表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

158/226

モブ女子、○○○○キングの復活!!

読んでいただき、ありがとうございます!


例の2人が何の幻を見たのかはご想像にお任せいたします♪

先ほど現れた1つ目スライムは、ゲーム『リベラトゥール』の中で割とポピュラーな、1番ローズが遭遇するであろう定番モンスターで、青・緑・黄・橙・赤の5種類に分かれており青が最弱の赤が最強の順番で出会っていく。


ちなみに、目の前で氷漬けになっているのは青スライム。


戦闘に出たばかりのローズが戦に慣れる為の練習相手の様な存在であり、実はHPも一桁で子どもでも武器をまともに扱えれば倒せるぐらいのモンスターである。


ゲームを周回する中で散々お目にかかってきたモンスターな為、突然の登場にはびっくりしたがその青色には逆に心が落ち着いてしまった。



「ぼくの国のめしつかいたちはカエルやヘビでも泣いてにげるが、さっきの騎士やこの国の王子は大して反応がないからスライムをたくさんよびだしてやったんだ!」


「・・・・スライムを、呼び出す?」



ランディ王子は誇らしげに胸を張りながらドヤ顔で私を、残念ながら身長の差のために形的には見上げる。


気分的には見下ろしているのだろう、両手を腰にあてながら後ろに倒れるギリギリまで背をそらしていた。




この国の英雄と呼ばれ騎士院の長を務める剣においては国1番のジークフリート様に、カエルやヘビどころかあらゆる毒ヘビや暗殺者に日々狙われていたアルフレド様からしたら、普通のカエルやヘビなど無反応どころかアルフレド様にいたっては鼻で笑っている姿が目に浮かぶ。


だからと言って最弱スライムを出されても変わらないとは思うが、国交の為に彼の機嫌を損ねないようにと色々気苦労で疲れ果てたのかもしれない。



「おい!!このぼくをむしするな!!」


「・・・・・あ、すみません。つい」



顔を真っ赤にしながらランディ王子がビシッ!!っと、指を差してくる。


こらこら。

王子様でも、人に指をさしてはいけません。



「ぼくはモンスターを呼び出せるんだ!しかも、そのモンスターを相手の好きなものや嫌いなものが見えるようにもできるんだぞ!」




どうやらこの王子様。


年齢は10歳そこそこながら、スキル『召喚』をすでに身につけているらしい。


まだまだレベルは低いものの、もしそのスキルが上がっていけば高レベルモンスターも従えるような立派な『召喚士』になれるかもしれない!


しかも短い時間だが『幻影』のスキルもあるとなれば、それぞれに使い道は多岐に渡って活躍できるだろう。


何やら昔ゲームで見たことのある、超強力魔法や特技をもちながら、レベルが低すぎてMPが全然足りなくて発動しない、というどこぞの可愛いモンスターを思い出してしまった。



「どうだ!すごいだろうっ!!」


「!?」



なるほど。それで、最初に現れたのが可愛い方のバルバロスだったと。



「・・・・ちなみに、さっきの2人にも同じものを?」


「そうだ!おもしろかったぞ〜!赤くなったり、青くなったりして2人ともどんどんあわてはじめて!」


「!?」



2人には一体、あのスライムが何に見えていたんだろう?


そっちの方がものすごく気になる。




「おい!!このぼくをなんどもむしするな! このブス!!」


「ごめん、つい考え事を・・・・・って、今なんて言いやがりました?」


「ふん!!ブスをブスと言って、なにがわるい!!あの騎士や王子のかわりにだれがくるのかと思えば、ただの庶民のしかもどこにでもいそうな顔の女が来るなんてがっかりもいいとこだ!!」


「・・・・・・・・・・はい?」



クローディアの笑顔がヒクヒクと引きつり、両手がポキポキと力を強く込められて拳を作っては緩められを震えながら繰り返している。



「品のあるうつくしい女ならまだしも、こんなほこりのかぶったような庶民のブスが、高貴な血をひくぼくの友だちになどなれるわけがないだろう!?みのほどをしれっ!!」


「!?!?」



私はその瞬間、声に出さずにボルケーノに防音の結界をこの部屋の中に張ることを即座に頼み、ドアの外で待っているだろうジークフリート様の耳からは聞こえないように遮断させて頂く。


この準備だけで、すでに私が黙って笑ってられるとは誰も思わないだろう。



「・・・・・・ランディ王子、お覚悟を」


「き、きさま!!なにをする気だ!!お、おいっ!!だれかこの女を今すぐにとめろ!!」



据わった目と低い笑い声とでジリジリと近づく私に、ただごとではないことを感じたランディ王子が怯えながら部屋の中をあちこち逃げるが、すでに出入り口は封鎖した後。



逃げ場など、どこにもなぁ〜〜〜い♪



「ふっふっふっ!嫁入り前の(一応)乙女を、何度もブス呼ばわりした罪は重いってねっ!!!」



両手をオペ室に入る医師のごとく横に曲げて、その指をゆっくりとばらばらに動かしランディ王子へと襲いかかる。




「く、くるなぁぁーーーー!!!」





そしてついに、床に倒れた王子の体の上に乗っかるようにしてマウントポジションを取った私がランディ王子にニッコリと笑って見下ろす。



「つーーかまーーえた!・・・・・必殺!ハイパースペシャルビーーームッ!!!」


「ぎゃぁぁぁーーーーーーーー!!!」







こちょこちょこちょこちょこちょこちょっ!!!







「や、や、やめろぉっ!!はひゃひゃひゃひゃっ!!そ、そこは、もう、んぎゃぁぁぁーーーーーーーーっ!!!」


「まだまだ〜〜〜スペシャルコースはこれからですよ、ランディ王子♪」






こちょこちょこちょこちょこちょこちょっ!!!






「ーーーーーーーッ!!!」




はい。


見ての通り、ビームとは名ばかりの全身くすぐりの刑でございます。


ただのくすぐりと侮るなかれ。


私はあのバルバロスをメロッメロにしたゴットハンドを持つ女ですよ?



そして、前世では勤務先の保育園の園児達を毎日毎日くすぐり倒して、ある日突然クラスの園児に命名された、『くすぐり大王!!』というよく分からないがかなり恥ずかしい名を持つ女です。



どんなに生意気な口を開く子も、友達にケンカをふっかけるような子も許さない!!


お天道様が空にある限り、太陽に変わってこのくすぐり大王が全力でお仕置きを、し〜ちゃ〜う〜ぞぉぉぉーーーーーー!!!




他にも悪い子は狼が食べにきちゃうぞバージョンに、鬼がさらいに来たバージョンもなど色々あるが。


結局最後に私に捕まった子は全身容赦のないくすぐりの刑に処され、あまりに笑いすぎてぐったりになりお昼寝時は大変みなお利口さんでよく寝ていた。


今思い出しても、クラスに担任は私の他に大抵3人〜5人ほどどの年齢クラスの時も他にいたはずなのに、気づけばいつも私が悪役でこの『くすぐり大王』が割と頻繁に登場していたのを思い出す。


たまにうっかり、何かの扉を開けて目覚めさせてしまい、毎日のように『先生、もっとくすぐって〜〜〜』とべったりくっついてきてしまう子も中にはいて、さすがにやりすぎたかと反省したのだが。




「あはははははははっ!!も、もう!!やめっ・・・・あひゃひゃひゃひゃっ!!!」


「ふっふっふっ!!参ったか、ランディ王子!!」




まずい。


久しぶりの『くすぐり大王』が楽しくて全く止まらない。


「どうだ、まいったか〜〜!!」


「ま、まいった!!も、もうまいったからまっ!!」



笑い過ぎたランディ王子の目には涙がにじんでいるが、頬が子どもらしく体温上昇とともに赤くなり、見た目だけならなんとも健康的な子どもらしくなった。


全力で外遊びに明け暮れた後と同じくらい、今の王子は汗びっしょりだ。



「よぉぉーーーーし、参ったならば許してやろう!!はっはっはっ!!」



前世の仕事時と同じセリフでその手をぴたっと止めると、ランディ王子はぜーはーぜーはーと肩で息をしながら大きく呼吸を繰り返す。


マウントポジションからも立ち上がり、魔法で出した小さな氷を一粒口の中に入れてあげてから、顔の汗を濡らしたハンカチで拭き取った。



「な、なんて・・・・なんておんなだ、おまえは!!」



悔しそうに顔を歪ませながら、こちらをランディ王子が必死に睨みつけてくる。


そのランディ王子のそばに座り込むと、彼の片方の手をしっかり握りながら私は満面の笑みを浮かべた。



「おまえ・・・・じゃなくて、私の名前はクローディア。これから、仲良くしようね!ランディ王子!」



「ひ、ヒイィィッ!!」




ブンブンと繋いだ手を振りながら、私を怯えた目で見つめる王子に思わず笑いがこぼれてしまう。


同じわがまま王子でも、アルフレド様は立派な青年でこの手は使えなかった。


そのせいなのか、なんだか久々の手応えにワクワクしてしまっている自分がいて、自分の使命を思い出せ!となんとか気持ちを鎮めて落ち着かせる。



「・・・・さて、ランディ王子。呼吸が落ち着いたら一緒に来てもらい所があるんだけど、いいかな?」



「!?」



私からのお誘いに、ランディ王子は顔を真っ赤にさせながら怒り出す。



「ふ、ふざけるな!!だれがきさまのようなブスとっ」


「フーーーーーーン、それなら・・・・」



だが、ランディ王子によく見えるように、私の顔の横あたりで両手を『くすぐり王』の動きをしてれば。



「!?!?」



その動きだけで私の意図を理解したランディ王子は、『や、やめろ!!』とすぐさま顔を青くして怯えながら、一緒についてくることをどうにか了承してくれた。



「こ、このぼくを変なところへつれていったら、父上に言いつけてやるからな!!」


「大丈夫!ランディ王子も喜ぶ、文句なしの美人のいる場所だから!」


「!?」



『美人』の一言にそっぽを向きつつも反応してしまうランディ王子に、やっぱり男の子だな〜〜〜と密かに笑いながら、私はボルケーノにこの部屋の結界を解いてもらうことをお願いし、ジークフリート様の待つ部屋の外へと急ぐ。


彼女達がいるただ今の居場所は、国王陛下からすでに確認済みだ。



ジークフリート様にも事情は軽く説明して、私達3人は彼女達のいるラファエル王子の部屋へと向かったーーーーーーーーー。


子どもにとってのくすぐりには、スキンシップ以上の効果があるそうですよ。


まぁやりすぎはよくないでしょうが、あのくすぐりの仕草をしたりこちょこちょの声だけでくすぐったさを感じる子ども達の鋭い感性は、本当にすごいな〜と思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ