モブ女子、どうやら違うフラグが立ちました
いつも読んでくださっている方々、ありがとうございます!!
なんだかお母様のキャラがどんどん育ってきているようなきがします。お母様も同じモブなのに!
おはようございます!
本日も晴天!
朝日が寝起きの目にはとても眩しいです!
今日は久々に、腹ごしらえしてから今後の行動についての脳内会議をしたいと思ってます!
騎士院へのランチ業務にも慣れてきて、騎士院への出入りもだいぶ増えてきているので、そろそろ新しい行動を移そうかと計画中でございます!
「おはよう!お母さん!お父さん!」
自室を出て階段を降りると、すでに朝食の準備をしていたララとソファでゆっくりとくつろいでいる父のジュードに声をかける。
「おはよう〜♪クロエ♪」
「おはよう。今朝はずいぶんと早起きなんだな」
「うん!なんだか目が冴えちゃって」
「あら〜♪そしたら、すぐに朝ごはん作るわね〜♪」
「ありがとう、お母さん!」
今朝の朝食は、色んな木の実が練りこんであるパンと、目玉焼きとベーコンに、野菜のスープ。
パンは、バターとお母さん特製の数種類のベリージャムをつけて食べるのが、私の大のお気に入りだ。
飲み物は、グレイさんに分けてもらった茶葉を使ったホットティー。
今日の紅茶は、向こうの世界で飲んだことのあるアップルフレーバーに近い、甘く爽やかな香りがした。
「そうそう〜、クロエちゃん♪」
「なに?お母さん?」
「クロエちゃんは、死の山って知ってる〜??」
「死の、山??うーーーん、なんかその名前、聞いたことがあるような・・・・?」
「死の山はね〜〜昔から、白い魔女が出るっていう、言い伝えがあるのよ〜〜♪」
「死の山・・・・白い、魔女?」
『クローディア』の記憶では知らない。
でも、名前には確かに聞き覚えがある。
だとしたらこれは、絶対に前世で聞いたことのある名前だ。
「死の山。白い魔女。死の山、白い・・・」
頭の中でその2つが何かを思い出そうと、引っかかって仕方がない。
「ーーーーーお母さん、ちなみにその言い伝えって、どんなの??」
「えぇっとね〜〜その山の中に入ると、白い魔女が現れるの♪そして、その人にとって何よりも愛する人を幻で見せて、心を奪うと氷漬けにしてしまうんですって〜〜♪」
「・・・・白い魔女、幻、氷漬け・・・」
うん、知ってる。
このキーワードは、絶対に『私』が知ってるやつだ!!
頭の中のパズルが繋がりそうだと、ワクワクしながら1人で考え込む娘の横を通り、ニコニコしながらそっとララがジュードの側に近づいていく。
「私なら、絶対にお父さんしか現れないわぁ〜〜♪」
ララはジュードの隣に座ると、そのままスッと身を寄せて隙間のないように距離をピッタリ近づけた。
「そうか!俺も母さんが現れると思うぞ!」
「嬉しい〜♪でも、あなた〜〜♪」
「ん??なんだ??」
先ほどまでと少し雰囲気が変わったララは、唇をジュードの耳に寄せると、娘には聞こえないように、ひっそりと囁く。
「もし、幻が私の姿だろうと、偽物と私を間違えたら・・・・」
「ーーーーーー」
「お・し・お・き・よ♡♡♡」
「グハァァァーーーーーーッ!!!」
ブシャァァァァーーーーー!!!
「・・・・・・」
突然隣で血を吹いて失神したジュードと、隣で変わらずニコニコしているララに、だいたいどんな内容を言われたのかの予想がついたので、あえて追求することはやめた。
馬に蹴られて、死にたくはないしね!!
でも、どうしよう。
自分も同じように鼻血を吹いた身だけれど、毎日のように鼻血の泉ができることに慣れてきている自分が嫌だ!!
頼む父よ!!
もういい加減に、お母さんの免疫を作ってくれ!!
「ウフフ〜〜♪ちなみに、クロエちゃんなら、誰が現れそうかしら〜?」
「えっ?私?私なら・・・・」
私なら絶対に、ジークフリート様しかいない!!これは自信をもって、断言できる!!
ーーーーーーでも、ジークフリート様だったら、
幻だろうと何だろうと、喜んでつっこんで行きそうな自分が簡単に想像できて怖い。
「・・・・・ん??」
死の山、白い魔女、幻、愛する人、氷漬け
「わ、分かったぁぁぁーーーーーーっ!!」
突然、席を立って大きな声で叫びだしたクローディアになんら動じることなく、ララがニコニコしながら声をかける。
「あらあら〜〜♪どうしたの〜〜?」
「お母さんありがとう!!おかげで思い出した!!」
早く、忘れないうちにこの情報を整理して、脳内会議を始めないと!!!
クローディアは急いで残っていた朝ごはんを食べ終えると、食器を流しに置いてからダッシュで自室へと戻る。
「ウフフ♪がんばってね〜〜♪」
扉の閉まったクローディアに聞こえないぐらいの声で呟くと、ララは今だに倒れているジュードはそのままに、ルンルンしながら朝食の片付けに戻っていった。
「そうだよ!!死の山!!何で忘れてたんだろう!!くそーーーっ!!死亡フラグがありすぎで、うっかりしてたっ!!」
リベラトゥールのゲームの中で、死の山でのイベントがダンジョンとして出現するルートは2つある。
1つは、先ほどの白い魔女の噂が街に広がり、実際の被害も多く出始めたことで、噂の真相の解明と白い魔女退治の依頼が、ジークフリート様のルートで出てくる。
こちらだと団長と主人公ローズが調査に行くことになり、ローズのステータス次第で
・無事にクリアーして解決ルート
・ステータスが低く、死亡ルート
・または好感度が足りずに、白い魔女の幻に
騙されて氷漬け死亡ルート、に分かれる。
とても立派すぎる死亡フラグだが、死の山ダンジョンが団長ルートとして現れる中盤はローズのステータスがそこまで低いことは稀で、最初こそフラグを立ててしまったものの途中から苦戦することはほぼなかった。
もう1つは、死の山には秘宝が眠っていて、その秘宝はアルカンダル王国に伝説として伝わっているエルフ族が作ったものという設定で、レオナルドルートで後半に発生する。
レオの病気にも深く関わっているもので、恋愛ルート攻略には必須のアイテムだったはずだ。その主なルートは2つ。
・無事にエルフ族の道具をゲットして、スチルゲット!恋愛ルート続行!
・好感度・必要なステータスが足りない
白い魔女の幻に騙されて、氷漬け死亡ルート
ちなみにエルフ族は元々エルフの里にしか住まず、そこからは基本外界には出ないで自分達の世界で過ごしている。
だが永遠の命を持つと言われ、膨大な魔力を持つと言われる彼らが作った魔道具や治療に役立つ薬などは、とても希少価値の高いものが多く、あらゆる呪いや病魔の類も癒す力を持つと言われていた。
その彼らの里がイベントとして現れ、里に直接行くことに後々なるのは、呪いと毒を死亡フラグとして持っている、ルークとアルベルト王子のルートのみ。
しかもかなり好感度やステータスが高くなった後半でないと、このイベントは起きず、起きないままでバットエンドに向かってしまうことも少なくない。
ーーーーー話を戻すと、レオに関係するエルフの道具があるとされる死の山にエルフはいない。
その至宝が盗まれたのか、あえてそこに隠されたのかは分からないが、死の山の奥深くに眠っており、レオルートだとその守り手として白い魔女が立ちはだかり、戦いで勝つとご褒美としてエルフの道具が手に入る。
実はその際に、途中からは難易度が選択できる。
・レオとローズの2人で行くと、難易度が上がり苦戦する。一回目から選べる。
・ジークフリートに相談する→選択肢を選び協力者として連れて行くと、難易度が一気に下がる。
何らかのエンドをクリアーした2週目以降。
ただ、途中に出てくる選択肢を失敗してしまうと、白い魔女に同行者が気に入られ、氷漬けにされてしまうイベントが同じく起こる。
そして、ジークフリート様を一緒に連れて行く場合は、ある程度ジークフリート様の好感度もある程度あげていないと、バットエンドになってしまう。
「・・・・・・ハァ」
ーーーーーーこうして、死亡フラグの内容をノートに書いているだけでも目眩がしそうだ。
攻略法をネットで確認しながらでも難しかったのに、今はそんなものはどこにもないし、失敗は一度も許されない。
ほとんどの情報源は、私の頭の中にしかないが、それだってどこまでが正解かは分からない。
だって、ローズがいない中でイベントを進めている時点で、すでにゲーム通りとは違う道を進んでいるんだから。
「よしっ!!!」
とりあえず、死の山関係の情報をノートに書き終わったところで、脳内会議のスタートだ!!!
カンカン!!
議長『えぇ〜〜〜本日は、お日柄もよく』
『議長、本題を!』
議長『お、おっほん!!今回はーーーーー
なぜかローズが来てから起こるはずの、死の山イベントの片鱗を確認した為、今回の死亡フラグを根こそぎ折る為にはどうしたらいいか??
が、議題です!!今回も発言は挙手で!!』
『はい!!ステータスが低いと死亡フラグとなりますが、我々のステータスはどうなっているのでしょうかっ??』
議長『確かに!!
だが、それは全くわからない!次!』
『はい!!1人で行くのだけは危険です!!
我らモブに戦う術はほとんどありません!』
議長『確かに!!同行者の回復は自動的にできるものの、攻撃力はほぼゼロだ!!次!』
『はい!!団長を連れて行く方が難易度がさがります!!』
議長『確かに!!だが、死亡フラグがいつ立つか危険すぎる!!次!』
『はい!!そしたらもう、レオと2人でなんとか解決するしかありません!!団長に知られればすぐに死亡フラグが立つので、決して知られないことが絶対条件です!!』
議長『確かに!!道はそれしか残ってない!
他に、意見のあるものはっ?!』
『・・・・・・』
議長『では、今回は死の山ダンジョンに決して団長に知られることなく、レオと2人で攻略すること、に決定しました!!』
『賛成です!!!美しいものが大好きな白い魔女に、団長を会わせてはいけません!!間違いなく絶対に気に入ってしまいます!!』
議長『確かに!!!団長は世界一、いや、宇宙一カッコいいからね!!それだけは何としても死守で!!』
『分かりました!!』
議長『それでは諸君、健闘を祈る!!』
『『 ラジャーーーッ!! 』』
「・・・・・・よしっ!!!」
進むべき道が決まれば、あとは行動あるのみっ!!
とりあえず、レオに会いに行って死の山のことについて話してみよう!!
あ、団長には絶対に知られたくないから、こっそりどこかに呼び出すしかないか。
まぁ、きっと今日も忙しいだろうから、きっといつものように1日会えないで終わるだろう!!
うん!大丈夫!大丈夫ーーーーー!!
クローディア自身が、そういえばフラグって死亡フラグ以外にも存在するよねってことに気がつき、後から後悔するのは、あと数時間後ーーーーーーー。
※※※※※※※※
『 オマケだけど、オマケじゃないかも? 』
これは、クローディアの脳内会議が終わってから、騎士院にお弁当を持っていくまでの、何気ない一コマです。
「お母さ〜〜〜ん!!今日騎士院に持っていくお弁当はなにーーー???」
「今日はスペシャルDランチの、オムライスよ〜〜〜♪」
「りょーーかい!!私も作るの手伝うね!!」
「あら、嬉しいわ〜〜♪あ、そうそう!」
ふと、野菜を切っていた手を止めると、ララは身につけていた白いレースフリフリのワンピースのポケットから、シルバーの鎖がついた何かをスッと取り出す。
「ん?なになに?お母さん?」
「ウフフ〜♪これ、クロエちゃんにあげるわ〜〜〜♪」
「これって、ネックレス??」
ララの手のひらに乗せられているのは、深い赤色の丸い石がついたアクセサリーだった。
形も大きさも、ちょうどうずらの卵のような感じ。
前世の時によく天然石のお店で見たことがある、確かガーネットだったかな?その石によく似ているなと思った。
「これはね〜恋が叶うネックレスよ〜〜♪」
「??!!」
「肌身離さず常にもっていると、恋が叶うんですって〜♪」
「お、お、お母様ッッ♡♡♡」
ガシッ!!!と、クローディアがネックレスごとララの手を両手でつかんで握りしめる。
両方の目からは、喜びの涙が流れていた。
「し・か・も、私はお父さんをこれで振り向かせたから、効果は抜群よ〜〜〜♪」
「!!!???」
「大事にしてね〜♪」
「も、もちろんでありますッッ!!!!」
ビシィーーーーッ!!!
クローディアは片方の手でネックレスを固く握りしめると、もう片方の手は顔の上で見事なまでに完璧な姿勢で、敬礼のポーズを取った。
もちろん、大量の涙を流しながらである。
このネックレスの効果が本物かどうかは、
また後の話ーーーーーーーーー。
ちなみに、ガーネットの石の意味はというと
真実、友愛、勝利、生命力、秘めた情熱
そして・・・・・真実の愛。
いつか、この夫婦の馴れ初めなんかもかけたら嬉しいな!その前に本編を完結しなきゃですね!
あと1人の攻略相手をどの辺りで出そうかと悩み中です。




