第8話 ポスドク色恋バトル!?
国立防衛研究所内では、熾烈な戦いが繰り広げられていた。
新しく来た新人ポスドク戦士を巡る色恋バトルである。ターゲットは、ポスドク戦士紅一点の緑山ひかるだ。
赤星と白妻と蒼星の3人が、絶賛バトル中である。
ガイアは、このバトルには参加していない。特別な理由はない。ガイアがマッチョであることとは、なんら関係はない。
「俺の50ミリリットルチューブが破裂しそうだぜ」
赤星が、50ミリリットルチューブを股間に当てて、アピールする。
「あら、なんのことかしら、そもそも15ミリリットルチューブの間違いではないのかしら」と、軽くあしらう、緑山。
「僕の1ミリリットルピペットマンが、ぶっ放しそうです」
蒼星が、1ミリリットルピペットマンを股間に当てて、アピールする。
「あら、なんのことかしら、そもそも10マイクロリットルピペットマンの間違いではないのかしら」と、軽くあしらう、緑山。
「今すぐにでも、インジェクション(注射)できます」
白妻が、シリンジを股間に当てて、アピールする。
「あら、なんのことかしら、そもそもマイクロインジェクション(顕微注入)の間違いではないのかしら」と、軽くあしらう、緑山。
ウウゥゥゥ!
サイレンが鳴った。
教授とガイアが大急ぎで、実験室にかけつける。
股間に色々なものを当てている3人の姿に教授は目を丸くする。
「お前たち、一体何をやっているんだ。頭は大丈夫かね。まぁ、いい。とりあえず、現場に向かってくれたまえ。怪人は、研究室にいるんじゃない、現場にいるんだ!」
5人のポスドク戦士は、大急ぎで現場に向かった。
「ここだな」と白妻。
「あ、先輩! あそこっす!」
ガイアが叫んだ。
5人の目の先には、『怪人シュードポジテブ』がいた。
怪人シュードポジテブは、食べ終わったホー○ランバーに自分で『ホームラン』と書いて、店員にいちゃもんをつけている。
「こいつは、嫌がらせじゃなくて、普通に犯罪なような気もするな。警察に任せるべきか? まぁ、とりあえず、変身だ!」
赤星が言う。
「オッケー」と白妻。
「わかりました」と蒼星。
「はい」と緑山。
「おっす」とガイア。
「よーし、みんな! 行くぞ!」
「えーーーん、しん!」
カチッ!
ギュルルルルル〜。
5人のポスドク戦士は、『超遠心!スクロース!』に変身した。
「培地の赤色は、フェノールレッド! レッドスクロー!」
レッドスクローこと赤星が叫ぶ。
「青い組織染色、トリパンブルー! ブルースクロー!」
ブルースクローこと蒼星が叫ぶ。
「いつか雇われたい、ホワイト研究室! ホワイトスクロー!」
ホワイトスクローこと白妻が叫ぶ。
「緑の蛍光、グリーンフルオロセントプロテイン! グリーンスクロー!」
グリーンスクローこと緑山が叫ぶ。
「心を壊してからがポスドク、ブラック研究室! ブラックスクロー!」
ブラックスクローことガイアが叫ぶ。
「5人揃って、超遠心! スクロース!」
ドガガガーーーン!(効果音)
「さぁ、怪人シュードポジテブ。俺たちが相手だ」
レッドスクローが叫ぶ。
「お前たちには、私の実体は捕らえられまい」
怪人シュードポジテブは、ニヤリと笑み浮かべる。
「やってやるぜ」
ホワイトスクローが怪人に飛びかかる。
ボゴッツ!
ホワイトスクローの右ストレートが怪人シュードポジテブを捉えた。
「と、思っただろう。残像だ!」
怪人シュードポジテブは、ホワイトスクローの背後で、腕を組んで笑っている。
怪人シュードポジテブの『残像(偽陽性)』だ。怪人シュードポジテブは質量のある残像をつくることが可能なのだ。
「なに? 今、確かに捕らえたはず」
ホワイトスクローは自分の右手を見つめる。
「それなら、相手よりも早く攻撃をすればいいのです。高速の緑! ファストグリーンFCFステップ!」
グリーンスクローは、奇妙なポーズをとり、技を繰り出す。
グリーンスクローのすばやさが、ぐーんとあがった。
「行きます。マラカイトグリーンチョップ!」
ザシュ!
グリーンスクローのチョップは、怪人シュードポジテブの本体を捉える。
「何っ、残像(偽陽性)が間に合わないだと」
怪人シュードポジテブはうろたえる。
「よし、今だ! みんな! 必殺武器だ」と、レッドスクロー。
5人は、腰につけていたメスシリンダーキャノンを構えた。
「ポタシウムニッケルコバルトクロライド!」
5人のメスシリンダーキャノンから金色の個体が発射される。
ドギャギャギャギャギャギャーーーー!
怪人シュードポジテブは、その場で倒れた。
「酸性! 粛清! アルカリ性!」
5人は決めポーズをする。
「まだ、まだぁ」
怪人シュードポジテブはフラフラになりながらも、立ち上がった。
「私は、シュードポジティブ(偽陽性)の怖さの力で巨大化するのさ。この世のポスドクたちよ、私に、シュードポジティブの怖さを分けるがよい!」
怪人シュードポジテブは、どんどんと体を膨らませ、巨大化する。
(ナレーション)
怪人シュードポジテブは、ポスドクが持つシュードポジティブの怖さをエネルギーとして吸収して巨大化する。ポスドク戦士は、このシュードポジティブの怖さがどれほどのものか、身にしみてわかっている。果たして、『超遠心!スクロース!』は、怪人シュードポジテブを倒すことができるのか。次回へ続く!
遠心チューブ、セーーーット、オン!




