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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第一章・魔獣防衛都市ナーゲヤリの人々
25/110

狭路の血痕

R15 血糊少なめ 閲覧注意


今回は、2話です。

R2/9/12 23:00,9/13 0:00

 ゲオルクは、全速力で魔獣との戦闘現場に駆けつける。シャルロッテと、本日ペアを組んだ巡回騎士がいた。ペアの騎士は、細身の青紐隊員だ。短い赤毛を逆立てた色男である。


 シャルロッテは、色男が操る守りの魔法に包まれている。物理防御だ。この2人組では、高速の鳥に対応出来ない。そう判断して、応援が来るまで、攻撃に耐える事に徹した。


 守りの魔法を展開しながら、この場に魔獣を惹き付けておく。それだけに集中した2人であった。熱嘴鷹(ネッシヨウ)の嘴は、高熱を帯びて鋭い。加えて得意の速さである。急降下すれば、真空が発生する程だ。


 色男の守りは、ジンニーナの足元にも及ばない。シャルロッテは全身に、掠り傷や、細かい裂傷、それに軽い火傷ができている。とは言え、その程度で済んだのは、運良くペアが守りの魔法を使えたからである。



 それは、ゲオルクとて解っている。頭で解ってはいるのだが、感情は言うことを聞いてくれない。


(なんだ、あの男)


 すぐにでも、色男の魔法を引き剥がしたい。出来る事なら、自分が守りを代わりたい。だが、ゲオルクに、魔力はない。だから、どう頑張っても、シャルロッテを「魔法で包む」事など不可能だ。丸太を重ねたような豪傑は、女々しく歯噛みする。


 しかし、それも一瞬のこと。ゲオルクの到着に気づいたシャルロッテが、その表情で、安堵と歓喜を示したのだ。


 ゲオルクは、俄然やる気をだした。魔獣である鷹は、獲物が1匹増えて、攻撃性を増す。



 ゲオルクの剣が、赤々と熱を放つ熱嘴鷹(ネッシヨウ)の嘴を割る。そのまま尾まで2つに割く。剣を返すと剣身を水平にして、割れた熱嘴鷹(ネッシヨウ)を叩き落とす。


 割れたまま高速で後ろに流れれば、シャルロット達が怪我をしてしまう。そう考えたゲオルクは、銀鬼ジルベルト隊長よりは鉄壁の魔女ジンニーナに近い、魔獣処理方法を選択した。


「うっ」

「ぐっ」


 後ろで、2つの呻き声が重なる。ゲオルクは、微かに苛立つ。好いた女と、何処の馬の骨とも知られぬ色男の感情が、一瞬でも重なったのが気にくわない。


 勿論、男は、巡回騎士のペアであり、馬の骨ではない。目の前で生き物が、固い鉄の板で殴られれば、誰でも思わず呻くだろう。


 ゲオルクの反応は、実に理不尽極まりなかった。



 さて、叩かれた鳥は、鈍い音をたてて地面に激突する。ゲオルクの剣速によって、回りに血が飛び散ることはなかった。血飛沫は、剣の起こす風に押される。血は、鳥の体に僅かばかり遅れて地面に落ちた。


 辺りも、ゲオルクも、飛び散る血で汚れる事態は起きなかった。しかし、潰れた鳥の姿は、好んで見たい物とは言えまい。


 それは、後ろで始終ときめいていたシャルロッテも、例外ではなかった。彼女は、ゲオルクの行動に、思わず目を反らす。

次回、その手を伸ばして掴み取れ


よろしくお願い致します

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