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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第四章・死の平原を越えろ
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城壁を巡る

 ジルベルト以下ナーゲヤリ城塞騎士団銀紐隊の15名は、南門扉を出ると城壁に沿って北上した。

 まずは街のかべに沿って、測量と調査をするのだ。その為に、測量をするときに邪魔になる付近の魔獣は、徹底的に叩く。



 巣が出来ているわけではないが、城壁そのものを調査する必要もあった。強度の点検並びに補修は、魔法特化の青紐隊が行っている。銀紐副隊長ヴィルヘルムの妻、マリーナ・フッサール達土木魔法使いの仕事だ。


 今回は、城壁のどの辺りに魔獣が居るのか、傷が多いのか、また、どんな風に魔獣は壁を越えるのか、詳細な記録をとるつもりだ。ジルベルトは、既に情報部隊のシャルロッテ・ハイム分析官から、過去のデータは貰っている。



 青紐の修理記録、騎士団の巡回記録、そして過去の討伐記録には、出発前に総て目を通してきた。


「やはり、増えすぎると新しい住処や餌を求めて移動するみたいだな」


 出発前の会議でジルベルトが言うと、隊員達も次々に口を開く。


「城壁の上や割れ目に巣を作られるのは、偶然も多いように思います」


 過去に巣が出来た季節と場所を確認しながら、正確無比な地図製作者であるティル・シュトラウスが意見を述べた。


「青紐の定期巡回でも、短期間に沢山巣がかけられたり、長期間何もなかったりするみたいっすね」


 青紐隊員を妻に持つヴィルヘルムが、付け加える。


「青紐もやってんでしょうが、今回も、壁を天辺まで登って調べましょう」


 崖でも壁でも自由に登る、ブーメラン遣いのヴォルフガング・シュリーマンも、提案した。



 出発の日、日が暮れる頃に壁の外周を測量し終わった。


「案外、測量しながらでも討伐行けたな」


 とりあえず外周の計測を終えただけではあるが。

 壁周辺には、日中殆どが鳥の魔獣であり、ティルの鞭やヴォルフガングのブーメランが活躍した。


 万能パイロットゲルハルト・コールの投石も、なかなかに有用だった。あらゆる魔法を礫にのせることができるので、氷尾長(こおりおなが)には炎、熱嘴鷹(ねっしよう)なら氷、と言う使い分けが可能なのだ。



 まだ城壁付近に居るため、今日は一旦街に戻る。測量をしなければ、暗くなる頃には戻れるだろう。もっとも、銀紐隊にとっては、夜の討伐も日常的だ。

 視界が狭まるのでなるべく避けるが、団長命令も時々来るのだから。


 今夜は、皆家には帰れない。南門を入ってすぐの南広場で夜営だ。明日は、ヴォルフガングやティルが先頭に立って壁の登攀調査を行う。



 ティルは3本の鞭を愛用している。そのうちの1本が、魔法の鞭なのだ。伸縮自在のその鞭で、ヒビや突起を伝う。彼もまた、壁面を軽々と移動する。


 ゲルハルト・コールは、堅塩鴎(かたしおかもめ)の崖同様に、ヴィルヘルム製『水空籠(すいくうろう)』を操る。

 今回は、七台を皆が順番に担いで移動している。だから、他の隊員も何人かは壁を水空籠で調べる予定だ。主に遠隔タイプの隊員が選ばれた。

 近接タイプの隊員達は、壁下でサポートに回るだろう。

次回、壁を離れて森の縁へ

よろしくお願い致します

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