第4話 必殺!超遠心スピン!
「見ろ! 怪人が大きくなっていく」
巨大化した怪人シメキリーズの足元で、『超遠心!スクロース!』の3人が叫ぶ。
「よし、俺らも、巨大ロボで対抗だ。ホワイト、申請書の準備を急げ!」
「任せて!」
ホワイトは大急ぎで申請書の作成に取り掛かる。
「教授! 申請書の受け取りをお願いします!」
ホワイトスクローは教授に、メール添付で申請書を送りつけた。
「よォぉぉぉぉし! しかと受け取ったぞぉぉぉ。いくぞぉ! スーパーセントリフージ発進申請書! さいたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁくっ!」
バンッ!
教授は、送られてきた申請書に、採択のハンコを押した。
神岡町にある山奥から3台の大きな『専用マシン』が射出される。
レッドスクロー用の『レッドセントリフージ』。
ブルースクロー用の『ブルーインキュベーター』。
ホワイトスクロー用の『ホワイトボルテックス』。
この3台だ!
3台の『専用マシン』はすぐに、3人の頭上に到着した。
「よし! 遠心チューブ。セーーーーット、オン!」
掛け声とともに、3人は、ベルトにはめてあるチビタン(卓上小型遠心機)から遠心チューブを取り出し、天高く、それを掲げた。
すると、3人は透明で巨大な遠心チューブに包まれた。
3本の巨大な遠心チューブは空高く飛び上がる。
「遠心! 合体!」
それぞれが乗った遠心チューブは、『専用マシン』に搭載された。
「よし、いくぞ!」
3人が叫ぶ。
「いや、あんたたちさぁ、事務のことなめてない? なめると、痛い目にあうよ。それ!」
巨大化した怪人ケンキューヒシメキリは、必殺技『学内締め切りは2週間前』を発動した。
「なんだ、この恐怖は、急に締め切りが、近づいた気がする」
ブルーインキュベーターの中で、ブルースクローが、狼狽える。
「もう、締め切り終わっているので、受け付けませーん」
怪人ケンキューヒシメキリは、ブルーインキュベーターを捕まえた。
「しまった! あっ。エッ、そんなぁ、せっかく書いたのに。提出期限はまだだと思っていたのに」
「そこをなんとか」
「ダメでーす」
「ぐぬぬ」
ブルーインキュベーターは怪人ケンキューヒシメキリに捕まったまま動けない。このままではブルーインキュベーターがやばい。
「落ち着け、ブルー! こういう時は、申請書と一緒にお菓子を持っていけばいいんだ」
レッドスクローが叫ぶ。
「お姉さん! 差し入れです!」
(作者注; 呼び方は、『お姉さん』一択です。年齢は関係ありません!)
レッドスクローは、ミサイルのボタンを押す。
レッドセントリフージの蓋が開き、遠心チューブ型ミサイルが発射された。
ドドドドド、ドーン!
「くぅ。お菓子じゃないじゃないかぁ」
怪人ケンキューヒシメキリは、悶える。
ブルーインキュベーターが怪人ケンキューヒシメキリの手から離れた。
「サンキュー、レッド。助かった」
ブルースクローが叫ぶ。
「よし! 今だ! 一気に決めるぞ。みんな! 合体だ!」
「おう!」
「超! 遠心! 合体!」
3人は、それぞれのコックピットにある、赤いボタンを押した。
ポチッとな。
シュイィィィン! シュイィィィン! シュイィィィン!
ジャキン!
ピカーーン!
3台の『専用マシン』は姿を変え、巨大なロボへと合体した。3人の乗った遠心チューブは、ロボの頭部にまとめられた。
「超遠心! スーパーセントリフージ!」
3人は叫んだ。
ドゴゴゴゴーーーン! (効果音)
「締め切りは守ってもらわないと困るのよね。いつになっても要旨集に取りかかれないじゃない」
怪人ガッカイシメキリは、超巨大ロボスーパーセントリフージに殴りかかる。
「そうはさせない!」
レッドスクローが、ボタンを押す。
超巨大ロボスーパーセントリフージの左腕に盾が出現した。
「素人が、実験設備を触ってはいけません!」
ホワイトスクローが叫ぶ。
殴りかかったガッカイシメキリの右腕が、盾によって、弾かれる。
「いったーいい。ちょま? まー?」
怪人ガッカイシメキリは右手を押さえる。
「よし! 必殺技だ。超遠心スピィィィィーン!」
3人は一斉にボタンを押す。
説明しよう!
『超遠心スピン』とは、超巨大ロボスーパーセントリフージを高速回転させ、敵に突進させる技である。スーパーセントリフージが回転する直径は20メートルである。スーパーセントリフージは、150000rpm(rotations per minute;1分あたりの回転数)で回転できる。計算上503100000Gの力が加わる。
もちろん『超遠心!スクロース!』たちが中に乗る遠心チューブは、逆回転を加えられているため、遠心力は感じない。例えるなら、遠心機ローターの方を固定して、遠心機本体を回転させている感じだ。
キュイィィィィィーーーーーン
ヂューーゴーーーン
ヂューーゴーーーン
ヂューーゴーーーン
回転したスーパーセントリフージは、怪人シメキリーズを次々に貫いた、彼女たちは粉々に砕け散った。
「やったぞ!」
レッドスクローが叫ぶ。
「清々! 精製! 粛清!」
3人で決めポーズをした。
(ナレーション)
怪人シメキリーズが倒れたとしても、ポスドクのシメキリに対する恐怖が尽きることはない。ポスドク戦士は、この恐怖と戦い続けなければならないのだ。ポスドク戦士、いや、『超遠心!スクロース!』の戦いはまだまだ終わらない。次回へ続く!
遠心チューブ、セーーーット、オン!




