。



表向きは大きな商家の次男坊だが、その影では荒くれ者を牛耳る裏のボスでもある。


彼が本気を出せば、あんな町人の1人などすぐにでも消え去るに違いない。



ハンスによって抱き上げられながら宿屋に入っていくオリビアの顔は、それはそれは嬉しそうにその笑みを綻ばせた。

そういえば、女同士のバトルはまだ書いてないですね。今回がそうなるのか?先が読めないのは作者もある意味同じなので、楽しみにしてます♪


急に頭にぶわーーってそれまでと違う流れが降ってきたりするんですよね。最後は決まってるんですけども

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