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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第三章・銀紐隊の仲間達
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国際会議

 堅塩鴎(カタシオカモメ)がいた崖も、騎士団の巡回路に加わった。卵を残らず潰したとは言え、海の向こうから渡ってくる新顔は、絶え間ない。

 大規模な討伐や、崖を下っての処理はその場では無理だ。しかし、毎日巡回していれば、増殖の兆しを見つけ次第、処理班が派遣出来る。


 まあ、十中八九、『魔法のお使い』と化すのだろうが。



 崖から山を越えて、ナーゲヤリの市街地まで飛来する個体も、後を絶たない。中には、モーカルの空を飛んで、海を回らずに、直接山を越えて来る堅塩鴨もいた。


 街に入り込む魔獣は、勿論、堅塩鴨だけではない。相変わらず、城壁を越えて、死の平原から様々な魔獣がやって来る。巡回当番の騎士、ナーゲヤリ都市国家住民、そして、ジル&ジン魔獣討伐本舗が、その時々で対処してゆく。



「それにしたって、減らないわよねえ」

「そろそろ、ロベルトが国際会議の結果を持ってくる筈だ」

「早く聞きたいけど、聞きたくない気もするわね」

「お使い、増えそうだよなあ」

「そうねえ」



 世界魔獣討伐会議定例会は、無事行われた。一時は、各地の魔獣繁殖規模が大きすぎて、中止にするかどうかの検討が行われたのだが。

 通訳と資料翻訳の担当責任者として、会議に参加していたロベルト・ヘンデルが、もうすぐ帰国する。


 今回の会議では、交易都市国家モーカルと、城塞都市国家ナーゲヤリによる、大規模な共同討伐の報告がメインだった。

 現在の同時多発な魔獣大量発生事案では、国際協力が欠かせない。200年ぶりの共同討伐を、成功させた2国には、大きな期待が寄せられていた。



 今回、魔獣の大発生で、海を渡れなかった国々は、魔法通話装置の最新版を使用しての参加だ。これは、銀紐副隊長で、からくり技師の、ヴィルヘルム・フッサールに依頼して製作されたものだ。彼もまた、国際的に一目置かれる存在なのである。


 最新版で画期的なのは、映像通信機能である。通信内容を録画もしておける優れものだ。膨大な資料が、海路閉鎖で送付出来ず、映像通信機能で投影すると言う手段を取った。

 投影は、幾つかある国際公用語の資料を使用して行う。

 総ての頁に目を通すのには、時間がかかりすぎる為、後日、閲覧用映像配信が、希望国に配信される予定だ。


 モーカル・ナーゲヤリ間での通信会議が有効だったので、試験運用された映像会議である。今回も、概ね成功と言えよう。



 森の加護により、魔獣被害とは無関係な、森林都市国家コカゲーは、今回も不参加を貫いた。ただし、森向こうの国々には、魔獣が街に入り込む。そうした国々の代表団は、真剣な面持ちで、会議に臨んだ。


 今回の会場はモーカルだった。当初は海の向こうを計画していたが、諸事情から変更になった。

 国際会議には、多言語マスターである、銀紐隊員ロベルトの出席が必要だった。ロベルトは、資料の該当箇所を素早く投影して、発言の同時通訳をこなす。


 それで、会場が、ナーゲヤリから参加しやすいモーカルになったのだ。

 森向こうの国々には少し遠いが、森の道を通り、山を越えて出席を実現させた。

次回、海を取り戻せ


よろしくお願い致します

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