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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第四章・死の平原を越えろ
88/110

遠隔魔法とジルベルトの朝

誤字と表現の訂正を行いました

内容は変わっていません

 翌朝早くからジンニーナは、夫に魔法をかけた。


「お昼頃に、遠隔で解除とかけ直しをするね」

「解った」


 ジルベルトは、朝食を採ると出勤だ。ジンニーナは、今日は予約が入っていない。家屋兼事務所で、『ジル&ジン魔獣討伐本舗』の店番をする。

 実験には持って来いの日であった。



 この頃では毎日のルーテイーンになってしまっている、飛来魔獣の除去をしながら、ジルベルトは銀紐隊舎に向かう。

 ジルベルトの要望に従い、ジンニーナがかけてくれた守りの壁は、こちらからの攻撃を通す。


 とりあえず、お昼までは、かかったままの予定だ。いつもより、更に気がね無く小型魔獣を排除しながら、ジルベルト・タンツ銀紐隊長は、朝の街を歩く。



 途中、魔獣避けを散布しながら通勤中のフリードリヒに会った。銀紐隊から騎士団に掛け合って、薬品の予算は貰っている。

 一方、ジルベルトの通勤中駆除は、何だかんだと無給のままだ。


 ジルベルトは、特に何かしている風には見えないのだ。あまりにもさりげなく、手を振り足を運ぶ。街中では、殆んど魔剣を抜かない。

 『銀鬼3本目の腕』と呼ばれる、拘束鎖分銅バインドの出番だ。その通称に違わず、ごく自然に小型魔獣を排除する。


 余程眼の良い人以外は、懐から取り出し、魔獣を駆逐し、最後には血を拭ってしまうまで、全く見えていない。

 それゆえ、魔獣の死骸が道に点在する以外、討伐行為が目立たないのである。



 街中(まちなか)の死骸は、環境局道路清掃課の管轄だ。朝の通勤時間帯直後は、ナーゲヤリの清掃時間でもある。ジルベルトは、魔獣の死体も血も、通勤中には放置して大丈夫と判断している。


 普通なら、死骸の放置は、他の魔獣を呼び寄せるし、不衛生でもある。しかし、この時間帯だけは、通勤中の魔法使いや、勤務中の清掃員が速やかに処理するので、市民に後始末の義務がない。


 そんなこともあって、ジルベルトの通勤中に行う討伐は、飛んできた蚊を叩く程度の評価しか得られない。


 フリードリヒの場合は、薬品を使用するため、予算が通りやすいのだ。また、長年に渡る魔獣避け薬剤散布は、城塞都市国家ナーゲヤリ国民に、広く認知されている。

 予算が出ないと噂になったら、中央議会が信用を落とすのだ。



「規格外ってのも、損だよなあ」


 等と同情しつつも、銀紐隊の仲間達だって、ちょっとした事ですぐ隊長に頼る。


 今朝も、出勤するなり、小さな騒ぎが起こっていた。


「隊舎の裏に漆蚯蚓(ウルシミミズ)が繁殖してる」


 漆蚯蚓とは、土を食べて排出する物質に、うっかり触ると酷くかぶれるミミズ魔獣だ。大きさは普通のミミズと変わらず、色は毒々しい赤である。


「げえっ、たいちょーっっ」

「燃やしちゃって!」


 隊員は、すぐに隊長室へと泣きつく。ジルベルトによる焼却処理が、手っ取り早いからだ。

お読みくださりありがとうございます

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