オマケ外伝・学園モブ女子 1
100回記念に、学園パロディ版を3か4話くらいの短編で書きまーす!
はい、完全な自己満足ですがお付き合い頂けると嬉しいです。
本当に書き続けられるのは、読んでくださる方のおかげです!ありがとうございます!
ここは長い歴史のある由緒正しい学びの場、名門アルカンダル学園。
進学校としてとても有名であり、この学園に通うことはかなりのステータスとなることから、生徒達からもかなり人気のある学校だ。
制服は緑色のブレザーに白いシャツ、そしてスカート・ズボンは濃い緑。
ブレザーには金色のエンブレムが胸元についている。
男女ともに首元につけるネクタイは学年別で色が分かれていて、一年生が黄色。二年生が赤色。そして、三年生が青色。
心身ともに健康で豊かな人間教育と、知的で洗練された男女エリートの育成を教育方針として掲げている。
そんなアルカンダル学園に、本日1人の女生徒が転入してきた。
「ここが、アルカンダル学園かぁ〜〜やっぱり名門校の校舎は大きくて立派だ!」
彼女の名前はクローディア=シャーロット。
見た目は割とどこにでもいそうな普通の女子学生という感じだが、この学園の新一年生としてやってきた彼女はとても大事な使命をおびていた。
「さて、私が守るターゲットは確か3年生だったよね?ってそれなのに、なんでボスってば私を1年にしたんだろう?」
そう、彼女は学生でありながら影でもう一つ別の顔を持っている。
その顔とは依頼を受けたらどんな敵からもターゲットを確実に守りきる、ボディーガード会社『ガーディー・ララ』の女SPであった!
「ジークフリート=ウルンリヒ。アルカンダル学園の生徒会長様かぁ!本物も、さぞかしかっこいいんだろうなぁ〜〜〜!!」
クローディアの手には今回のターゲットである彼の隠し撮り写真が握りしめられており、その写真を見るたびに目がハートに変化し顔が真っ赤に染まっている。
要するに、ものすごくどストライクな好みのタイプなのだ。
依頼が来た際もその写真の姿に一目惚れし、このターゲットの担当となる権利を死に物狂いで他のメンバーから勝ち取ってきた。
その後、資料として渡された写真を見るだけでも興奮しすぎて、ついつい鼻血を何度か吹いてしまい写真の端には血の滲んだ跡がいくつかある。
「あぁ!!愛しのジークフリート様!!今会いに行きまーーーーすっ!!」
クローディアが気合を入れ、学園の門の中へとホップステップジヤーーンプッ♪と、軽やかに入り込んだその時。
「クロエェェェーーーーーーーッ!!!」
「!!??」
ドッシーーーーーーンッ!!!
その背後からものすごい突進で背後から飛びついてきた存在に全力タックルをかまされ、2人仲良くものすごい勢いでもって地面へと吹っ飛ぶ。
「・・・・・れ、レオ!!なんであんたがここにいるのよっ?!今回は私の担当でしょっ?!」
「ボスが、クロエについていって見習えって!!クロエと一緒に学校に通えるの、俺すっっごく嬉しい〜〜ッ!!」
そう、聞いてのとおり、この見た目は大変爽やかで元気な明るい好青年のレオナルド=ラティートは、私と同じ『ガーディー・ララ』のSPでまだ入ったばかりの見習い要員だ。
そして最初に彼の面倒を見た為なのか、なぜか懐かれている。
「ちょっと待って!そんなの私、ボスから何も聞いてないよっ?!」
「うん!だってボスが今朝決めたから!ほら、ボスからのお手紙!」
レオが制服のブレザーのポケットから取り出した一枚の白い紙には、短く一言だけ。
『ごめんね、あとは2人でヨロシク〜♪』
それは間違いなく、ボスの直筆の文字だった。
「ボーーーースーーーー!!!もう!いつもいつも、思いつきで作戦を変更しないでよっ!!」
我らがボスは閃きが大好きだ。
その時の直感で次々と作戦が代わり、担当者は嫌でも柔軟な対応をせざるを得なくなる。
どれだけ反対をしようとも、その決定が覆ることはまずない。
「はぁ〜〜〜〜仕方がない。邪魔だけはしないでよ?」
「もっちろん!!俺はクロエの為にしかやらないよ?」
「いや私じゃなくて、ターゲットの為の行動をしてね?」
ニッコリと満面の笑顔で抱きついて離れないこの青年は、ターゲットよりも私を優先するところがありとてもとても今から不安である。
なのに、なんでボスは私と彼を組ませたがるのか。
まぁ聞いたところで、これもまたその時の閃きだから♪とかなんとかいって、曖昧に終わるんだろうけど。
「とりあえず、ターゲットを探さな・・・・ッ!!!!」
なんと!!
守るべきターゲットが、さっそくクローディアの目線の先に居るではありませんか!!
黒髪に黒い瞳をした背が高くガタイも割といい、端正な顔立ちのクローディアの手に持つ写真と全く同じ姿の青年が!!
「い、い、い、いたぁーーーーーーっ!!」
やっぱり本物はすごいかっこいいっ!!
その隣には、さらに背が高く手足の長いすらっとした身体の赤髪に金色の瞳をした青年がいて、2人で何やら話をしながら歩いている。
あれは資料に載っていた、副生徒会長で生徒会長であるジークフリート様の補佐をしている、グレイ=コンソラータだ。
そして、2人が向かう先には不自然な感じを受ける地面が。
「あ、あれはっ!!」
クローディアは何度引き剥がそうとしても中々離さないレオを拳で1発KOさせると、すぐさま2人の青年の元へと猛スピードで走り出す。
ジークフリート様!
あなたを決して死なせないっ!!
「ジークフリート様っ!!そっちに歩いちゃ行けませんっ!!」
「!!??」
「・・・・・・ッ!!ふんぎゃっ!!」
横を向いていた彼が私の声に反応して振り返り、そして彼と目と目が合った衝撃に思わずたまたま足場に合った石につまづいて地面に向かって倒れる。
「危ないっ!!!」
その私の手を、ものすごい運動神経と反射神経の良さを発揮したジークフリート様がすぐさま手を掴み自分の方へと強く引き寄せた。
ドッシーーーーーーン!!
その結果、私はジークフリート様の体の上に勢いよくそのまま倒れる。
「す、すみません!だ、大丈夫ですかっ?!」
しまったっ!!!
守るべきSPがターゲットにケガをさせてどうするっ?!
「あ、あぁ。俺は大丈夫だが、君は?」
「わ・・・私も大丈夫です!!」
嘘です。
いきなり至近距離に彼の顔が現れ、私の心臓は全然大丈夫なんかじゃない。
バクバク全身がすごい音を立てて、今にも鼻血が噴水をあげそうだ。
「ーーーーーー会長、彼女はそこの落とし穴からあなたを守ってくれたようです」
「な、なんだとっ!?」
いつでも冷静沈着と資料に書いてあったグレイ副会長が、先ほど不自然だと感じた地面を静かに指差す。
「そうだったのか、体を張って守ってくれてありがとう。俺は3年のジークフリート=ウルンリヒだ。君の名前は?」
「く、クローディア=シャーロットです」
「クローディアか、いい名だ。きちんと君に礼もしたいし、後で生徒会室に来るといい。お茶ぐらいは出させてくれ」
「・・・・・は、はい」
「しかし、なぜあんなところに落とし穴が?いやそれよりも、他の生徒達の安全の為にすぐに埋めるのが先だな。俺がスコップを持ってくるから、君は先に教室に行くといういい」
「わ、分かりました!」
一目惚れしたその彼は麗しい外見だけではなく、その声までがクローディアのどストライクで全身に響く低いバリトンボイスに内側から熱く痺れる。
その後、スコップを取りに体育倉庫へと走っていった彼の背中をポーーーーッと見つめていたクローディアだったが、ハッとその意識を取り戻した瞬間、足元がぐらぐらとふらつき避けたはずの落とし穴へとその足を踏み入れた。
「!!??」
ドスーーーーーーンッ!!!
穴から落ちた先は藁がしきつめてあって大きな痛みはないが、チクチクと地味に体のあちこちが痛い。
そんでもって、見上げた穴の入り口は思ったよりも遠かった。
「ちょっとこれ、どんだけ深い穴を掘ってんのっ?!」
藁があったからいいものの、中にあったのが別のもので打ち所が悪ければ命だって危ない。
これはやっぱり、ターゲットであるジークフリートの命を狙う何者かの仕業に違いない!!
よしっ!!
これからはより気合を入れて、彼を守っていくぞっ!!
「・・・・・って、それよりもまずはこの穴を登らなきゃだよね?」
ちらっと見ても手を伸ばして届く距離ではないし、ジャンプしてなんて論外。
足や手を引っ掛ける場所もないから、よじ登るのも一苦労だろう。
後はレオにロープか何かを持ってきてもらうしかないか。
「おーーーーいっ!!レ・・・・ッ!!」
バサッ!!!
レオに助けを求めようとしたその時、目の前に避難用に携帯として持ち運び可能な、ロープ式はしごがぶら下がる。
「ーーーーーー何をしている、さっさと登れ」
「!?」
声の主はグレイ副会長。
「あ、ありがとうございました!!」
ロープを登りきった先にいたグレンは、持っていたハンカチで私の顔についた泥を黙ったまま拭う。
どうしよう!!
性別は女なのにハンカチ一つ持ってない私よりも、はるかに目の前の人の方が女子力が高いかもしれない。
「ーーーーーお前、好きなお茶は?」
「はい?」
「ーーーーー後で生徒会に来るんだろう?」
「あっ、えっと単体で飲むなら抹茶かチャイ。甘いものとセットでならダージリンティーが大好きです!!」
「ーーーーーわかった」
グレイ副会長は私の答えに口元だけかすかに笑うと、立ち上がってスタスタと静かに歩き出す。
そして一度だけ振り返ると、ボソッと一言。
「ーーーーー来る前に、手洗い・うがいはきちんとしてくるんだぞ」
「・・・・・は、はい!!お母さん!!」
「ーーーーー俺は、お母さんじゃない」
その後、私の元にレオが駆けつけると同じタイミングでチャイムが鳴り響き、私達は大急ぎで自分達のクラスへと向かう。
偶然かボスの介入のせいか、私とレオは同じクラスだった。
こうなったら、休み時間のたびに彼の教室に行って様子を見に行くしかない!!
一応授業中は彼のクラスの窓の外にある木に、私の友であり僕であるーーーーー珍しい赤い羽の翼と身体を持つ鳥のマーズがいて彼の身の周りを見張らせている。
人の言葉が分かる賢い子だ。
彼に何かあれば、すぐに私へと知らせる為に飛んできてくれる。
もちろん、彼のクラスが3-2だということは資料ですでに確認済み。
放課後には生徒会室にも行けるし、彼と親しくなり側にいながらしっかり守りつつ、影からもひっそりとお守りするのが私の役目だ!!
こうして、私の愛する人を守りながらのドタバタ?学園生活がいよいよ始まった。
外伝なので、色んなものが曖昧で申し訳ないですが楽しく書かせてもらいました!
今回はこの外伝も入り口でそれぞれ終わると思うので、何百回記念ごとに続きが書けたらいいかな〜なんて。




