モブ女子、さらに奥へ
読んでいただき、ありがとうございます!
少し短いですが、アップさせていただきます。
神殿の奥に足を奥へと進めると、床に古代文字がサークルにびっしりと描かれた大きな魔法陣があるフロアーに出た。
「これは?」
「ちょっと待っててください!」
魔法陣を見たラファエル王子が、すぐさま床に手をつけて目を閉じそこにある情報を読む。
「・・・・・・・」
ラファエル王子の頭の中には過去この魔法陣が描かれた際の記憶と、文字の意味が雪崩のように頭の中へと流れ込んでくる。
描いているのは、黒の法衣を深く被った魔導師。
復活、蘇り、破壊、創造、始まり、終焉、再生ーーーーーー色んな言葉がその頭をよぎる。
だが、肝心のその魔法陣が何に使われていたのかを知ろうとすると、映像の中の黒衣の魔導師がこちらへとゆっくり振り返るが、その瞳と目が会う前に目隠しをされたかのように全てが闇に包まれ、ラファエル王子の意識そのものも瞬時に追い出された。
「・・・・・・すみません。何かをここで召喚していた、もしくは召喚する為に準備していたようですが、それが何なのかはやっぱり分かりませんでした」
ラファエル王子はほんの一瞬の中でかなりその気力を使ったらしく、ぐったりしている。
「ありがとうございます!もう大丈夫だから、無理しないでください!」
すぐに彼の体が回復するよう、その背に両手を回して抱きしめる。
「!?」
その体は、驚くほどに冷たい。
だがこの魔法陣の近くにいると、クローディア自身も頭痛とともに眩暈と気持ち悪さに襲われてかなり辛かった。
「く、クローディアさんの顔色の方がひどいじゃないですか!!」
「・・・・大丈夫、です」
ラファエル王子にそのまま倒れこんだクローディアの腕を、ルークがつかみそのまま自分の方へと引っ張り上げる。
そのままルークが肩を貸し、クローディアの腰を支えながら歩き出した。
「この部屋からは早く出よう」
「は、はい!!」
「・・・・・ごめん」
足手まといで、と申し訳なさそうに小声で呟くクローディアにルークはいつものようにニッコリと笑う。
「そんなの最初からだから、気にしてないよ」
「・・・・・・バカ」
力なくそれだけを苦笑しながらつぶやき、クローディアは痛みを散らそうと目を閉じて深い呼吸を繰り返した。
そして魔法陣のあったフロアーから出てしばらくした後、ルークの歩みが突然止まる。
「ルーク?」
ちらっと横目で彼の顔を見てみると、先ほどまでの笑みが消えていた。
「悪いけど、ここから先は2人で先に行ってくれる?」
「え?」
「今なら自力でも歩けるよね?」
「!?」
クローディアもその気配に気がつきその身体を強張らせると、ルークが彼女の背中をドンと押す。
「ラファエル王子、彼女を連れて先に奥へと急いで。早く!!」
「わ、分かりました!!」
「ちょ・・・・ル、ルークッ!!」
ラファエル王子がクローディアの手を取り、心配から後ろを振り返る彼女を力強く引っ張りながら走っていく。
そんなクローディアに顔だけ振り返ると、ルークはバイバイと顔の横で手を振った。
「さて、と・・・・・そろそろ出てきたらどう?」
2人の姿が見えなくなると、ルークは懐からユニコーンの角から作られた一本の杖を出す。
『我らの気配に気がつくだけでなく、人払いまで先にするとは』
『おかげであの方とは戦わずにすんだな』
ルークの前に現れたのは全身が岩石でできた巨体で頑強な体躯を誇るゴーレムと、両手の代わりに羽ばたく羽が肩から生えた美しい女性の上半身と、猛禽類の鳥が持つ鋭い爪が生えた鳥の下半身を持つハーピー。
「フフ・・・・あの方って、誰のこと?」
2人とも、相当強い魔力の持ち主だ。
ニッコリと笑いながら杖を手にするルークの手にも、思わず緊張が走る。
『お前が知る必要はない』
『おい、ピスティス。我らの役割を忘れるな』
『わかっているさ、ガル。エルフの王子様にしばらく遊んでもらおうじゃないか!』
ピスティスと呼ばれたハーピーがその翼を大きく開いてルークの上空へと飛び上がり、ガルと呼ばれたゴーレムが全身に力を入れて構える。
「へぇ〜〜〜いいね♪それなら僕を、思いっきり楽しませてね?」
紫の瞳が開眼しその笑みが悦びに口元が釣り上がると、ルークは持っていた杖を頭上に振り上げ魔法を発動させた。
最近のゲームより、昔のファミコンやスーパーファミコンのゲームの方が難易度が高かった気がすます。
クリアせずに終わったゲームのラストが今はインターネットで知れるのが、いいことなのか悪いことなのか。自分的にはスッキリですが。




