表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第一章・魔獣防衛都市ナーゲヤリの人々
21/110

ハズレの宿屋

今回は、2話てす。


R2/9/10 23:10, 9/11 0:00


 春先に行われた、200年振りの共同討伐作戦から、早くも一月が経とうとしている。音波雀(オンパジャク)で廃墟と化した中央公園も、ぼちぼち復興が始まっている。


「は~、まだ瓦礫残ってんのかよ」

「マリーナちゃんが居たら、1週間で終わるな」

「お、フリッツ、解ってんねぇ」


 マリーナ・フッサールは、青紐隊の土木魔法使いである。銀紐副隊長ヴィルヘルムの恋女房だ。彼女は、小柄で可愛らしく、ちょこまかと走り回って、豪快な技を繰り出す。瓦礫撤去を手伝えば、1週間で片付け終了するのだろう。



 ここ城塞都市国家ナーゲヤリは、血気盛んな魔獣防衛都市である。管轄ごとに派閥を作り、何かと言うと睨み合う。最前線で闘う城塞騎士団が、むしろ最も穏やかなくらいだ。


 公園の工事は、ナーゲヤリ環境局造園技術課が担当している。彼等のメンバーに、魔法使いはいない。「造園技術に魔法を使うのは、邪道である」と言う信念を貫く集団なのだ。


 そして、玄人意識も高く、「雑用隊」銀紐に応援要請を出すこともない。兎に角、時間をかけて、地道な復興が行われている。造園技術課としては、神速の域だそうだが。



「んで、フリッツ、どこ行くよ」


 普段は、副隊長2人が、揃って同じ時間に帰れる事など無いのだが、今日は、本部で研修があったのだ。

 ゲオルクが、副隊長代理として、留守を預かっている。


「ハズレ行こうぜ」

「やってんのかぁ?」


 まだペーペーの駆け出しだった頃、1年先輩のジルベルトに連れられて、よく夕飯に来た店がある。その店は、山の麓にある。街の外れだから、通称ハズレ、である。



 その頃のジルベルトは、確かにかなり厳ついが、面倒見の良い兄貴分だった。


 ジルベルトは、マリーナとの恋を、茶化さずに見守ってくれた。その事を、籠手遣いヴィルヘルムは、今でも感謝している。


 まあ、堅物で、羽目を外さないのは、昔からだが。それでも、まだ、銀鬼(シルバーデビル)とは呼ばれていなかった。



 彼に不本意な渾名がついたのは、4人で担当した初めての討伐だった。冬眠明けの熊に混ざって、光線眼熊(コウセンガンユウ)が、山に出たのだ。


 ナーゲヤリは、山向こうの交易都市国家モーカルまで、日用品を仕入れに行く。道中の安全確保は、騎士団の大切な仕事であった。


 大抵は、各隊から1,2名ずつ集められた、混成部隊で討伐に赴く。だが、この時は、『死の平原』側から毒牙卯(ドクガト)が押し寄せており、そちらに人員が割かれていた。


 光線眼熊(コウセンガンユウ)は、一匹であるし、ジルベルト達4人は、新人グループで頭ひとつ抜けていた。そこを当時の団長に見込まれて、4人だけで、討伐任務につくことになったのである。

次回、山中の血戦


よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈i500805|29410〉 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ