表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第四章・死の平原を越えろ
92/110

壁を離れて森の縁へ

 翌朝も早くから、銀紐隊15名は全員で南門を出た。銀紐隊員は、何となくぞろぞろ出発した昨日と違い、およそ三班に別れた。15人のうち、先ずは壁の上を進む3人を送り出す。

 後に続く2人も、水空籠(すいくうろう)で壁の上部を担当する。

 銀紐隊員達は、壁の上部、中部、地上と、三班に別れて、半日で城壁北端に到着するだろう。

 死の平原に接する部分が終われば、壁を離れて、森の外縁部分を進む予定だ。


 門を出てすぐ身軽に登って行くのは、ヴォルフガング・シュリーマン。夜明けから活動している音波雀(おんぱじゃく)をいなしながら、危なげなく上を目指す。

 3本あるブーメランを、片手で器用に投げている。時間差で投げることによって、音波雀に超音波攻撃の隙を与えない。



 後に続くティル・シュトラウスは、伸縮自在の魔法の鞭で体を支える。顔の回りにたかる雀や虫の魔獣は、細かい棘のついた鞭で払う。


 虫の魔獣は、山では殆ど生息が確認されていなかった。モーカルからの報告によると、海辺にも発生しないという。

 死の平原に特有の魔獣であるらしい。

 今回の調査では、普段から死の平原に来ている3人組の愛用している、薬品マスターフリードリヒ・ブレンターノの虫除けを使う。


 からくり技士ヴィルヘルムの開発した、竜巻草の入った小さな『腰籠(こしかご)』も使う。ボール状に編んだ小さくて丈夫な籠に、竜巻草の欠片を埋めてある。

 動く物が近づくと竜巻を発生させる特性を活かして、虫魔獣を吹き飛ばす。

 籠には、フリードリヒの虫除け薬がたっぷりと塗ってある。風と同時に虫除けを振り撒く。二段階攻撃である。



 城壁付近の虫魔獣は、二種類だ。


 小針蚊(こばりか)は、普通の蚊に似ている。毒性も弱く、せいぜい痒みが出る程度だ。しかし、この蚊が持つ小さな針は金属製だった。うっかりすると、膿んでしまう。


 毒足蝿(どくあしばえ)オレンジと紫野の縞々模様だ。見るからに毒々しい足を獲物に触れて、硬直させる。

 出発前に隊長の妻ジンニーナ・タンツから守りの壁をかけて貰わなかったら、相当緊張したことだろう。



 ジンニーナは、今回の遠征を聞いてから思い付いた遠隔魔法を、すっかり便利に使いこなしていた。

 始めは、夫ジルベルトとの『夫婦の魔力循環』を利用するつもりだった。循環する魔力にのせて、魔法を常時発動させる予定だったのである。


 だが、何度か試すうちに、魔法が弱まったら遠隔でかけ直す方が効率的だ、と解った。

 しかも、遠隔で守りの壁をかける実験を繰り返し、銀紐隊15人全員一時(いちどき)に対応出来るようになった。

 毒や軽い攻撃程度なら、まるで気にせずに活動出来る優れものである。

お読み下さりありがとうございます

次回もよろしくお願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈i500805|29410〉 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ