表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第二章・交易都市国家モーカル
55/110

調査は延期

 ジルベルト銀紐隊長は、モーカル魔法守備隊員と合流出来て、ほっとした。いくら銀紐隊が魔獣防衛都市ナーゲヤリの精鋭部隊だと言っても、大型船が停泊する広い貿易港に、たったの5人では、厳しい。


 しかも、そのうち1人は、不得手な治癒に専念している、民間協力者だ。残りの4人も、手強い案件に対応するときの、常連4名ではかった。

 連携が取れないことは全く無いのだが、個々の撃破力は、多少落ちる。広域対応が可能な、フリードリヒ・ブレンターノと、機動力に富むゲオルク・カントの不在は、やはり痛い。



「タンツ隊長、守備隊からあと5名治癒に回しますね」

「ありがとうございます」

「そろそろ、治癒魔法の得意な隊員も到着する筈ですが、兎に角このままでは死人が出る」


 モーカル魔法守備隊員も、港の人々に弱い守りの魔法をかけたり、避難誘導したりと、出来る限りの対応をしていた。しかし、ジンニーナの『壁』とは比べ物にならない。

 最低限死者を出さない効果はあった。だが、重傷者は、かなりの数に登る。

 最初の避難指示の後は、2人を残して、桟橋防衛に全魔力を注いでいた。治癒魔法使いが、絶対的に不足している状態だったのだ。



「魔獣対応は、任せて下さい」

「頼もしいです」


 役割分担の相談をしながらも、魔獣の群れが小さくなってゆく。2つの都市国家から選ばれた、魔獣退治専門家達は、順調に仕事をこなしている。


 怪我人対応班も、既に活動を開始していた。一刻を争う現場で、無駄な長話はしないのだ。

 モーカル魔法守備隊から、応援が駆けつけるまでに、事態を好転させるのが目標である。



(デ・シーカ隊長は、攻守と治癒を同時に展開しているな)


 他の隊員は、そのうち1つか2つの運用だ。流石、隊長を張るだけの事はある。


(その上人格者だからな)


 ジルベルトは、自分達の団長と比べながら、鎖分銅を蛇のようにくねらせて、堅塩鴎(カタシオカモメ)を捌く。

 ヴィルヘルム副隊長も、同じことを考えていそうだ。短い話し合いが終わった時、守備隊長に、尊敬の眼差しを投げた。

 後の2人は、そこまでの余裕がない。



 魔獣が降らせる塩の塊で、桟橋は傷だらけ。鋼鉄の船にすら、無数の穴が空いている。船荷も、ほとんどは駄目になったに違いない。


 大型の貿易船が、軒並み傾いて沈んでゆく。港での事故なので、撤去が必要だろう。

 堅塩鴎の襲撃が終息しても、港は長期閉鎖を余儀なくされると予想された。


(海上調査隊は、延期だな)


 現状、港の復興が最優先。奇跡的に無事だった船があるとしても、沖合いへ調査巡航はしなくて当然だ。


(それにしても、大量発生が繰り返し起こるんじゃ、きりがない)


 新しい対応策の開発が急がれる。国際会議まで、まだ時間がある。せめて、ナーゲヤリとモーカルだけでも、密に連携していかないと、人類存亡の危機に陥るかもしれない。

次回、群れ発生の対策を練る


よろしくお願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈i500805|29410〉 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ