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超遠心!スクロース!  作者: 幸田遥


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第3話 締め切りの恐怖

 国立防衛研究所では、3人のポスドク兼ポスドク戦士が日夜研究に勤しんでいた。



「もうそろそろ、研究費の締め切りだなぁ。順調か?」


 赤星彗あかほしけいだ。実験は順調に進んでいるが、研究費の申請の締め切りに追われている。


「一応、頑張って書いてはいます」


 頷いたのは、蒼星巨あおほしきょうだ。ポスドク1年目の彼は、ポスドクとしての研究費申請は初めてである。



「俺も、今のやつが今年切れるから、出さないといけないんだよなぁ。てことは3人とも出さないといけないのかぁ、しんどいよなぁ」


 白妻稲しろづまいなだ。研究は、そこそこうまくいき、研究費はもらっていたが、まだ論文としての完成には程遠い。






 ウウゥゥゥ!


 サイレンが鳴った。



 教授が実験室に大急ぎで入ってきた。


「みんな! 怪人が現れたようだ。早速、現場に向かってくれたまえ。怪人は、研究室にいるんじゃない、現場にいるんだ!」



 3人のポスドク戦士は、実験を中断して、大急ぎで現場に向かった。




「ここだな」と白妻。


「あ、見ろ! 蒼星、白妻。あそこだ!」

 赤星が叫ぶ。



 3人の目の先には、『怪人シメキリーズ』がいた。『ケンキューヒシメキリ』、『ガッカイシメキリ』、『リヴァイスシメキリ』の三姉妹だ。



 怪人たちは、コンビニの前でう○こ座りをして、お菓子を貪っている。


「チョーだりーよ、あっこのラボの教授。締め切り守らねーんでやんの。こっちもさ、5時に帰りたいんだよ。ボランティアじゃねーんだよ」と、ケンキューヒシメキリ。


「わかりみー。あたしのとこなんてさぁ、しょっちゅう延期するよ。んで、いつも聞かれるもん。本当の締め切りはいつですか? って」と、ガッカイシメキリ。


「大変だねーそれは。私なんて、楽だよ。みんな必死で締め切り守ってくれるもん。みんなへこへこしてくれるしさ。女王様気分だよ」と、リヴァイスシメキリ。




「あいつらの気持ちはわからんでも無いが。コンビニの前でのたむろは、迷惑だな。よし、追っ払うぞ。変身だ!」

 赤星が言う。


「オッケー」と白妻。

「わかりました」と蒼星。




「よーし、みんな! 行くぞ!」



「えーーーん、しん!」


 カチッ!



 ギュルルルルル〜。



 3人のポスドク戦士は、『超遠心!スクロース!』に変身した。



「培地の赤色は、フェノールレッド! レッドスクロー!」

 レッドスクローこと赤星が叫ぶ。


「青い組織染色、トリパンブルー! ブルースクロー!」

 ブルースクローこと蒼星が叫ぶ。


「いつか雇われたい、ホワイト研究室! ホワイトスクロー!」

 ホワイトスクローこと白妻が叫ぶ。



「3人揃って、超遠心! スクロース!」



 ドガーーン!(効果音)





「さぁ、怪人シメキリーズ。俺たちが相手だ」

 レッドスクローが叫ぶ。



「ちょっと、ちょっと。教育がなってないんじゃないの? あんたたち。事務には逆らうなって教わらなかった? あたしたちに逆らうと、手続きを円滑に進めてあげないよー」

 怪人ケンキューヒシメキリは、めんどくさそうに言う。



「そうはいっても、お前たちの悪行を見逃すわけにはいかない」

 ホワイトスクローが三姉妹を睨む。


「悪行って、ねー。いうわねー。私たちここでおしゃべりしているだけなのにねー」

 と、ケンキューヒシメキリ。


「ねー」と、ガッカイシメキリとリヴァイスシメキリが相槌を打つ。



「ブツブツうるせーぞ、怪人のくせに。生意気だ。やってやるぜ」

 ホワイトスクローが怪人に飛びかかる。



 ボゴッツ!


 ホワイトスクローの右ストレートがケンキューヒシメキリを捉えた。



「よし、俺らも続くぞ。とおっ!」

 レッドスクローは後ろを振り向き、技を繰り出す。


「喰らえ、ローリングソバット」



 ガシィ


「いったぁぁ、あんた、まじ? ま? ま?」

 怪人ガッカイシメキリは、よろめく。



「ちょっとー、あんたたち、なんなの? 私に逆らうと、どうなるかわかってんの? あんたの論文、リジェクト(掲載拒否)するわよ」

 怪人リヴァイスシメキリが叫ぶ。



「ぐっ!」

 ブルースクローが立ち止まる。



「何やってんだ、ブルー。落ち着け! お前はまだ論文を提出していないだろう? 騙されるな。論文を提出しない限り、リジェクト(掲載拒否)はない」

 レッドが叫ぶ。そう、出さなければ、掲載承認も掲載拒否もない!



「くそ、怪人め。騙しやがったな。これでも喰らえ! カンシャノ正拳突き!」


 ブルースクローは、怪人リヴァイスシメキリのお腹に、カンシャノ正拳突きを極めた。



「よし、ブルー、ホワイト、必殺武器だ」と、レッドスクロー。


 3人は、腰につけていたメスシリンダーキャノンを構えた。



「亜硝酸塩濃塩酸二酸化硫黄カルシーウム!」



 3人のメスシリンダーキャノンから虹色の個体が発射される。



 ドギャギャギャギャーーーー!



 怪人シメキリーズの三姉妹は、その場で倒れた。



「酸性! 粛清! アルカリ性!」


 3人は決めポーズをする。





「まだ、まだぁ」

 怪人シメキリーズの三姉妹はフラフラになりながらも、立ち上がった。


「私たちは、シメキリへの恐怖の力で大きくなるのよ。この世のポスドクたちよ、私たちに、シメキリへの恐怖を分けてちょうだい!」



 怪人シメキリーズの3人は、どんどんと体を膨らませ、巨大化した。





(ナレーション)

 怪人シメキリーズは、ポスドクのシメキリへの恐怖をエネルギーとして吸収して巨大化した。ポスドク戦士は、このシメキリへの恐怖がどれほどのものか、身にしみてわかっている。果たして、『超遠心!スクロース!』は、怪人シメキリーズを倒すことができるのか。次回へ続く!

 遠心チューブ、セーーーット、オン!


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― 新着の感想 ―
[一言] >酸性! 粛清! アルカリ性! 爆笑でした!!☆彡 巧い!!w 先ほど人に言ったら、『巧い!』言われましたwww
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