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モブ女子、それぞれの場所へ

今回も読んでいただき、感謝です!!


ルーク編をここまで書けたのは読んでくれるみなさんのおかげです!


本当にありがとうございます!

その後、ウンディーネ様からの提案でアイシスさんはカルロさんと同じ水の神と神殿を守る守護者となり、その魔力で生きている時と何も変わらない肉体をもらった。


不老不死なのはエルフの時と変わらず、ただウンディーネ様の命の核と魂が繋がっている為、彼女の死が直接彼女とカルロさんの消滅に直結することになったが、神の中でも最強に近いウンディーネ様ならよほどのことがない限り大丈夫だろう。



エルフ王のマグオートも納得済みらしく、何の反対もしなかった。



ただ、エルフの里へと帰る時にだけ。




『・・・・・たまには里にも顔を出せ』


『お父様っ!』


『その際には、そこにいる子孫も一緒に来ることも特別に許そう。お前の子の姿が見たいとアリア に泣きつかれて敵わない』


『お母様・・・・・うん!その時には必ずルークを連れていくね!』



一際大きくため息をついたマグオートの姿に、ただ『泣きつかれて』るわけではないのがすぐにアイシスには分かり、相当な圧力で散々母から脅されたのだろう姿がすぐ頭に浮かんで思わず笑いが溢れる。


厳格で頑固な父が強いように見えて、普段は父に逆らうことなく側で支えている慎ましい母が、実はその父の上を行く強さを隠し持っていることはアイシス以外の姉妹も全員分かっていることだ。


最後の別れの時はマグオート様もアイシスさんも何も話すことはなく、お互いにまっすぐ見つめ合いながらその瞳で心を物語っていた。






そんなマグオートの発言に、話題に出されたルーク本人が1番言葉を失っており、素直に驚きを示している。



アイシスさんが言うには、魔法使いにとって魔法や魔法生物などありとあらゆる魔力に関わる存在の宝庫とも言える場所で、ゲームでも超激レアアイテムゲットとスーパーレアモンスターに遭遇だらけの、プレイヤーからすればまさに天国とも言える場所だった。



ルークですらもエルフの里への興味は人一倍あったようで、はしゃぐ様子はなくともやっぱりどこか嬉しそうな気がする。


同じく魔法や魔法生物に大変興味のあったカルロから、ずるいぞ!!俺も一緒に行きたいっ!!と、思った以上に本気で羨ましがられていた。


そんなカルロの姿にいつも通りの笑みで、『嫌です♪』『義理の父親なんですし、マグオート様に自分からお願いしてみてはどうですか?』と、本人がその場からすでにいないにも関わらず、顔を引きつらせているカルロを面白がりながらやり取りを続けている。



そして、クロワッサリーにはウンディーネ様を通じて改めてお礼をいい、また何かあれば絶対に呼ぶことを約束して、彼は家族と仲間の待つ鳥の王国へと帰って行った。




「ピイィーーーーーーーーーッ!!」




水の神殿の外に出るなり、大空を何度も旋回しながら大きな鳴き声をあげて飛び回る姿が、彼なりに別れを名残惜しんでくれてるような気がして、その姿に両手を大きく振りながらじんわりと胸が熱くなる。


彼はこれからも鳥の王国の勇敢な戦士として、多くの仲間の先頭をきって戦い続けるのだろう。




「キャン!!キャン!!」


「またすぐ会いに来るからね、バルバロス!!」



そしてバルバロスは主人であるボルケーノの了解があっさりと降り、引き続き水の神殿を守護する番犬として居座ることになった。


ここならアイシスさんやカルロさんもいるから、バルバロスも淋しくないだろう。


むしろ、主人のボルケーノの方が何やら少々落ち込んだ様子でイヴァーナ様とともに空間に溶けていった。




「クゥーーーーーン」


「・・・・・可愛い!!正体が分かっていても、やっぱりこの姿は反則なまでに可愛い!!この〜〜愛い奴め!」



わしゃわしゃわしゃわしゃ!!と、思う存分その毛並みを撫で回し、バルバロスがうっとりと恍惚状態になるまでその眉間から鼻にかけての凹凸や、前足の脇の下に後ろ足の付け根、顎の下や腹や背中などを思う存分撫でくりまわす。


前世で犬を飼ってた友達に教えてもらったポイントを思い出しながら、うっかりその反応が楽しくて夢中で撫で回したらさすがにやりすぎだと止められた。


バルバロスは、あまりの気持ちよさにぐったりと全身の力が抜けてしまっている。


そういえば前世でも保育園の子ども達をくすぐり倒して、よく同僚に止められていたっけ。


わきゃわきゃと懐かしい感覚に両手の指を動かしていると、その手をスッと私よりも色の白いキレイな手に取られた。




「・・・・・ん?なに?ルーク」



ニッコリ。



キレイに無言のまま笑ったその顔に、なぜか背中がゾクゾクっと寒気が走ったその瞬間ーーーーーー彼の唇が私の手の甲にそっと触れる。



「!!??」



こ、この光景はっ!!


少し前にも全く同じ光景が目の前で広がったのをデジャブで感じ、すぐさま自分の手を勢いよくその場から引き剥がすが、時はすでに遅し。



「あ、あんた・・・何してんのよっ!!」


「フフ♪こんな程度で真っ赤になってて、この先どうするの?」


「う、うるさいっ!!歳はとってても、心は清い乙女なんです!!」



私が以前に住んでた日本に、こういう習慣はありません!!



「!?」



そして、もう1つの恐ろしい可能性に気がつき、すぐさま手の甲を見てみると、そこには再びあの薔薇の刻印が!!



「な、な、な、なんてことを・・・・・ッ」



あの時のーーーーー恥ずかしさと悔しさと怒りと、色んな感情が一気に混ざりまくった瞬間を思い出し、真っ青になったクローディアはなんとかその刻印を落とそうと、神殿の水の中に手を入れて何度もゴシゴシと赤くなるほどこすりあげる。




「フフ♪そんなことしても、無駄なことは知ってるくせに」


「くっ!!ルークのバカッ!!何のためにまたコレをつけたわけっ!?」



何をしても落ちないと嫌になるぐらい十分分かっているけれど、それでも洗い続けることが止められない。



「・・・・決まってるじゃない♪悪い虫が、つかないようにだよ」



「ーーーーーーッ!!」



「はぁ??虫??」



美しく微笑んだルークの目だけが、ある人物に向けられてゆっくりと動き、その冷たく光る紫の双眸が姿を現す。


ちょうど、ツボを肩に担いだ少女の大理石でできたオブジェのツボから勢いよく流れる水で手の甲を洗っていたクローディアには、その言葉の全てが聞き取れない。


何をわけのわからないことを!!と、怒りながらも再びゴシゴシと甲を洗い続けている。




「ーーーーーーーーッ!!」


「・・・・・・・フフ♪」




その傍らで静かに、そして激しく火花が散っていることを、彼女は幸か不幸か全く気づかなかった。

新しい動きが出てきですが、これからもっと色んな動きを出していければと思います!


よろしくお願いします!

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