表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第三章・銀紐隊の仲間達
58/110

討伐隊の編成

 隊長会議は、先ず緑紐隊からの報告で始まった。

 銀紐隊員ロベルト・ヘンデルが見つけた、広域の魔獣大量発生記事から、あちこち調査に出掛けたのだ。

 モーカルにジルベルトが派遣された頃は、外国まで足を伸ばす事が出来なかった。ナーゲヤリで他国に通信したり、ロベルトの翻訳した記事を精査したり、忙しかったらしい。



「詳しい状況は、国際会議を待ちますが」


 緑紐隊長フランツ・プファルツは、一言断りを入れてから話し出す。


「森向こうの街道筋でも、魔獣が現れているようです」


 会場がざわめいた。森向こうには、殆ど魔獣が出ない筈だ。この世の魔獣には、幾つかの生息地が存在する。それ以外の場所にも、居るには居るのだが、生息地に比べれば問題にならない程度なのだ。


 生息地のひとつが、ナーゲヤリを取り囲む『死の平原』。他にも、『魔の海域』や『悪夢の岩山』などが有名だ。


「具体的な報告を」


 ハインツ団長が促す。



「はい。こちらの地図をご覧ください」


 プファルツ隊長ほ、投影機を操作して、広域地図を映写する。


「ここがナーゲヤリ。これが山」


 ポインターを素早く振って、説明を始める。


「山を下り、『森の道』を辿って、この森を行くと森林都市国家コカゲーがあります」


 森の道は、世界3大交易路のひとつだ。東の大森林を抜け、陶器や干した果物等が運ばれてくる。


「コカゲー近辺では、今のところ魔獣の目撃証言が無いようです」


 コカゲーは、森の加護を受けている。森林都市国家コカゲーが位置する森の中心地には、魔獣が全く出ないのだ。


「うむ。世界の加護に変化が起きたわけでは無いんだな」


 団長始め、会議の出席者が安堵する。森周辺に魔獣が頻出するとなれば、加護の力が弱まったのかと危惧されたからだ。



「では、森向こうの街道に現れる魔獣は、何処から来たのか」


 フランツ・プファルツ隊長は、真面目な顔で皆を見回す。各隊長は、次の言葉を待っている。


「魔の海域に何かがあったと言う説が有力です」

「やはり、海上調査が必要か」


 団長が、ちらりとジルベルト・タンツを見る。


「モーカルに押し寄せた堅塩鷗は、何処で増殖したのか解りません」


 プファルツ緑紐隊長が、慎重な発言をした。団長は、


「大海を渡ってきたとは思えないが」

「堅塩鷗は、渡り鳥の魔獣です。魔の海域沿岸の断崖で、繁殖する事が知られております」

「じゃあ、そこで増えたんだろ」

「そうとも限らないんですよ」

「と、言うと?」

「堅塩鷗は、魔獣ですからね」


 普通の生き物とは、生態が違う。繁殖地が一定とは限らないのだ。


「調査に出るなら、まず、近場の崖。銀紐隊の担当が妥当でしょう」


 機動力を期待される銀紐隊は、近場の様子見を頼まれそうだ。その結果次第では、隊ごと遠方調査に旅立つかも知れない。


「それから、コカゲーと森の道。ここは、既に緑紐隊が調査中です。」


 途中報告から、少なくとも鷗魔獣の群は、森と関係が無さそうなのだろう。


「魔の海域へ遠征する班、これはモーカル港が復興しないとダメですね。」


 ジルベルトは、不満を露に、眉間の皺を深くした。


(結局、銀紐に丸投げか?)


 恐らくは、民間協力と称して、タンツ夫人ジンニーナもセットなのだ。

次回、崖の調査に備える


よろしくお願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈i500805|29410〉 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ