表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第一章・魔獣防衛都市ナーゲヤリの人々
20/110

血染めの土嚢袋

R15 血糊少なめ、うじゃうじゃ注意


今回は2話です


R2/9/10 23:10, 9/11 0:00

 水場の近くにある用具倉庫から、園長が走ってきた。猫車に乗せた土嚢袋の束は、倉庫の入口に放り出したようだ。


「ああ~、処分は植物園の外でして下さるんじゃ」


 水場と謂えども、植物園敷地内である。作業もする。周辺の土が、魔獣の血液で汚染されては叶わない。


「確認不足でした」


 水場の近くに居た職員には、確認したのである。しかし、ジルベルトは、無用な争いを起こさない男。ジンニーナは、今まで自由に生きてきたので不満そうだが。



 ジンニーナは、改めて周囲を見回す。


「ねえ、焼却炉の近くはどう?」

「灰をどうする気ですか」

「中和すれば、肥料になるでしょ」

「大量ですよ」



 イライラと切り返す園長に向かい、ジルベルト・タンツが口を挟む。


「大量?」

「蛇は、たくさん居るみたいなんですよ」


 その情報は、初耳だ。どうりで、袋を大量に積んでいる筈だ。


「情報は、最初に正確に伝えてくださいませんと、危険です」


 銀鬼タンツの眼光に、園長が怯む。


「せ、正確にお伝え致しましたが」

「大量とは、伺っていません」

「特定出来ないとお伝えしましたよね?」


 拉致があかない。



 ジンニーナが、無言で手をあげる。


「あっ、ジン、待て」


 ジルベルトの制止は間に合わない。赤毛の魔女は、個人主義なのだ。理不尽など、無視である。


「ぎゃあっ」

「何をなさる」


 近くにまだ居た職員と園長が、怒声をあげる。


 ものすごいスピードで、万力蛇(マンリキダ)が、ジンニーナの出した魔法の壁に向かってやってくる。


 近寄ると眠る仕掛けも、魔法に仕込んであるらしい。枯れ枝のような魔獣が、ジンニーナの壁の前に、うじゃうじゃと積み重なって行く。



 ジルベルトは、それを見て、倉庫の入口に放置されていた猫車を押してくる。土嚢用の丈夫な麻袋が、山と用意されていた。


「うわぁ」


 水場の上に枝を出す木から、ボタボタと眠った蛇が落ちてくる。園長達は逃げ出した。


「中和剤よろしくねー」


 ジンニーナが、大声で叫ぶ。



 その間にも、万力蛇は、積み重なって行く。

 ジルベルトは、蛇を次々袋に入れて行く。守りの魔法で保護されているので、魔獣だろうが手掴みである。


 いっぱいになると、口を閉じて、猫車に乗せる。園長は、反対していたが、構わず焼却炉に向かう。この量を植物園の敷地からだすならば、環境局に許可申請が必要だ。


 処分はすぐにしたい。敷地内なら、今出来る。



 ジルベルトは、愛剣メルトとカットを駆使して、眠らせた万力蛇を、袋ごと切り刻む。万力蛇の血は、紫である。したがって、辺り一面紫色の海である。


 守りの壁は、有害なもの総てを阻む。しかし、物理的な壁ではない。守りの壁で、無害となった蛇の血は、ばしゃばしゃとジルベルトに降りかかる。


(これを街中に持ち出してやれと?出来るか)


 銀紐隊長は、不機嫌を露にしながら、メルトをふるう。紫色の血生臭い塊は、瞬時に灰と化す。


 すかさず、ジンニーナが、かべで囲って、風で撒き散らされないようにする。


「中和剤お願い!!」


 ジンニーナは、声に、こっそり命令の魔法を混ぜる。彼女の得意技は、守りの壁だが、他の魔法も少しは使える。蛇に使った眠りの魔法や、今使った命令の魔法等、いろいろある。



 何とか園長にサインをもらい、ジルベルトは終了報告する為に、騎士団本部まで出向く。


「ジンは帰って休んでろよ」

「ありがとう。買い物しとくね」


 無造作に拭った銀鬼の顔は、まだ紫の血で、斑染めになっている。


「あとでね」

「ああ、家で」


 2人は軽くチュッとして、各々の方向へと歩き去った。

次回、ハズレの宿屋


よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈i500805|29410〉 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ