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モブ女子、隠された事実

今回も読んでいただき、ありがとうございます!


古代神殿とか遺跡とか、洞窟とかは必ず何かが起こるダンジョンですが、現実では中々そういう場所には一般人には縁がないところですね。


むしろ、歴史ある場所は世界遺産になる貴重なところですし。


クローディアが目が覚めた時、そこは一面の白い世界にいた。


その世界の中で、ボルケーノとイヴァーナが彼女の前に現れる。



「ボルケーノ!イヴァーナ様っ!!」



2人に駆け寄ろうとするが、自分の足が一歩も動かない。



『我が主よ・・・・すまない』


『クローディア、今回の相手は危険だ!』



2人は何やら鬼気迫る様子で、いつもとは明らかに表情が違う。



「あいつは一体、何者なのっ!?」



あの不気味な黒赤の瞳と目があった時、全身に寒気が走って魂がその存在に恐怖を感じた。


それと同時に身体の奥から何かが溢れそうになり、それを抑える力と拮抗して気持ち悪さだけが膨れ上がっていった。



「もしかして、あいつも黒い魔女に何か関係しているの?」



あの邪悪さは、それ以外に考えられない。



『・・・・・違う。あやつはもっと違う何かだ』


『私たちにもその正体が分からないんだ。今ウンディーネにもあいつのことを聞いている。もう少し、待っててくれ』



「ありがとう!」



『さぁ、お前はもう目覚めるがいい』


『皆が我が主を待っているぞ』



「うん・・・・分かった」



クローディアの身体が光に包まれ、その姿がその場から消えていく。


彼女の姿が白い世界から消えてからしばらくした後、ようやくボルケーノが口を開いた。




『ーーーーーーイヴァーナ』


『ボルケーノ、私もお前と同じだ。あんな輩の記憶などいっさいないが、あいつの魔力には確かに覚えがある気がする』



何百・何千と生きてきたはずの我らですらも、分からない存在。


いや知っているはずなのに、何かその答えを強固なものに封じられているかのような。


そんな違和感が2人を襲って仕方がない。



『とにかく、私はすぐにウンディーネの答えを聞いてくる!』


『あぁ、頼む』



そしてイヴァーナの姿がその場から消え、最後に残ったボルケーノの姿も光に包まれ消えていく。



『・・・・・主よ』









「ーーーーーーん」



クローディアの目がもう一度覚めると、そこは見覚えのある天井と、すぐその後には紫の瞳と美しい銀色の髪の毛が視界に飛び込んできた。



「・・・・ルーク?」


「やぁ、目覚めの気分はどう?」



起き上がって周りを見てみると、すぐそばで私の手を握ってくれていた意外な人物に気がつく。



「ら、ラファエル様っ!?」



彼は私の手を握りつつ、静かな呼吸で穏やかに眠っていた。



「る、ルークッ!!ランディ様がっ!!私がそばにいたのに!!古代神殿は一体どこにっ!!」




目の前であの邪悪な老人に攫われたのだ。


きっと今も怖い思いをしているに違いない。




「・・・・・分かってる。ボルケーノ様たちに全部聞いたよ。一応ランディ王子と君、そしてラファエル様は今も城の中にいることになってるから、そこは安心して」



ルークが柔らかな笑みを浮かべる。



「ど、どういうこと?それに、なんでラファエル王子がここにいるのっ?!」



ルークが言うには、ボルケーノに話を聞いたルークがすぐさま城のベットで眠る私を、魔法で偽物を置いてきて連れてきたとのことだった。


ラファエル王子は、古代神殿へ入るためには王家の血を引くものが必要だからだという。


アルフレド王子でもよかったのだが、彼は次代の王であり彼に何かあってはいけないから、自分を連れていってくれ!とラファエル王子がルークに強く頼んだらしい。


もちろんそのラファエル王子と連れ攫われたランディ王子の偽物も、魔法で城に用意して。



隣国の王子が攫われたとなれば、国交を揺るがす一大事。


目の前でそれを阻止できなかったクローディアを始めとした、近くにいた兵士達は大罪となり最悪死罪の可能性もあるということで、ルークがその事実を王やジークフリート様にバレないよう裏で動いたとのことだった。



「あいつ、魔法がきかなかった!!ボルケーノもイヴァーナ様も、助けを求めたけれど出ることができないって!!」


「・・・・・落ち着いて。2人の神は、彼を知らないと言っていたんだね?」


「うん。黒い魔女とも、関係ないって」


「そうか。とにかく、今は古代神殿に行ってみないことには何も分からないね。あの地はぼくも何度か訪れたことはあるけど、中に入ることすらできなかった」



アルカンダル王国の端に位置する、人の住まない荒れ地の中にその神殿はあった。


いつの間にかモンスターがその周辺に住み着き、ほとんどの人間は近寄りすらもしなかったが、何年か前にルークが訪れた際にはどんな攻撃魔法を仕掛けてもその扉を開けることは叶わず、裏の世界の住人でも近づかない危険な場所で有名な地だという。


荒れ果てたその神殿の入り口に書かれた古代語はほとんど消えかけていたが、その中でなんとか王家の者が関わりがあることだけは分かったが、それ以外の文字は読むことすらもできなかった。



「王子を、すぐに助けに行かなきゃ!!」


「分かってる・・・・・でも、その前にこれを身につけておいて」


「え?」



ルークは私に1つの腕輪を渡してくる。



「魔封じの腕輪。これをつけている間は君も魔法を使えないけど、外からの魔力の影響も減る。ぼくと君はこれをつけていた方がいい」


「でも、そしたらあの老人やモンスターと戦えないんじゃ?!」


「うん。だから、これを貸してあげる」


「!?」



ルークが私に差し出して来たのは、黒い剣。


柄の部分には、赤と青の宝石が埋め込まれている。



「その剣は魔法剣。これは自分の魔力を、力に変えることのできる武器。これなら魔力がない人間も魔法も発動できるよ」


「・・・・・あ、ありがとう!」




ルークから受け取った腕輪をはめて、短剣を鞘ごと腰につける。



そしてあえて眠らせていたらしいラファエル王子を起こした私達は、ルークの魔法ですぐさま古代神殿まで移動した。









その頃、アヴァロニア城の救護室では眠り続けるクローディアの側にジークフリートが付き添い、その手をしっかりと握り占めていた。


そしてその救護室のテーブルには静かに本を読み続けるラファエル王子とランディ王子の姿がある。


先程までの姿を知るジークフリートは訝しげに2人に目を向けるものの、ラファエル王子はニッコリと笑いかけ、ランディ王子はフンッ!と不機嫌そうに顔をそらせてまた本へと視線を戻した。



「お前に・・・・・何があったんだ、クローディア?」



心配気に見つめるジークフリートの先で眠るクローディアは、一向に起きる気配がなかった。


古代神殿への同行者は色々考えたんですが、その結果ルークとラファエル王子となりました。


パーティーがたくさんのキャラクターから選べるゲームは本当に悩みますね。


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