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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第三章・銀紐隊の仲間達
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岩礁に挑む

 第三次堅塩鷗調査班は、5人乗りの水空籠(スイクウロウ)を導入した。山腹の開けた位置から飛び立ち、離れた海面に降りる。船底を傷付ける険しい岩や隠れた岩も、避けて行く。

 ずっと浮いている為には、高度調整で消費する魔力コストがかかり過ぎだ。だから、浪の上を飛ぶのではなく、船として使うのだ。



 前回効果が確認された装備が、今回も採用された。“裁縫屋”マックス・ラインラント制作の、特殊繊維防具だ。今回は、新しく防水機能も付加された。

 出発前に守りの魔法をかけてくれたのは、タンツ隊長夫人ジンニーナである。



 新発明の籠には、製作者のヴィルヘルム・フッサール副隊長、操縦者のゲルハルト・コールが、まず乗り込む。


 事前の計画では、5人ずつの全3回調査であったが、予定は変更された。新しい乗り物が実践投入されたからだ。

 運用の実際を観察したいジルベルトは、今回の調査班にも参加している。

 あとの2人は、通信員ジークフリート・エルンストと、地図制作のティル・シュトラウスだ。



 以上5名の水上班に加えて、今回は山中班も作られた。


 まずは、ナイフ遣いルードヴィッヒ・シュヴァンシュタイン。彼は、モーカル港で、ジルベルトと共に堅塩鷗と対峙した経験がある。

 2人目は、華麗なる短槍遣いロベルト・ヘンデル。海外文献も駆使して、隊員が堅塩鷗の生態と現状を把握するのに貢献した。

 ハンマー遣いミヒャエル・ディートリッヒは、行く手を阻む大岩や倒木の除去に活躍する。

 そして、烏遣いヨハン・レーベン。変幻自在な棍捌きで、空中の堅塩鷗やその打ち出す塩弾を叩き落とす。



 合流ポイントは、第一次でブーメランの名手ヴォルフガング・シューマンが、降りていった辺りの崖だ。水上班の上陸と登攀(とうはん)を、崖上から、山中班が援護する予定である。


 第一次、第二次と、順調に減らされた堅塩鷗だが、未だ大きめの群れを形成している。

 ただ、今回の調査で解ったのは、海の向こうから次々飛来している訳ではないと言う事だ。

 減った分は、追加されずに減ったまま。それが解っただけでも、調査の成果は上がっていると言える。



 堅塩鷗は、魔の海峡にある生息地から、各地に渡ってくる魔獣だ。渡来先でも繁殖し、どんな環境にも馴染んでしまう。

 だが、餌となるのは、魚魔獣だけなので、ここまでの大発生は、通常見られない。


 ロベルトによると、各地で魚魔獣が増えて、海運に影響がでている。魚魔獣が増えた結果、鷗の魔獣が増えた。堅塩鷗もまた、船を襲う。漁師も交易船も、ここ1週間程度で、航行を辞める国が急速に増えた。現にモーカル港も、現在閉鎖中だ。


 モーカル港に飛来するのは、恐らく、現在ナーゲヤリ城塞騎士団が調査中の、この崖に住む群だ。今回、巣穴に残る卵を潰しておけば、次の渡りが飛来するシーズンまで安心だろう。

次回、鮮血淋漓の崖


よろしくお願い致します

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